第157話:新たな任務
三日後、ドルンハイムは精密に調整された機械へと変貌を遂げていた。
通りを覆っていた泥は太陽の熱で焼け焦げ、乾ききっている。
リズミカルな斧の音と、鋭い金属の打撃音が、かつての不安な静寂を集落から完全に追い出していた。
マレクは南側の外周に沿って掘られた塹壕の中に、腰まで浸かって立っていた。
「もっと右だ!」
彼は二人の労働者に向かって怒鳴った。彼らは木の丸太を使い、焼け焦げた石のブロックを死に物狂いで持ち上げようとしている。
「お前のテコはトネリコ材だ! その角度じゃマッチ棒みたいに折れちまうぞ!」
「支点の下に石を噛ませろ、早く!」
男たちは無言で体勢を立て直し、余計な口を叩かずに指示に従った。
数少ない無傷の石造りの建物に急造された臨時診療所。
そこは、医療用アルコールと乾燥したヨモギの鼻を突く匂いが充満していた。
ドルンハイム唯一の医者であるアルバートは、苛立たしげに呻き声を上げた。
若い木こりの前腕に、きつく粗い縫合を施している最中だ。
「鉄ってのは頑丈なもんだ、小僧。だが、お前の肉は違う」
老人は糸を勢いよく引きちぎりながら文句を言った。
「また素手でワイヤーの張力を確かめようなんて馬鹿な真似をしたら、二度と縫い合わせてやらんからな」
「清潔な布を巻いたら、とっとと失せろ」
「次! トゲが刺さったって奴はどいつだ!」
鍛冶場の奥深くは、息が詰まるほどの熱気に包まれていた。
アイアンは一番奥の隅、轟音を立てる溶鉱炉から安全な距離にある急造の机に向かっていた。
目の前には分厚い羊皮紙が山積みになっている。
その一枚一枚に、精密で完璧な図面が描かれていた。新型のウインチ、強化されたツルハシ、運搬用荷車の超高強度な車軸。
「ダーウィン、この歯車の歯の傾斜角は正確に15度でなければならない」
アイアンは鉛筆の丸い尻で図面を叩きながら言った。
「1度でも狂えば、実際の負荷がかかった瞬間にチェーンが外れるぞ」
ダーウィンは白熱した鉄の塊に力いっぱいハンマーを振り下ろした。
薄暗がりに、猛烈な火花の滝が舞い散る。
「分かってる。まずは鋼に呼吸をさせてくれ」
「ああ」
昼食の時間は、ドルンハイムが知る唯一の静寂の孤島だった。
機械の不協和音が鳴り止み、木のスプーンが鉢に当たる鈍い音に取って代わる、ただ一時間だけの孤独な時。
広場にある巨大な共同鍋の周りでは、野草と、数日前に狩ったばかりのあのイノシシの、濃厚で食欲をそそる湯気が立ち込めていた。
アイアンは少し離れたキャンバス地の天幕の陰に座り、手つかずの食事を膝の上に置いていた。
その少し先、倒れた太い丸太の上にだらしなく座っているのは、例の二人組だった。
「俺の飯からその雑草をどけろ」
ノアが気怠げに呟いた。
掘り返された土の中から青白い緑の芽が顔を出し、彼のブーツにきつく巻き付くと、ゆっくりと皿の縁へと這い上がっていた。
「雑草じゃないわ。センサーよ」
エリリアが滑らかに答える。
彼女は直射日光が当たる場所に陣取り、顔を太陽の温もりに向けていた。
「あなたはいつも暗闇に隠れてばかりいるから、息をしているかどうかも分からないのよ」
「完全に腐ってないか確かめてるだけ。あなたからは冷気しか感じないもの」
「それを冷酷って呼ぶんだよ」
ノアはトレンチナイフの平らな部分で、無造作に蔓を払い除けながら言い返した。
「お前からは湿った土の匂いがするぜ」
「よく言うわ」
エリリアは鼻で笑い、髪に編み込んだ野花を直した。
「昨日、自分がバテてるのを認めたくなくて、『空気に触れて短剣が鈍った』なんて三十分も愚痴ってたのは誰かしら?」
「この森の空気は、お前の安っぽい手品で充満しすぎてるからな」
ノアが即座に打ち返す。
アイアンは遠くから二人を観察しながら、ゆっくりと息を吸い込んだ。
(こいつらの意地っ張りな口論には本当にうんざりする……)
(まあ、これが奴らなりの安全距離の保ち方なんだろうが)
(それでもやっぱり、頭痛の種でしかない)
「二人とも、威嚇し合うのはやめろ」
アイアンは声に出して言い、車椅子を丸太の近くへと進めた。
「この三日間で、お前らは俺の一生分の神経をすり減らしてくれたぞ」
「こいつが先に始めたのよ」
エリリアがすかさず噛み付く。
「こいつの存在そのものが耐えられないんだよ」
ノアも同じトーンで付け加える。
アイアンはただ首を横に振った。
「ノア、飯が終わったら南の境界を偵察してこい」
「マレクの話じゃ、斥候が妙な足跡を見つけたらしい」
「エリリア、アルバートの湿布作りを手伝ってやれ。あそこの消毒薬が完全に底をついたそうだ」
二人は同時にため息をついた。
だが、丸太から立ち上がるタイミングは完璧にシンクロしていた。
その頃、ここから何マイルも離れた場所。
南の街道は引き裂かれ、粉砕された泥濘と化していた。
だが、黒焼きの鋼で装甲された巨大な馬車が、止まることのない勢いでその道を突き進んでいる。
車内では、厚いベルベットのクッションに寄りかかり、一人の男が座っていた。
印章指輪がはめられた指が、幅広の剣の柄頭をゆっくりと、リズミカルに叩いている。
「ドルンハイム、か……」
色付きガラスの窓の向こうを流れる、色褪せた灰色の荒野に冷たい視線を向けながら、男は静かに呟いた。
「さて、どれほどの価値があるか見せてもらおうか」
――三ヶ月前。
鉄の松明の不安定な炎だけが照らす地下広間に、三人の男が立っていた。
ヴァルデス、エドリアク、そしてオルゲルド。
長いテーブルの奥にある深い影の中から、声が響いた。
「動揺しているな。非合理的だ。恐怖はデータを曇らせる」
「我が君……」
エドリアクが口を開いたが、その声は途切れ、喉の奥へと消えた。
「ドルンハイムは、我々が何十年も探し求めてきたものを掘り当てた」
影からの声は冷酷で、一切の妥協を許さない。
「鉱石だ。これから来るべきもののための燃料」
「私は供給の百パーセントを必要としている。九十九パーセントではない。百だ」
「これは要求ではない。お前たちが今後も存在し続けるための基本条件だ」
シルエットが微かに動いた。
羊皮紙に羽ペンが食い込む鋭い擦過音が、静まり返ったアーチ型の広間に響き渡る。
「お前たちの任務は単純だ。交渉せよ」
「金と、爵位を提示しろ」
「もし彼らの指導者が……強情であったなら、排除しろ」
「そして、そこに潜んでいる魔術師はすべて掃討するのだ」
「世界に巣食うあの寄生虫どもは、進歩の妨げにしかならない」
「では、平民たちは?」
老オルゲルドが、掠れたしわがれ声で尋ねた。
「もし血を見る事態になれば……」
声は一瞬で低くなり、息が詰まるほどの重圧を帯びた。
「街の住人は生かしておけ。どんな代償を払ってでもだ」
三人の王は、干からびた喉で重く唾を飲み込んだ。
「承知いたしました、我が君」
ヴァルデスが全員を代表して答えた。
「よろしい。下がれ」
彼らは暗闇に背を向けないよう細心の注意を払いながら、ゆっくりと部屋を後ずさった。
重い鉄の扉がうめき声を上げてついに閉まると、広間の声は再び、何もない虚空に向かってかろうじて聞こえるほどの囁き声で語りかけた。
「さて、アイアン……」
「お前の精神が、あの魔法の汚泥からどれほど綺麗に保たれているか、見せてもらおうか」
――ドルンハイム。現在。三時間後。
エリリアは街の広場の中央で立ち尽くした。
彼女の指が、近くに生えている木の皮に痙攣するように食い込んでいる。
「どうした?」
瞬く間にノアが彼女のそばに現れた。その手はすでに短剣の柄に置かれている。
「地面が震えてる」
精霊は恐怖で目を丸くしながら囁いた。
「モンスターの蹄じゃない。蹄鉄を履いた馬よ」
「重い鉄。高価な木材」
「誰か……強力な者が、私たちの門に近づいているわ」
「警報だ!」
ノアが吠え、マレクの方へ勢いよく振り返った。
「住民をバンカーへ! 壁に配置を付け!」
ドルンハイムは瞬時に牙を剥いた。
木の防柵に沿って、十数丁の重石弓がカチャリと音を立てて溝にはまる。
だが、曲がり角の向こうから進軍してくる前衛部隊の代わりに姿を現したのは、たった一台の馬車だった。
金箔で輝き、見慣れぬ紋章を掲げたそれを見た瞬間、集落の上に緊張に満ちた、言葉のない静寂が降り降りた。
馬車の扉が開く。
完璧に磨き上げられた最高級の革のブーツが、泥の中にしっかりと足を踏み下ろした。




