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蟻なのに……

更新が遅くて申し訳ありません。


 俺はエアリーボードで蟻に突撃する。

 エアリーボードは浮いているので足元の砂が流れていようと関係ない。むしろ凸凹が多い方が扱いずらい道具なので平らになっているのは都合がいい。

 突撃する俺を見た蟻が酸の毒液を俺に向けて撃ってくるが当然躱す。当たってやる理由が無いからな。

 すると今度は砂を前足で押すようにして波を作ってくる。

 俺は波乗りの要領で左に回り波を躱すとそのまま蟻の右側めがけてライトアローを左手から放つ。

 今回は威力強めの一発だがあまり効果はなかったようだ。蟻はこちらに向きを変え更に酸を撃ちつけてくるがことごとく躱してやる。すると今度は目の前の砂が盛り上がったと思うと目の前に真っ黒な槍が地面から突き出してくる。慌てて躱すがちょっと危なかった。

 よく見ると蟻の尻尾の先が土の中に埋まっている。さっきのはあの蟻の針らしい。


 「蟻ってのは蜂の仲間らしいが……普通酸か針かどっちかだろーが」


 言っても仕方ないとは思うが言わずにはいられなかった。

 執拗な攻撃になかなか近づけず周りをまわりながら隙を伺う。

 サラと遥香も弓や魔法で援護してくれているがなかなか近づけない。


 仕方が無いので一度離れて再度突っ込むことにする。


 すると、蟻はまた波を起こして防ごうとするので今度は一気にスピードを上げて波を乗り越え上から飛び込むことにした。

 思ったよりは高く飛び上がってしまったが、エアリーボードは出力が調整できるので、バランスと出力調整で空中でも方向転換が可能だ、なので問題ない。

 蟻は空中の俺に向けて酸を飛ばしてくるが空中でバランスを取り出力を上げて難なく躱す。そのまま蟻にめがけて落ちていく。

 蟻はお尻を上げると地面に埋まっていた槍を引き抜くと今度は空中の俺に向かって撃ちつけてくる。

 酸を躱した直後でバランスを崩したままで躱せないと判断した俺は剣で振り払おうとするが、硬い槍は切れず、折れず弾き飛ばされてしまう。


 「うわ、やべぇ」


 空中に投げ出された俺は宙に舞いエアリーボードが落ちていくのが見えた。これはまずい。


 「「誠也!」」


 二人の声がハモって聞こえる。


 「大丈夫だ、エアリーボードを拾いたいのでサラ足場を作ってくれ」

 「解ったわ」


 『エアウォール』


 サラが空気の壁で足場を作ってくれる。

 俺はそれを踏み一気にエアリーボードに飛びつき乗りなおす。

 そのまま落ちるとちょうど蟻の目の前に落ちたのでそのまま蟻の右側に回り込み足に切りつける。傷は負わせられたが切り飛ばすには至らなかった。緑の血液が飛び散り地面から煙が立つ。


 「こいつ体液まで強酸かよ」


 そのまま持ち上げられている尻というか腹の下側を切り裂いていく。

 ドバっと緑の体液が地面に落ち尻が地面に落ちた。

 尻から出ていた槍もそのまま地面に落ちる。

 蟻は痛みの為にもがいているのか足をバタバタと激しく地面に打ち付ける。

 そうかと思うと足元に魔法陣らしき光が立ち上る。


 「まずい、何か仕掛けてくる」


 蟻の周辺に風が起こったかと思うとどんどん強くなり、蟻を中心に竜巻の様に砂を巻き上げていく。

 俺も砂と一緒に巻き上げられ上空から外に投げ出された。


 「もう少しで留めをさせそうなのにこの竜巻は厄介だな……」


 サラも遥香も魔法を撃ってくれるが竜巻に阻まれ蟻まで届かない。


 「さてどうするか……」


 こういう場合、竜巻の真上から攻撃すれば問題ないのが定番である。

 今回も真上からなら攻撃できるのではないかと思うが、竜巻の風は意外と強くまたかなり上空まで立ち上っている。


 「あそこに飛び込もうとしたら絶対二人に反対されるな……」


 仕方が無いので魔法を使ってみる事にする。これでだめなら飛び込むしかないかもしれない。

 俺はニルヴァーナを杖に戻して構える。


 『ウィルオウィスプ』


 俺は光の精霊モドキのウィルオウィスプを5つ召喚すると、竜巻の上空へと飛ばす。


 「なにあれ?」


 遥香がそばに寄ってきて、怪訝そうに光の玉を見つめる。


 「ああ、あれは召喚魔法モドキで作った光の精霊モドキのウィルオウィスプだよ」

 「モドキってなに?」

 「本来召喚魔法ってのはその存在がこの世界か別世界か……何せどこかに存在しないといけないんだけど、あれは何処にもいない俺のイメージで作った魔法なんだよ」

 「てか、召喚魔法なんてあるの?」

 「あるよ」

 「私も使えるかな?」

 「さぁな、まぁ、今度教えてやるよ」

 「うん、お願いね」


 そんな話をしている間にウィルオウィスプ達は竜巻を上っていく。

 そして一番上に着くとそのまま竜巻の中心へと集まっていく。そのまま真ん中へ吸い込まれるように一列に並んで入っていく。


 「そろそろかな」


 俺は次の魔法を発動する。


 『フォトンレーザー』


 竜巻の中が明るく光る。

 この魔法はウィルオウィスプを光のレーザーに変え敵にぶつける魔法だ。収束率が高いので貫通力が高い。光なのでまっすぐしか飛ばないのが欠点だがウィルオウィスプを変化させることで放つので応用範囲も広い。

 暫く待つがあまり変化が無い。


 「失敗したかな?」

 「どうだろう?」

 「もしかして失敗ですか?」


 隣にサラもやってきた。


 「うーん、いけてると思うんだが、もう一回やってみるか」


 そう思っていたら竜巻が薄くなり消えていった。

 竜巻が消えた先には大きめの魔石が一つぽつんと落ちていた。


 「やったー」


 遥香が魔石に向かって駆けだす。


 「バカ、やめろ!」


 俺は叫ぶが遅かった。


 「きゃぁぁ」


 遥香の足が膝まで砂に埋まると、そのまま中央へ流されていく。魔石はすでに砂の中に沈み込み見えなくなっていて、なおも中央に向けて砂が流れ続ける。


 「遥香!」


 このままだと遥香が砂に飲み込まれる。俺は慌ててエアリーボードに乗ると遥香を助けに向かう。


 「この手につかまれ」


 右手でボードを持ち左手を出す。何度かすれ違ったのち何とか手を取る事が出来たのだが……


 遥香は重かった……

 いや、正確には砂を吸った水竜の羽衣かもしれない。水だけでも重いのにさらに砂の重さも加わっているようだ。さらに砂の中で固まりびくともしない。周りの砂も濡れて固まっているが砂の流れは止まらない。そのまま一緒に流されていく。


 「サラ、悪いが先に町に向かって冒険者ギルドにこの流砂の事を伝えてくれ」

 「嫌よ、私も行く」

 「ダメだ、俺は大丈夫だからほかに被害者が出ないようにちゃんと伝えてくれ。頼んだぞ」


 言い終わるとほぼ同時に俺と遥香は砂に飲まれた。

 濡れた砂は重く硬く、すごい圧力で締め付けられる。真っ暗で息も出来ない。おそらく遥は衣の力で圧力からは守られてるのだろうが俺でも結構きつい。もがいてみるが全く身動きできなかった。しばらくもがいていたが光が見えたかと思うと俺は意識を失った…… 

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