第140話:歪んだ残響
朝は、叫び声に振り返ったヴァルターが危うく転びそうになることから始まった。
「キャプテン!」
声はどこか左の方、黒焦げた梁の入り組んだ向こう側から聞こえた。
ヴァルターは反射的に右へ身をすくませ、視線は本能的に空虚なクレーターと灰色の塵の上を滑った。
頭が激しく回り、一瞬、世界が濁った染みのようにぼやける。
彼は目をきつく閉じ、冷たい壁の残骸にすがりついて、平衡感覚が戻るのを待った。
破れた鼓膜のせいで、空間認識は悪質な冗談のようになっていた。
「私はここだ」
反対側から近づいてきたアルベルトが、その重い手を彼の肩に置きながら言った。
ヴァルターはびくりと身体を震わせた。
「そんな風に忍び寄らないでくれ。音がどこから聞こえてくるのか、分からないんだ」
「今は誰も同じさ」
医師は素っ気なく答えた。
「ついてこい。ノアが待っている」
二人は野営地を通り抜けた。
生き残った者たちの動きは鈍かった。
湿った枝で火を起こそうとする者もいれば、ただ冷たい地面に座り込み、一点をぼんやりと見つめているだけの者もいる。
「グリーンゾーン」の内部、重いキャンバス地の天幕の下は、アルコールと酸化した脂、そして腐敗の臭いが充満していた。
アルベルトは、清潔な布切れの上に自身の道具を並べた。
二本の曲がった針、粗い糸の巻き筒、黒ずんだ鉗子、そして工房から救い出した工業用アルコールの入った水筒。
ノアは木箱に座り、右肩から上着を脱ぎ下ろしていた。
アルベルトは無言で、傷口にアルコールを浴びせた。
「泥だらけだな」
鉗子で筋肉の組織から微小なレンガの破片を摘み出しながら、アルベルトが呟く。
「これ以上傷口が開かないように皮膚は縫合するが、深くまでは抉らない。お前の体が自力で対処できなければ、一週間で腕は腐り落ちるぞ」
「縫え」
ノアは短く吐き捨てた。
針が、はっきりとした音を立てて分厚い皮膚を貫いた。
「左肩も良い状態とは言えないな」
アルベルトが指摘する。
「肩甲骨全体に血腫が広がっている。肋骨は無事か?」
「息をすると痛む」
ノアは答えた。
「なら、ヒビが入っているな。後で乾いた布が手に入ったら固定しよう」
ノアの処置を終えると、アルベルトは血まみれの手をエプロンの裾で拭い、天幕の奥に横たわる者たちへと向かった。
ウェイランド伯爵は低い簡易ベッドの上に横たわっていた。
引き裂かれた上着の隙間からは、分厚い包帯が見えている。
「ウェイランドはエリアスとの戦いで深い傷を負った」
アルベルトがヴァルターに説明した。
「一撃が深く入り、肺を掠めている。尋常ではない量の血を流した。だが、彼は頑丈だ。心臓の鼓動も安定している。熱さえ出なければ、持ち直すだろう」
そして医師は、隣の寝床へと視線を移した。
そこにはアイアンが横たわっていた。
「だが、こっちの状態ははるかに悪い」
アルベルトは慎重にシーツをめくった。
「固定具の残骸を取り除こうとしたんだが、前腕の深くへと溶け込んでしまっている」
アルベルトは首を横に振った。
「だが、それはまだマシな方だ。主要な電流が、脊椎を直撃している。見てみろ」
医師はアイアンを横向きに寝返らせた。
彼の背骨に沿って、細く青黒い、黒焦げた肉の痕跡が走っていた。
「神経節が完全に焼き切れている。もし意識が戻ったとしても……下半身は麻痺したままになるはずだ。間違いない」
「エリリアは?」
キャプテンが尋ねた。
「眠っている。自力で傷が塞がっているのは彼女だけだ。ただ、時間が必要だろう」
アルベルトは再び空の木箱に腰を下ろし、疲れたように両目をこすった。
「食料がないんだ、ヴァルター。ダーウィンが見つけてきた小麦粉は完全に傷みきっている。おがくずと混ぜたとしても、せいぜい三日持たせるのが限界だ。水も川から運んではいるが、皆、衰弱している」
ヴァルターは天幕の出口へと歩み寄った。
外では、降り注ぐ灰がより濃さを増し、氷のように冷たい小雨と混ざり合っていた。
「アルベルト……あいつら、そもそも目を覚ますと思うか?」
老医師は、自身の震える両手を見つめたまま、長いこと沈黙していた。
「分からない、ヴァルター。正直に言って、私にも分からない。脳というのは複雑なものだ。昏睡状態にいる間は、少なくとも痛みを感じずに済む」
「少なくとも、アイアンは戻ってくる」
ノアが顔を向けることなく、口を開いた。
「あいつは、ただくたばるにはしぶとすぎる」




