第160話:妥協なき道
オイルランプの息が詰まるような煙。
冷え切った茶の、四杯目のカップ。
作業台の上には、殴り書きされた図面や数字、折れ線が描かれた紙の山が高く積み上がっていた。
一日はあっという間に過ぎ去り、窓の外にはとっくに深い夜が帳を下ろしていた。
ヴァルデスは対面に座り、重い頭を片手で支えていた。
「すべて考え抜いたか、アイアン」
ヴァルデスの声は低くかすれていたが、そこに含まれる重圧は未だに健在だった。
「考えを変える気は起きたか?」
「俺の答えは変わらない」
アイアンは言った。
「王冠が鉱石を百パーセント手に入れることはない」
ヴァルデスは勢いよく背筋を伸ばした。
その手のひらが力任せに天板に叩きつけられ、土のカップが跳ね上がる。
「条件を倍にするぞ、小僧」
「二週間ごとに、物資のキャラバンを二つだ。医薬品は三倍の量を保証する。この壁の中にいるすべての魂に対し、私の名において個人的な安全を約束しよう」
「今すぐ、どんな勅令にもサインしてやる。お前の街は帝国直轄領の地位を得るのだ」
「ほかに何が望みだ? 武器か? 布地か? 金か? 望む価格を言え」
王は荒々しい動作で、まっさらな羊皮紙とインク瓶をアイアンの前に押し出した。
アイアンは無言で丸くなった鉛筆を手に取り、文字の埋まった紙の一枚を裏返すと、その中央に太く歪んだ一本の線を引いた。
「ここを見てくれ、ヴァルデス。食料のキャラバンが倍になれば、俺の民は一ヶ月で土地を耕すのをやめる」
「親切な王様が白いパンをタダで送ってくれるのに、なぜ石だらけの土地から乏しい収穫をかき集める必要がある?」
「あんたの近衛兵が壁に立てば、俺の民は石弓のどちら側を持てばいいのかさえ忘れるだろう。あんたは俺たちを、自分の麻薬に漬け込もうとしているんだ」
アイアンは芯で紙をトントンと叩いた。
「そして五年か十年後、上層の鉱石が枯渇するか、あるいはあんたの首都で危機が起きたとき、あんた方はあっさりとキャンプを畳み、兵を連れて去っていく」
「そうして、原生林の真ん中に、自立する術を失った無力な居候の群れと俺を取り残すんだ」
技術者は鉛筆を机に放り出した。
それは転がり、汚れた床へと落ちる。
「供給についての話ならできる。だが、採掘量と分配のコントロール権は俺のものだ。採掘量の四十パーセント。これが俺の限界(天井)だ」
「この条件で取引をするか、さもなくば一切取引をしないかだ」
話し合いはすでに十時間近く堂々巡りを続けていた。
言葉の一つ一つが一トンの重みを持っていた。
アイアンは窓の外を見た。暗闇だった。
「もう遅い」
疲弊した王を見つめながら、彼は静かに言った。
「もう一晩、泊まっていってくれ」
ヴァルデスは短く首を振った。
「すまないが、私は自分の王国へ戻らねばならん」
「……なら、見送らせてくれ」
息の詰まるような工房から出ると、夜の冷気が顔を叩いた。
ドルンハイムの門の前には、濃密な闇が垂れ込めている。
馬車のランタンの光が、かろうじてその暗闇を穿っていた。
アイアンは敷居のすぐ手前で車椅子を止めた。
馬車の扉が、くぐもった音を立てて閉まる。
アリアンと近衛兵たちがそれぞれの位置についた。
馬たちが一斉に駆け出す。
アイアンは遠ざかる車列に向けて片手を上げた。
車輪の轟音が完全に途絶えた瞬間、彼は肩の力を抜き、ひじ掛けの上に重々しく腕を下ろした。
頭が割れるように痛む。
彼は深くため息を吐いた。
「やっと行ったか……」
その頃、馬車の内部は暗く、激しく揺れていた。
車輪が何度も道路の窪みに落ちる。
アリアンは長い間沈黙し、王の横顔を見つめていた。
ついに、若い近衛兵は耐えかねて口を開いた。
「陛下……本当にこのままにしておくのですか? これでよろしいのですか? 我々は手ぶらで立ち去ることになります」
ヴァルデスは暗く、皮肉な笑みを浮かべた。
「手ぶらだと? これは始まりに過ぎん」
「ドルンハイムは喉に刺さった骨だ。だが、それは私にとってだけではない」
「私のほかにも、まだ二人がいる。エドリアクとオルゲルドだ」
王は部下の方を向いた。
「私はドルンハイムに対し、王冠が平和的であり得ることを示してやった。これで私は手を引く」
「今度はあの二人に、奴を『説得』させてみるがいい。どうなるか見ものだな」
ヴァルデスは突然、口を閉ざした。
その指が固く拳を握りしめる。
「いい加減、反吐が出る……」
彼は歯の隙間から呪うように呟いた。その声には激しい怒りが滲んでいる。
「あいつの思い通りに踊らされるのは、もう真っ平だ」
翌朝、ドルンハイムは瞬時にいつもの現実に引き戻された。
泥、機械油、実直なまでの重労働。
地鳴りのような轟音が再び広場を満たしていた。
斧が響き、鋸が悲鳴を上げ、労働者たちは新しい宿舎のための重い未加工の丸太を運んでいる。
マレクは製材所に立ち、木こりたちに向かって声を枯らしながら、ペースを上げろと怒鳴り散らしていた。
診療所では、アルバート医師が無言で集中しながら新しい軟膏を煮詰め、清潔な包帯を並べていた。
アイアンは鍛冶場へと車椅子を走らせた。太陽の光が目に刺さる。
天幕のそば、木製の梁に背を預けて立っている男がいた。
「ノア」
アイアンは少し離れた場所で車椅子を止めた。
「サボるのはそこまでだ。仕事がある」
「……なんだよ」
「お前の部下を連れて行け。鉱山の最下層の鉱脈に降りるんだ」
「できるだけ多くの『黒い鉱石』を地上へ引き上げる必要がある。至急、膨大な備蓄が必要なんだ」




