第115話:最初の探求者
「顔色が悪いようだが、アイアン親方」
彼の声が、大広間に木霊した。
「ヴィレム導師によれば、あなたの『源』は空っぽらしいな」
「源とは、単なるエネルギーのタンクに過ぎません、閣下」
俺は彼の目を真っ直ぐに見据え、答えた。
「タンクが空になったからといって、機械が機械でなくなるわけではないのです」
ウェイランドは、わずかに身を乗り出した。
指先が肘掛けを弾いているのが見えた。
「別次元の魔法、か……」
彼は俺にというより、自身に語りかけるように呟いた。
「マナを必要としない魔法だと? 異端の響きだな。あるいは、世紀の大発見か」
「お好きなようにお呼びください」
俺は、僅かに口角を上げるのを許した。
「来い」
ウェイランドは鋭く立ち上がった。
「お前が何をやれるのか、見せてもらおうか」
(かかった)
俺は心の中で息を吐いた。
俺たちは広間を離れ、通路を下り、城の最深部へと向かった。
伯爵の個人的な「奇跡の鍛冶場」は、溶鉱炉、作業台、そして羊皮紙の山で埋め尽くされた巨大な空間だった。
硫黄と、銅と、汗の匂いがする。
十数人の人間――評議会の最高峰の頭脳と錬金術師たち――が、青銅と鎖で組まれた巨大な構造物の周りで慌ただしく動いていた。
彼らは、複雑な釣り合い重りと魔法のポンプを使い、城の上層階へ水を汲み上げようと試みていた。
「あれはしょっちゅう壊れる」
ウェイランドは、引きちぎれた鎖の山を指差して事実を述べた。
「鎖の環に付与魔術を施すだけで、何千枚もの金貨を費やしている。だが、機構自体が自重に耐えきれんのだ。水はあまりにも重く、ポンプは魔術師からの絶え間ない魔力供給を要求する」
俺は、重厚なオークの机に広げられた主設計図へと近づいた。
汚れたローブをまとった老錬金術師が、軽蔑の眼差しで俺を見た。
「ここではエーテルの純度が足りんのだ」
彼は不満げに唸った。
「マナの奔流さえ安定させることができれば……」
惨めだった。
てこの原理すら全く理解していないまま、力任せに重力に「打ち勝とう」としている。
「鉛筆を貸せ」
俺は切り捨てた。
見習いの一人が、黒鉛の芯を差し出す。
俺は太い線を数本引き、彼らの設計図の心臓部を躊躇なくバツ印で打ち消した。
「支点をここに移動させる」
図面を指で叩く。
「だから、お前たちのシャフトは折れるほどの絶大な負荷を受けているんだ。てこ(レバー)を左に二メートルずらせ。三対一の比率で中間減速機をかませ、その鎖をケーブルと滑車のシステムに置き換えるんだ」
「しかし、それでは牽引力が落ちてしまう!」
錬金術師が抗議した。
俺は、知能の足りない子供を見るような目で彼を見た。
「必要なのは、摩擦を減らし、力学をもっと理解することだ。力で勝って、距離で負ける。だが、水は別にどこかへ急いでいるわけじゃない。違うか?」
俺は素早く、油圧プレスの概略図を描き殴った。
ピストン、バルブ、圧力。
「こうやって組み上げろ」
鉛筆を放り投げる。
「そして魔術師どもは追い出せ。車輪は馬に引かせるか、外の水道橋の水流でも使って回せばいい。後は『圧力』が、お前たちの代わりに全部の仕事をしてくれる」
鍛冶場は、死者のような沈黙に包まれた。
ウェイランドは設計図に歩み寄り、長い時間それを見つめた後、ゆっくりと俺へ視線を移した。
一時間後、俺たちは彼の私室に座っていた。
護衛の姿はなく、高級な煙草と古い書物の匂いだけが漂っている。
ウェイランドは二つのグラスに黒い液体を注ぎ、片方を俺の方へ滑らせた。
「お前は危険な男だ、アイアン」
彼は静かに言った。
「王が魔術師に依存しない世界を、お前は提示している」
彼は一口飲んだ。
「だが、だからこそ、お前は、忌々しいほどに特別なのだ」
「お前を『第一探索者』の地位に就けよう。私の予算、私の人員、私の資源を与える。その代わり、お前のすべてを要求する。あの『黒色火薬』のレシピ、空気圧の構造、そして誰も聞いたことがないお前の設計図、そのすべてだ」
俺の中で、冷徹な計算が動き出すのを感じた。
ここが取引の瞬間だ。
「安すぎますね、閣下」
肩の痛みを無視し、椅子の背もたれに体を預ける。
「俺が欲しいものは一つだけ。もしそれを与えられるなら、手を打ちましょう」
「何を望む?」
「ドルンハイムを自由経済特区にすること。完全な自治権だ。今後五年間、伯爵への納税は一切免除。そして、俺の壁の中に異端審問官を一人たりとも入れないこと」
「それと、もう一つ。銅鋳造で出た廃棄物が欲しい」
伯爵は眉をひそめた。
「鉱滓だと? あんなゴミを何に使う?」
「人にはそれぞれ、趣味というものがありましてね」
俺は肩をすくめた。
あの「スラグ」には、俺の魔力回路を修復し、新型のエネルギーセルを構築するために必要な同位体が含まれていると、リュモンが特定したことなど、言えるはずがなかった。
ウェイランドはリスクを天秤にかけ、長い間黙り込んでいた。
「よかろう。ドルンハイムに自治権を与える。期間は『三年』だ。スラグも好きなだけ持っていけ。だが、一ヶ月後……私の武器庫で、お前の武器のプロトタイプが稼働しているのを見られなかった時は……どうなるか、分かっているな?」
その夜、俺はあてがわれた部屋へと案内された。
絹のシーツ、絨毯、金箔張りの家具。過剰なまでの贅沢さだった。
だが、扉が閉まった瞬間、ノアが影から現れ、エリリアが窓際に姿を現した。
「ここは黄金の鳥籠だ」
ノアが空気を嗅いだ。
「壁の中には伝声管が通っている。そして扉の外……ただの衛兵じゃない。こびりついた血と、古い呪いの匂いがする」
俺は机に座り、力が抜け落ちていくのを感じた。
「エリリア、何か見つけたか?」
精霊が震える。その声は、葉擦れの音に似ていた。
「城のずっと地下よ、アイアン……。図面には載っていない階層があるの。そこには魔法の気配はなくて、ただ冷気と、奇妙な羽音が響いているだけ。錆びない金属でできた、鍵の掛かった扉を見たわ」
ノアが近づいてきた。
暗闇の中、彼の目は微かに黄色く光っていた。
「ウェイランドも、お前と同じくらい魔法の代用品を探し求めている。奴が知りたいのは、お前がその地下に眠っている『何か』とどう繋がっているか、じゃないか」
俺は頷き、白紙の羊皮紙を取り出して、城の「近代化」システムの設計を始めた。
ここの小さなバルブ。あそこの脆い支柱。
半年後には、ウェイランド城の喉首を俺が握ることになる。
ボタンを一つ押すだけで、この要塞は水を失い、昇降機は止まり、門は完全にロックされる仕組みだ。
作業の合間、「周辺地域の把握」のために渡された資料をめくっていた俺は、一枚の古びた、黄ばんだ地図に目を止めた。
見覚えのある地形に、視線が釘付けになる。
ドルンハイムだ。
だが、一世紀前のものであるこの地図には、俺の村があるはずの場所に、奇妙な記号が記されていた。
――中心に点があり、そこから三本の線が放射状に伸びる、完璧な円。
リュモンが、短いメッセージを表示した。
[座標の一致を検出…… 警告:『エントリーポイントNo.1』が極めて近くに存在します。 推奨:ローカルアーカイブの解読手順を開始してください。]




