233「合流(1)」
「おつかれー、エレにゃん」
「おつかれ。エレーナ」
「うん。お疲れ様」
エレーナがハエ男を倒したタイミングでクラン仲間であるミルとリリンが声をかけてきた。
「エレにゃんが相手していたあのハエ男って、この7階層にいる上位種の喋る魔物の中でも最強だったと思ったんだけど⋯⋯めっちゃ圧倒してたねぇ?!」
「ちょっと見てたけど⋯⋯すごかった」
「え? あ、うん。覚醒ポーションのおかげかなぁ」
「かなぁ⋯⋯じゃないよ! エレにゃんが覚醒ポーション飲んで獲得したスキル『両性融寓』だっけ? あれやばすぎだよ! だってエレにゃんが元々持っていたスキル『狂乱愛憎』のスキル技『至上の愛』の効果だけで『身体能力10倍上昇』なのに、新スキルの『両性融寓』を獲得した《《だけで》》『身体能力20倍上昇』って倍って⋯⋯意味わかんない!」
と、ミルが興奮を抑えることなくエレーナに熱量高く詰め寄る。
「うんうん。しかもエレにゃん、新しいスキルの《《スキル技》》⋯⋯⋯⋯まだ使ってないよね? そうだよねぇ?」
さらに、普段大人しげなリリンさえもふんすふんすと鼻息荒くエレーナに詰め寄る。
「ちょっ⋯⋯近い近い?! しかもミルだけでなくリリンまで⋯⋯」
そんな興奮気味の二人に引き気味のエレーナ。しかし二人の主張は決して間違ってはいない。
「まぁうん、二人の言う通りだよ。ハエ男と戦ったときはあくまで『両性融寓』を獲得した時に効果が倍になった『身体能力』だけで倒した感じ、かな?」
そう。エレーナは喋る魔物上位種最強のハエ男に対してあくまで身体能力だけで倒した。
元々喋る魔物自体これまではA級ランカーでも苦戦するような相手、しかも今回はただの喋る魔物ではなく上位種の喋る魔物でさらには上位種の中でも最強の『ハエ男の喋る魔物』だった。
それをエレーナは新スキルのスキル技を温存したまま身体能力だけで倒した⋯⋯これがいかに凄いことかということをミルとリリンはエレーナに必死に伝えようとしているのが今の状況である。
それなのに当のエレーナ本人が平然としているため、二人はもどかしさだったり温度差を感じてより一層エレーナに詰め寄る。
そんな3人(実際はミルとリリンだけ)がワーワーとやかましくしていると、
「よー、エレーナ」
「! 越智大輔⋯⋯」
「元々S級のお前が覚醒ポーション飲んでさらに強くなるとかやば過ぎだろ?」
「ふ、ふん! なによ? あんたもミルとリリンみたいに文句でも言いにきたの?」
エレーナが少し顔を赤らめながら越智に返事をする。
二人は実は昔からの知り合いであり、良くも悪くも『好敵手同士』のような関係だったためエレーナも素の自分で返事を返す。
「いやなんでそんな喧嘩っ早い返事なんだよ?! 別にそんなことねーよ。お前の強さはよくわかってるし、だからこそ覚醒ポーションを飲んだ今のお前がさらに強くなっている事実をまざまざと見せつけられたって感じだ」
「っ?!⋯⋯越智」
「でもまー俺だってまだまだこんなもんじゃねー! 今はお前が前を行っているだろうがすぐに追いついて見せるさ!」
そういって越智がエレーナの目の前でグッと拳を突き上げながら不敵に笑ってみせる。
「⋯⋯ふふ、わかった。でも早く強くなってよね? ボク待つの嫌いだから」
「な、何をーっ!!!!」
そんな二人が茶番のようなやり取りをしていると、
「みんなぁー! ご機嫌うるわしゅうぅぅ〜〜〜っ!!!!」
と奥から《《キャピキャピだが野太い声》》が聞こえた。それは6階層で戦っていたカルロス具志⋯⋯、
「「「「「ぎゃあああああ! 魔物ぉぉぉっ!!!!」」」」」
7階層にいた探索者全員がカルロス具志堅を見てそんな悲鳴を上げる。
「殺すぞ、ごるあぁぁぁ〜〜っ!!!!」
こうして、エレーナたちは6階層で戦っていたカルロス具志堅たちと無事(?)合流を果たしたのであった。
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『TS転生者の生存戦略〜Transsexual Reincarnation's Survival Strategy〜』
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