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第158話:王の訪問

ダーウィンは煤けた前腕で額の汗を拭い、横に唾を吐き捨てた。


「またか」


彼はぼやいた。


「また気高いお方が文句を言いに来やがった」


馬車の扉が勢いよく開く。


まず見えたのはブーツ。極上の革で仕立てられ、目が眩むほど輝いている。


次いで、持ち主本人が姿を現した。


ヴァルデスが広場を見回す。


泥。鍛冶場の煤。安っぽい煮込みの匂い。


彼の顔が嫌悪で歪んだ。


「お前の領主はどこだ?」


ヴァルデスの声は平坦だった。


「あるいは、この……集落を統治している魔術師か。呼んでこい。急げ」


沈黙。


ただ、ダーウィンの鍛冶場の火が轟々と燃える音だけが、その空白を埋めていた。


倉庫の影から軋み音が響く。


油切れの車軸が立てる不快な音だ。車椅子がゆっくりと、馬車に向かって転がり出てきた。


アイアンの姿は酷かった。


髪は乱れ、眠れぬ夜のせいで目の下には隈が浮かんでいる。頬には新しい油の染みがあった。


ヴァルデスは見下ろした。


一秒、二秒と待つ。


王はため息をつき、忍耐を保とうとした。


「道をあけろ。父親か、誰か責任者を呼べ。地元の子供と遊んでいる暇はない」


アイアンが視線を上げた。


(俺を誰だと思っている?)


思考が脳裏をかすめる。


「俺がアイアンだ。ドルンハイムのリーダーだ」


「つまり、この街も、この図面も、部下たちも、すべてお前の手柄だと言いたいのか? 嘘をつくな。リーダーがどんなものかくらい知っている。本当の主はどこだ?」


ノアが門の影から踏み出た。


「嘘じゃないぜ」


ノアが低く言った。


ダーウィンが鍛冶場から出てきて、重いハンマーを金床にガシャンと叩きつけた。


「アイアンがボスだと言っただろ」


彼は布で手を拭いながら唸る。


「まだ何か質問はあるか? 『陛下』」


マレクと十数人の作業員が、無言で一歩前に出た。


ヴァルデスはアイアンから群衆へと視線を移した。


「……本当だったのか」


ヴァルデスはゆっくりと手袋を片方脱いだ。


(やれやれ……思ったより簡単そうだな)


彼は内心でそう考えた。


工房は松脂と機械油、そして乾燥したミントの匂いで一行を迎えた。


アイアンは三つの土のカップに熱湯を注いだ。


「どうぞ、陛下」


アイアンは穏やかに微笑み、客にカップを差し出した。


「大したものじゃありませんが、ミントティーです。長旅の疲れを取るにはいいでしょう」


ヴァルデスは黙って重い兜を脱ぎ、作業台の端に置いた。


鎧の下からは、45歳ほどの男の顔が現れた。短く刈り込んだ白髪交じりの髪と、目尻に深い皺が刻まれている。


彼は旅外套を丁寧に整えて座った。


「感謝する」


ヴァルデスは一口飲み、目を閉じて満足げに頷いた。


「いい茶だ。なあ、アイアン……私は自分の過ちを認めることができる男だ。お前は、民に二度目のチャンスを与えた。そのことには敬意を表する。外交的な飾り言葉なしで話したい。だから、私のことはただヴァルデスと呼んでくれ」


「光栄です」


アイアンは礼儀正しく頭を下げた。


「その姿勢は評価します。では……なぜ王冠がドルンハイムを求めているのですか?」


王がカップを置く。その眼差しは、死ぬほど真剣なものに変わっていた。


「お前たちの鉱石が必要だ。下層の鉱脈から採れる分を、百パーセントだ。引き換えに、我が王国の歴史上、どの地方も受け取ったことのない条件を提示しよう」


ヴァルデスが指を一本折った。


「第一に、ドルンハイムを完全な自由都市とする。王室への納税は一切不要。お前たちは独自の法律に従い、私の役人は二度とここに足を踏み入れない」


二本目の指を折る。


「第二に、二週間ごとに首都からキャラバンを送る。穀物、干し肉、布地、道具類をな」


三本目。


「第三に、王立守備隊の大隊を派遣する。百戦錬磨の精鋭二百だ。彼らが壁を守り、森の獣を掃討する。その間、お前たちは安心して建設と発明に打ち込め。安全は我々が完全に責任を持つ。食事も、守りも、絶対的な自由も提供しよう。見返りは、鉱石のみだ」


ヴァルデスは椅子に深く背を預けた。


門番として扉のそばに立っていたノアでさえ、ナイフを弄る手を止めた。


(あまりに寛大で、あまりに愚かな提案だ。第一、ドルンハイムは既に独立都市だ。第二に、飯ならそこら中に走っている。第三に、俺にはエリリアとノアがいる)


アイアンは内心でそう思った。


彼の顔には、温かく誠実な笑みが浮かんだ。


ヴァルデスが言い終えると、アイアンはカップの茶を一口すすり、丁寧に置いてから、王の目を真っ直ぐに見つめた。


「ヴァルデス、我々に非常に寛大な条件をありがとうございます」


アイアンは静かに言った。


「あなたの提案は、この立場にある支配者なら誰もが夢見るものです。正直に言って、誰であれ今すぐ契約書にサインするでしょう」


アイアンは短い間を置いた。


「しかし、拒否せざるを得ません」


ヴァルデスはカップに伸ばしかけた手を止めた。


ゆっくりと作業台に手を下ろし、アイアンから一度も視線を外さない。


工房に重苦しい沈黙が垂れ込めた。


「理由は?」


王が短く問いかけた。


「完璧な条件です。あなたの食料、我々の壁を守る兵士。私の民は、生存について考えることを止めてしまうでしょう」


アイアンは図面を指で軽く叩いた。


「十年後、上層の鉱脈は枯渇する。あるいは、あなたに代わって、ドルンハイムへの義務感など欠片もない新しい王がやってくる。その時、どうなります? 自ら食い、自ら守る術を忘れた私の街は、一瞬で滅ぼされるでしょう。三十パーセントか、四十パーセントの話ならできます。ですが、ドルンハイムの支配権は私のものです」


ヴァルデスは長く黙り込んでいた。


「冷静な計算だな」


彼は立ち上がりながら言った。


「現代には珍しい資質だ。考える時間をやろう、アイアン」


その時、アイアンは窓の外を見た。


「もう遅いですから、陛下……いえ、ヴァルデス」


アイアンは言った。


「今夜はバンカーの警備区域に宿泊されることを提案します。明日、頭が冷えた状態で続きを話しましょう」


「よかろう」


ヴァルデスは頷いた。


工房の扉が静かに軋んだ。クララが入ってきて、エプロンで手を拭く。


「アイアン、食事ができたわ。お客様を招いて」


バンカーの小さな食堂。


そこにはアイアン、ヴァルデス王、そして親衛隊員三名が座っていた。


表向きは穏やかだったが、空気には緊張が張り詰めていた。


クララが王の前に肉の煮込みを置くと、部下の一人であるアリアンが黙って前に進み出た。


小さな銀のスプーンを取り出し、王のスープを少しすくって飲み込む。


毒がないことを確認すると、アリアンは短く頷き、王の背後に下がった。


黙々と食事をする。


食器がぶつかる音だけが響いた。


アイアンが先に終えた。


空になった皿を退け、手を膝に下ろして、短い動作をした。


人差し指と中指の二本で、膝頭を速く、鋭く三回叩く。


トントントン。


扉のそばに立っていたノアが、その合図を即座に捉えた。


瞳孔が一瞬収縮する。二人の間だけの秘密のコードだ。


信号の意味は、『今すぐ二人きりで話さなければならない』。


十分後、彼らは客室から遠く離れた、暗く狭い廊下の突き当たりに立っていた。


「何があった?」


ノアが静かに問う。


「王様は至極まっとうに見えたが」


「ノア、よく聞け」


アイアンは耳元で囁くように言った。


「お前とエリリアだ。今すぐ彼女に伝えろ。夜が明けるまで、一瞬たりともヴァルデスたちから目を離すな。完全な監視だ。奴らの挙動をすべて追え」


ノアが眉をひそめた。


「逃亡でも狙うと思ってるのか?」


「……嫌な予感がするんだ」


「分かった。やってやる。だが……」


「いいや、お前が彼女と一緒にいろ。それだけだ」


アイアンは、まるでノアの考えを見透かしたように断言した。


「くそっ……」


ノアが唸り、闇の中に溶け込んでいった。

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