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異世界帰りの英雄は理不尽な現代でそこそこ無双する〜やりすぎはいかんよ、やりすぎは〜  作者: mitsuzo
第二章

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234「合流(2)」



 現在7階層で合流したカルロス具志堅を中心とした6階層の探索者(シーカー)たち。互いに情報を共有したり傷の回復などを行っていた。そんな中、


「あら〜、誰かと思えばクラン我王No.2の橋本 玲奈(はしもと れいな)ちゃんじゃな〜い。《《6階層》》の雑魚⋯⋯コホン失礼、喋る魔物の討伐お疲れ様〜」

「ああぁ?!」

「こっちはその先の7階層で《《喋る魔物上位種の》》! 《《喋る魔物上位種の》》!⋯⋯奴らが相手だったからもう大変だったのよねぇ〜」

「くっ?! 百合姫この野郎⋯⋯」

「おーほっほっほ! おーほっほっほ!」


 早くも犬猿の仲である『過疎化ダンジョン凸り隊』の実質No.2である『百合姫』こと及川 百合恵と、『クラン我王』No.2の橋本 玲奈がバチバチにマウント合戦を繰り広げていた。


 そんなクランNo.2同士がバチバチにやっているということは、当然その上のリーダー同士もまた、


「よぉ、無多。なんだよ、その大型ネコ科のコスプレは?」

「虎だ、この野郎! あんまり調子こいてんじゃねーぞ、越智ぃぃ!」


 とこの調子。

 とはいえ6階層でも7階層でも命を落とした探索者(シーカー)がいなかったことには全員が驚いていた。


覚醒(トランス)ポーションの力⋯⋯でしょうね」


 と、ポツリと漏らしたのはカルロス具志堅。

 彼もまた覚醒(トランス)ポーションで大きな力を手に入れた一人で、故にその劇的な能力向上を実感していた。


「よー、カルロスの旦那よー」

「⋯⋯我王」

「正直よー、6階層の喋る魔物とかよー、雑魚の喋る魔物とはいえ敵じゃなかったじゃねーか?」

「ええ、そうね」

「で、さっきあのクソ越智からも聞いたが7階層の上位種の喋る魔物もなんだかんだで圧勝だったと聞いた」

「あら、そうなの?」

「これってよー、冷静に考えたら覚醒(トランス)ポーションを飲んだ今の俺たちやA級以上の名付き(ネームド)探索者(シーカー)なら喋る魔物の幹部にも余裕で勝てるんじゃねーかぁ?」

「⋯⋯ほう?」

「誤解すんなよ? 俺は別に自分の力を過信して言ってるわけじゃねーぞ? 冷静に6階層での戦闘の手応え、7階層の戦況を聞いての判断だ」


 我王が根拠を上げて淡々とカルロスに告げる。


「⋯⋯なるほど。それエレーナにも同じこと言われたわ」

「何?」

「その通りよ!」

「「エレーナ!」」


 そんな二人の前に仁王立ちで声を掛けたのはエレーナ・ツヴァイコフ。


「私が戦ったハエ男は上位種の喋る魔物のトップだった。でもいざ戦ってみたら正直大したことなかった⋯⋯。以上のことを踏まえたら8階層の喋る魔物の幹部って奴も大したことないって思うのは自然でなくて?」

「なんだよ、女男。たまにはいいこというじゃねーか!」

「⋯⋯殺すわよ?」


 我王の不用意な発言でキレたエレーナが今にも我王を叩きのめそうと魔力を練り始める。

 そんな二人には緊張感などまるでない。そのことがまさに「喋る魔物の脅威なんて大したことない」と言っているかのようだった。


 そんな時だった。


「⋯⋯はっはっは。お前らまるでわかってねーなー」

「「⋯⋯越智?」」


 我王とエレーナに間に入ってきたのは越智大輔。


覚醒(トランス)ポーションを飲んだ俺やお前ら、そしてここにいる探索者(シーカー)全員も含めてたしかにかなりのパワーアップをしたのは間違いない。それはお前らも実感していると思う。だが⋯⋯」


 そう言ってフッとカルロスに視線を向ける越智。

 そんな越智のアイコンタクトを受け取ったカルロスが続きを語る。


「次の8階層にいる喋る魔物の幹部⋯⋯『()(はしら)』はこんなもんじゃないわよ?」

「何?」

「⋯⋯()(はしら)?」

「あれ? エレーナって琉球ダンジョンの配信を観ていたんじゃなかったっけ?」

「と、途中でソフィお姉様に呼び出されてお説教喰らってたから⋯⋯その『()(はしら)』ってのを観てないのよ!」


 顔を赤くしてバツの悪そうな表情で越智に返事を返すエレーナ。

 ということで、カルロスが『()(はしら)』の説明を続ける。


「名前のとおり恐らく幹部は4体いると思われるけど、琉球ダンジョンで私や越智、あと越智のクランメンバーが遭遇したのは1体で⋯⋯そいつは自分のことを『()(はしら)のマグダラ』と呼んでいたわ」

「「()(はしら)の⋯⋯マグダラ」」

「ええ。ちなみにそいつの風貌は目元に『鱗柄のマスク』をした髪の長い女性よ。ただし下半身は蛇だけど」

「蛇ぃぃぃ!!!!」


 想像したのかエレーナが腕を抱えてブルっと身震いする。

 エレーナは爬虫類系魔物が苦手でその中でも特に『蛇』が苦手だった。


「最初は私がマグダラと戦っていたけど⋯⋯拳が一切当たらなかったわ」

「は? 拳が?」

「え? それってどういう⋯⋯?」


 カルロスの言葉に動揺する我王とエレーナ。


「恐らく『幻影』のようなスキル技⋯⋯いえスキル技ともちょっと違うと思うわ。ていうかたぶん『魔法』なんじゃないかしら?」

「「ま、魔法っ!?」」

「ええ。実際その時はオメガが魔法でそのマグダラの『幻影』を消したからマグダラに攻撃を加えることができたのよ。まー最後はマグダラが逃げたから倒すまでには至らなかったけど。そしてここにはオメガがいない。だからその幻影をどうにかできないとマグダラに勝つのはかなり難しいと思うわ。それほどの相手よ」


 シーン。


 カルロスの説明を聞いた我王とエレーナには、もはやさっきまでの余裕は吹き飛び、今は真っ青な表情を浮かべながら呆然と立ち尽くしていた。


「な、なら、オメガがいなけりゃ⋯⋯どうやってそのマグダラを倒しゃいいんだよ?!」

「ちょ、ちょっと待って? それじゃあ8階層に進んだ櫻子様たちでもどうしようもできないんじゃ⋯⋯」


 意気消沈な2人がそんな不安を口にする。

 実際、カルロスの説明だとマグダラを倒すには幻影を消す魔法を使えるオメガがいないとどうしようもないという話だったからだ。しかし、


「でもね? これはあくまで私の推測なのだけどたぶんオメガがいなくても何とかなっているかもしれないわ」

「「え?」」


 そんな不安がる2人にカルロスがある《《1つの可能性》》の話を始める。


「⋯⋯櫻子様よ」


新作はじめました!


『TS転生者の生存戦略〜Transsexual Reincarnation's Survival Strategy〜』

https://ncode.syosetu.com/n3337kz/


毎週土曜日10時頃投稿


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