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ダンジョンボス

 清成さんのパーティーと共に行動するようになった俺は、冒険者として必要な様々な知識を教わりながら二日間を過ごした。途中巨大で色鮮やかな鳥の様な魔獣や巨大なムカデ、ラプトルやワニなどに襲われたりもしたが無難に倒しながら進んでいた。さすがに一流のパーティーだけあって泊まり込みの冒険に関しても準備に抜かりはなく、食料も十分。結界石による休憩も適度に取れ無理なく進む事が出来ていた。簡易的な地図を作成しながら奥へ奥へと進んでいく。奥へと進んでいくほどに森は深くなり魔獣は大型化していく。危険度は明らかに上がってきていた。


 「さすがにそろそろボスの縄張りか下への通路が見つかってもよさそうなんだがな」

 「どんなボスが出てくるか、情報が無いのは怖いな」

 「そうだな、一当てした後無理だと判断すればすぐに引く。死んだら元も子もないからな。生きて帰ればリベンジは出来る」


 そんな話をしながら森の奥へと分け入っていく。

 そして気が付く。いつの頃からか周りが静かになっている。


 「少し静かすぎませんか?」

 「そうだな、そろそろお出ましかもしれんな」


 ジャングルの中ではひっきりなしにいろんな音が聞こえる。

 鳥の鳴き声、恐竜の足音、川のせせらぎ、風が木々を揺らす音。

 それはこのダンジョンでも変わらない。いや、変わらなかった。

 だが今は違う、全く音がしない静寂に包まれていた。


 ふと上を見ると裸の女性が浮かんでいる様に見えた。

 いや、普通の人にしては明らかに大きい、一部ではなく全体が……


 「上です!」


 百合さんが叫ぶ!


 「違う右からくるぞ後ろにとべ!」


 次に彩花さんが叫んだ。

 全員慌てて後ろに飛ぶと右の木々がなぎ倒され何か巨大なものが目の前を右から左に通り過ぎた。

 目の前にあった木々はどこかへ吹っ飛び視界が開け、目の前には巨大なオオカミの頭が三つこちらを睨んでいた。その上には裸の女性の上半身だけが見え後ろの方に蛸の足の様な物がうごめいていた。


 「スキュラか、本物のバケモンが出てきやがったぜ」


 清成さんが苦々しい顔で舌打ちをする。


 『ミラクルブレス』『スペリオルオーラ』『聖域』


 俺は大急ぎで強化魔法をかけていく。


 『鳳凰闘衣(フェニックスブレイド)


 清成さんが燃える。文字通りだ、真っ赤な炎に包まれる。

 あの技はやはり魔法であったらしい。雑魚相手に使っている所は見なかったのでおそらく消耗が激しいのだと思う。それだけ本気という事だ。以前の戦闘で見た所から推測するに触れるものにダメージを与えると同時に自己回復能力を向上させる攻防一体の魔法なのだろう。ただし、とても暑苦しい……


 一瞬で全員が戦闘態勢を整えスキュラと向かい合う。

 正面から見たときは三体の巨大なオオカミとスキュラなのだと思ったのだが、よく見ると三つの頭を持つ狼の胴体の上に女性の上半身が生えている、更にその後ろ脚の部分から蛸の足が生えているなんとも不気味というか気持ち悪い化け物だった。


 「百合、七海、御剣は後ろの森に下がってできるだけ強力な魔法をぶち込んでくれ。その間、俺と彩花で奴の気を引く。幸い周辺には奴以外の敵はいないようだが注意は怠るなよ。どんな攻撃が来るかわからん。慎重かつ一気に攻め立てるいいな!」


 そして、清成さんは右に彩花さんが左に駆け出す。

 俺と百合さん七海さんは後ろに下がり魔力を練り上げ集中力を高める。

 敵は以前戦ったティラノサウルス並の高さに横幅と奥行きが加わり、たとえるなら海に浮かぶフェリーを相手にしているような感じだろうか。近くによれば壁を相手にしているような巨大さである。

 そんな相手に誰も臆することなく向かっていけるのだからそれだけでも称賛に値する。

 

 スキュラは清成さんに狙いを定めたのか向かって右に向き始め俺達は視線から外れる。それだけでほっとする自分に気づき、思った以上にプレッシャーを感じていたと知る。

 あの炎は目立つ。敵の目を引き付けるのにも役に立ってるようだ。ますます持って彼とこのパーティの要になる魔法なのだろう。


 スキュラが俺達から横を向き清成さんを追う事で、自然と彩花さんが後ろに回り込む形になった。彩花さんは後ろから切り込んでいこうとするが無数のタコ足に邪魔をされて進めないようだ。とはいえ一撃でジャングルの木々を吹き飛ばして広場を作るほどの威力だ、当たれば即死もあり得る。攻撃をうまくかわし時には切り飛ばし、しっかりと捌いている。風魔法による高速移動と空中で空気の足場を使って飛び回る姿はまるで踊っているかのようである。因みに今回は彼女には力の『スペリオルオーラ』をかけ剣にも切れ味が上がるように『スペリオルオーラ』をかけておいた。そのせいか巨大な蛸足も一撃で切り飛ばせているようである。

 清成さんの方はというと、三つの狼頭の噛みつきや前足での攻撃、さらには炎のブレスを受けているが、うまく捌けているようだ。さらに上方のスキュラ本体の女性からは氷の槍が雨の様に降り注ぐ。それでも危なげなくかわしながら時折狼の頭を殴りつけているのだから恐れ入る。


 『ガイアプレッシャー』


 まず七海さんの魔法が発動する。スキュラの頭の上にみるみる巨大な岩が現れどんどん大きくなっていく。スキュラの体を覆いつくすほどの大きさとなり辺りが影に染まり一瞬暗くなる。そのまま巨大な岩が落ちてくる。あの真ん中にいたら普通の人では逃げ切れないだろうし確実に死ぬな、という感じである。だが、相手は巨大な化け物である。直撃はしたものの岩の方が砕け散りスキュラは一瞬動きを止めるだけだった。

 そんな中、彩花さんは巻き込まれないように一度離れて様子を見ていたが、清成さんはその隙をついて狼の頭の一匹を蛸殴りにしており叩き潰していた。恐るべしである。


 「ガガガ、ギギギ、グォー」


 スキュラが吠える。女性の姿の上半身でも声はかわいくない……


 『アイストルネード』


 次に百合さんの魔法が発動する。氷の巨大な竜巻がスキュラを中心に巻き起こる。先ほどの『ガイアプレッシャー』の残骸である砕けた岩も巻き込んで威力が上がっているようにも見える。

 竜巻は次第に赤く染まっていきスキュラにダメージが入っているのがわかる。そうしている間にも清成さんは狼を殴り続けもう一匹叩き潰していた。


 「グォー」


 さらに大きくスキュラが吠えたかと思うと竜巻が消えうせ傷ついたスキュラが現れた。

 体は傷だらけ、蛸足の三分の一程は切り飛ばされて無くなり、狼の頭は二つが潰され歩くのも困難になったかのように見えるスキュラであったが、直後にスキュラが両手を上げる。すると巨大な魔法陣が現れスキュラの体を光が包み込む。光が消えたとき目の前には無傷に戻ったスキュラがいた。


 「回復魔法まで使うのかよ!」


 清成さんが舌打ちしているのが見えた。


 戦闘は第二段階に突入しようとしていた。

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