第174話:完璧な罠
鈍い銀の三日月がドルンハイムの上にぶら下がり、未完成のキャンプを死を予感させる光で照らしていた。
深夜が過ぎていく。
静寂の中、皆が眠りに就いていた。
マレクの建設作業員、過酷な一日で疲弊した人々、避難民たち、そして疲れたクララ。
アイアンの工房のランプさえも、ようやく消えていた。
ノアは闇から突き出した高い崖の端に座り、片足を空中でぶらぶらさせていた。
彼の鋭い聴覚は、数百人の規則正しい呼吸音以外、何も捉えていない。
「退屈だな……」
彼は頬杖をつき、不満げに口角を歪めて独りごちた。
その時、彼の耳が鋭く反応した。
小石の上を擦る革靴の微かな音。
ノアは瞬時に警戒態勢を取る。黄色の瞳孔が収縮し、王と従者が滞在する家を凝視した。
建物のドアが音もなく半開きになる。
そこから二つの影が滑り出た。
王の近衛兵だったが、今は重厚な甲冑の音はない。
暗い革のジャケットに、顔を隠すフード、そして手には鈍く光る抜き身の短剣。
彼らは身を低くし、アイアンの工房へと直行した。
ノアの顔に、期待に満ちた笑みが広がる。
彼は崖の上で身動き一つせず、彼らの企みを興味深そうに観察していた。
彼らは木材の山を抜け、壁伝いに忍び寄り、工房のドアのすぐそばで足を止めた。
一人がドアノブに手を伸ばす。アイアンを静かに排除するつもりだ。
その瞬間、ノアは崖から音もなく落下し、彼らの頭上に舞い降りた。
バキッ! ドサッ!
ノアは背後から彼らの首を死の締め付けで捕らえた。
短い一撃で二人の頭をぶつけ合わせると、刺客たちは呻き声ひとつ上げず、泥の中に昏倒した。
ノアは明らかな嫌悪感を露わにしながら二人をひっ捕まえ、軽々と影の場所まで引きずると、巨大な水樽の裏に隠した。
軽蔑の眼差しを投げかけ、彼は吐き捨てた。
「これがアヴェルスの精鋭か? なぜこんなにも弱くて情けないんだ?」
十五分ほどが経過した。
エドリアック王のゲストハウスの中は暗闇に包まれていた。
ドアが静かに開き、近衛隊長が暗い部屋へと囁きかけた。
「陛下……一人目のペアが戻りません。時間切れです。跡形もなく消え、連絡も取れません。キャンプは妙に静まり返っています」
エドリアックは歯を食いしばり、怒りで顔を歪めた。
「驚くほどでもないな」と王は吐き捨てた。
「無能で無知な愚か者共だ。この真っ暗闇の中で根っこにでもつまずいて、足を折ったんだろう」
王は鋭く言葉を切ると、隊長の方を向いた。
「エヴァーフォールは死なねばならん。鉱石は私のものだ。エリート近衛兵を十人連れていけ。キャンプを掃除しろ。……ただし、あの娘、クララだけは生かしておけ。まだ使い道がある」
隊長は短く頷き、消えた。
一分後、武装した十人の兵士がドルンハイムの闇の街路を音もなく進んでいった。
隣のバラックの屋根に座っていたノアが、陽気に彼らを見下ろしていた。
「十人もいるのか」と彼は囁く。
「退屈な夜に、少しは変化があっていい」
ノアが動いた。
盲点から見えない攻撃を仕掛ける。
最後尾を歩いていた兵士が、何者かの指が顎と後頭部を強く締め上げるのを感じた。
一瞬――カチリという音と共に、首が不自然な角度に折れ曲がった。ノアは鎧に音を立てさせず、その体を地面に下ろした。
九。八。七。
彼は冷酷に側面から回り込み、顎を砕き、顔面を地面に叩きつけ、骨を折っていった。
叫び声も、剣を抜く隙も与えない。
一分も経たずに、エドリアック王の部隊は全滅した。
最後に絞め殺した兵士を投げ捨てると、ノアは王の家の方を見つめた。
「さて、起こしてやる時間だ」とノアは囁いた。
肩への軽い、しかし確実な刺激で、私は夢から引き戻された。
目を開けると、目の前にノアが立っていた。
「起きろ」
無駄な質問をしている時間はない。
精神的なインパルスに反応して義手のサーボモーターが静かに駆動し、私はベッドから車椅子へと慎重に移った。
音もなく工房の大きな窓へと近づく。
ノアが私の横に立ち、壁の深い影と同化していた。
ここからならキャンプの中央広場が一望できる。
数分後、ゲストハウスのドアが激しく開かれ、エドリアック王が飛び出してきた。
怒りと混乱で歪んだ顔からは、純粋な悪意が滲み出ている。
その後ろから、兜を被り、重い剣を抜いた残りの近衛兵たちが、甲冑を激しく鳴らして雪崩れ込んできた。
(八十八人か)と私は心の中で思った。
同時にリュモンが視界の隅で小さく唸り、計算を確定させる。
エドリアックが口を開くよりも早く、私は耳をつんざくような拍手を送った。
パチン!
その瞬間、ドルンハイムの全域で数十の松明が一斉に燃え上がった。
闇が退き、広場は鮮やかなオレンジ色の光に包まれる。
ハイブリッドハウス、テント、木材の山の陰から、人の輪が姿を現した。
彼らは全員、あらかじめ準備された位置につき、王の近衛兵を黙って厳しく見つめている。
私は車椅子を工房のポーチへ滑り込ませた。松明の光を正面から受けて。
「エドリアック卿!」私の声は驚くほど大きく、力強く響いた。
「貴方の部下は、私の工房を武装襲撃し、このキャンプで虐殺を試みました! この暗殺未遂をどう説明するつもりですか?」
彼は傲慢に背筋を伸ばし、周囲を取り囲む労働者たちを軽蔑の眼差しで見下ろした。
「戯言だ! 卑劣で汚らわしい嘘だ!」エドリアックが吠えた。
「私の騎士たちは法に照らして潔白だ! 根拠のない空想で、王冠を戴く身を告発するのか? 証拠はあるのか!」
私はノアに短く頷いた。
ノアはポーチから飛び降りると、最初の二つの部隊の、縛り上げられ打撲を負った武装解除された兵士たちを、エドリアックの金のブーツの前に放り投げ、静かに笑った。
王は打ちのめされた部下たちを見下ろし、冷笑を浮かべるだけだった。
「これが証拠か? この高潔な男たちが、寝込みを襲うとでも本気で思っているのか? 悲惨な連中が夜中に用を足したかっただけではないのか? あるいは、私の指揮官が、この荒野で陛下の安全を守るために正当な夜間偵察を試みただけではないのか?」
「ほう、そうでしょうか?」
私は微かに笑い、ノアを見た。「やれ」
ノアは一歩でエドリアックとの距離を詰めた。
滑らかな動作で、王の豪奢なカフタンの襟の下に手を差し入れると、何かを掴み取り、瞬時に私の車椅子のそばに戻った。
その掌の上には、小爪ほどの大きさの、オメガ合金製の小さな黒い合金の装置があった。微かに赤いネベスナヤ鉱石の点が輝いている。
私のハイテク音声盗聴器だ。
私はリュモンを通じてワイヤレス接続を起動し、膝の上に置いたプロトタイプのスピーカーと同期させた。
「では、貴方の『偵察』とやらを聞いてみましょう、陛下」
バーチャルボタンを押しながら言った。
武器のスピーカーから、広場全体に響き渡る明瞭で録音された声が流れた。
紛れもなく、二十五分前にエドリアック王本人が指揮官に下した命令だった。
『……アイアンは死なねばならん。鉱石は私のものだ……キャンプを掃除しろ。もし必要なら、全員殺せ! ただし、あの娘、クララだけは生かしておけ。まだ使い道がある……』
音声は乾いた音と共に切れた。
広場は死のような静寂に包まれた。
エドリアックの頭の中で、思考が走る。
(知ったことか! 録音なんてどうでもいい! ここにいる私の軍勢なら十分だ。皆殺しにして、家を焼き払い、証拠を消せばいい! 首都の誰にも、ここで何が起きたかなんて分からない!)
王の指が、怒りのあまり金の剣の柄を握りしめる。
流血の命令を下そうと口を開いた、その瞬間。
剣が鞘からわずか数センチ動いたその時、声が王の頭の中に直接響いた。
『そのサーカスを始めたら、どんな結末が待っているか分かっているだろうな』
王は硬直した。剣を握る手が激しく震え始める。
麻痺させるような恐怖がエドリアックの理性を拘束した。
心臓が狂ったように高鳴り、冷や汗が額と背中を伝う。エドリアックは一歩も動けない。
私は王の顔を注意深く観察した。
彼は虚空を見つめている。まるで悪魔そのものが目の前に立っているかのように。
(盗聴器のせいか? いや……違う何かが起きている。だが、いずれにせよこの機会を逃すわけにはいかない)
私は手で空を切り裂くように言った。「ここから出ていけ、エドリアック」
王はヒクリと喉を鳴らした。
麻痺した指を、根気強く力を込めて剣の柄から引き剥がす。私を見ることなく、踵を返すと、枯れた声で軍に命じた。
「撤退だ! 全軍……ただちにこのキャンプを去れ! 馬車へ! 急げ!」
部下の騎士たちは衝撃と困惑の中にいた。
指揮官たちは顔を見合わせ、圧倒的な軍事力がありながら、なぜ王がたった一握りの民兵相手に逃げ出すのか理解できない。
だが、王の命令は絶対だった。
アヴェルスの近衛兵たちは疑問を抱くこともなく、悪態を吐きながら馬と馬車へと急いだ。
漆塗りの車輪がキャンプを離れていく中、近衛隊長は耐えきれず、蒼白で震える王に尋ねた。
「陛下……無礼を承知で伺いますが、なぜ撤退されたのですか? あのクズ共など数分で踏み潰せたはずです!」
エドリアックは、狂気じみた視線を将軍に向け、歯の間から震える声で絞り出した。
「馬鹿め……もし戦闘を始めていたら……奴は知ることになる! すぐさまバレるんだ! お前には何も分からん……何も分かっていないんだ!」
馬車の騎士たちは、彼が誰のことを言っているのか知る由もなく、ただ黙り込んだ。
王の車輪の音が遠ざかると、重苦しい緊張がようやく解けた。
労働者たちは松明を消し始め、傲慢な王を追い出したことを陽気に話し合っていた。
クララが鍛冶屋のポーチから静かに降りてきた。
私は車椅子を彼女に向け、心からの笑顔を浮かべた。
「素晴らしい仕事だった、クララ。そして……すまない。あの卑劣な馬鹿の気を引くために、あんな汚い手に触れさせてしまって、本当に申し訳ない」
クララは安堵の溜息をつき、微かな笑みを浮かべた。
疲れた様子で額の髪を払い、首を振る。
「大丈夫よ、アイアン。気にしないで。私が自ら志願したことだもの。あの……なんて言ったっけ? そう、『盗聴器』を仕掛けるために。うまくいったのが何よりよ」
「ああ、完璧にうまくいったな」と、後ろから来たノアが、手のひらで小さな装置を弄びながらニヤリと笑った。
私もノアに合わせて微かに笑ったが、心の中は穏やかではなかった。
エドリアックの顔が、まだ目に焼き付いている。
(昨日も今日も……あいつの態度はあまりに芝居がかって見えた……)と私は考えた。
(緊張しすぎだったのか? いや、それにしては……一体全体、あれは何だったんだ?)
私は車輪が消えていった夜の道の方角を、思慮深く見つめた。
頭が、少しずつ痛み始める。




