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第163話:未来の素材

ノアは自ら、坑道における新たな採掘坑の掘削指揮を執っていた。


疲労困憊の作業員たちを無言で見つめる。


彼の研ぎ澄まされた感覚は、地下世界のあらゆる衣擦れの音、あらゆる吐息を捉えていた。


突如、奥の行き止まりから、不自然なほど甲高い打撃音が響き渡った。


鮮やかな黄色い火花の束が、灰色の壁を一瞬だけ照らし出す。


一人の作業員が、先端の曲がったツルハシを辛うじて握りしめながら、悪態をついて後ずさった。


「今度はなんだ?」


ノアは瞬時に作業員の傍らへ移動した。


「何かに行き当たったようです、ノア様……」


男は荒い息を吐き、切羽きりはを指さしながら呟いた。


「鋼が立ち打ちできません。火花が散るだけで、石には傷一つ付かないんです」


ノアは作業員を押しのけ、露出した鉱脈へ松明を近づけた。


岩肌の奥深く、地殻のプレートが重なり合うような場所で、二つの物質が絡み合っている。


第一の鉱石は、深く、濃密な青色をしていた。


第二の鉱石は、さらに奇妙だった。


ノアが松明をわずかに揺らすだけで、その鉱物は滑らかに色を変えた。


真紅、翠緑エメラルド、瑠璃色、そして深い紫が、同時に入り混じって揺らめき立つ。


ノアは手を伸ばし、露出した岩肌に指を触れた。


端をこじ開けようと試みる。


「この区画の作業はすべて中止しろ」


ノアは氷のような声で命じた。


そしてコンバットナイフを抜き放ち、石の欠片を慎重に削り出し始めた。


十五分後。


工房の扉が大きな音を立てて開け放たれた。


ノアが入ってくるなり、二つのずっしりとした岩の欠片を作業台に投げ出す。


鈍い金属音が木板に響き、危うく空の小瓶をいくつか潰しかけた。


アイアンは身を乗り出し、濃紺の破片を手に取った。


重い。


信じられないほど高密度だ。


アイアンは鋼のタガネを端に押し当ててみた。


だが工具は滑り、刃そのものが削れたような微かな灰色の痕跡が残っただけだった。


「面白いな……」


彼は呟いた。


「リュモン。深層構造スキャンを実行しろ」


データ列が技術者の目の前で点滅する。


ホログラムの光線が青い鉱物をゆっくりと走査し、結晶格子の立体モデルを構築し始めた。


【オブジェクトNo.1 解析】


構造:未知の超高密度結晶格子。


物理的強度:炭素鋼の12倍を凌駕。極めて高い対装甲貫徹耐性。


融点:極めて低い(約320℃)。


アイアンは眉をひそめた。


「こいつは『オーシャン(海)』と名付けよう」


青い石を指先で回しながら、彼は静かに言った。


「もし発信タワーが強力な炎の魔法を食らったり、内部でただの火災が起きただけで、この金属は簡単に溶け落ちてしまう。この強度を維持したまま、人工的に耐熱限界を引き上げる方法を考えなければ」


技術者は『オーシャン』を脇に置き、二つ目のサンプルを手に取った。


オイルランプの光を浴びたそれは、彼の手のひらの上で翠緑から真紅へと色を変えている。


「リュモン、オブジェクトナンバーツーだ」


【オブジェクトNo.2 解析】


構造:無秩序型光屈折結晶マトリックス。


物理的強度:高。


融点:極めて高い(3000℃以上)。熱衝撃への耐性あり。


「なら、お前は『レインボー(虹)』の鉱石だな」


揺らめく色彩を見つめながら、アイアンは微かに微笑んだ。


技術者は二つの石を並べて置いた。


これらをそのままの状態でタワーの構造に組み込むのは愚の骨頂だ。


だが、もしその特性を掛け合わせることができたら?


『レインボー』の鉱石をタワーの外部断熱ジャケットとして用い、熱の直撃を受け止める。


そして『オーシャン』を内部の強固なモノリスの骨格として、超音波の桁外れな振動を抑え込む。


「助かったよ、ノア。最高の発見だ。休んでこい」


アイアンはそう言い、再び木炭の鉛筆へと手を伸ばした。


しばらくして、工房の重い扉が再び軋んだ。


だが今度入り口に現れたのは、ダーウィンの姿だった。


彼は無言のまま作業に取り掛かった。


消えかかっていた炉の火を吹き起こし、耐火るつぼを準備する。


重いトングを並べ、冶金テストができるよう作業台の上を片付けていく。


滑らかで迷いのないダーウィンの動きを眺めながら、アイアンはふと、思いがけない考えに捉われた。


(俺は、なんて恵まれているんだ。こんな奴らがいてくれて)


このチームの自律性は、彼に莫大な工学的優位性をもたらしていた。


もしドルンハイムが彼個人の力だけで成り立っていたとしたら、すべての課題を同時に解決しなければならなかっただろう。


固定式タワーを単なる防衛施設としてではなく、巨大な居住用バンカーとして設計し、全住民を一つの屋根の下に住まわせて守る必要に駆られていたはずだ。


だが、居住区と高出力の軍事用発信器を統合するなど、技術的な自殺行為に等しい。


居住用の塔は、定義上、重装甲にはなり得ないのだ。


人には光を採り入れるための数百の窓が必要であり、空気のための巨大な換気シャフトが必要だ。


内部には広大な空間を要し、完全なモノリスではなく薄い間仕切りが求められる。


一言で言えば——絶対的な悪夢だ。


(これがお前の望みだったのか……ゼノ?)


アイアンは深く、考えを巡らせた。

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