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これから

遅くなりました。

 「とも!」

 「とものり!」

 「いやぁ」


 三人が同時に叫ぶ。周りの森が一瞬で火の海になる。

 完全に見た目に騙されていた。いや固定概念か、見た目が恐竜だからブレスなんて使うとは考えていなかった。きっとここにいる誰もが……

 その結果がこれだ、油断すると一瞬で死が口を開けて待っている。それが冒険者なのだとまざまざと見せつけられる。


 「清成さん……」


 誰の目にも生存は絶望的に見えた。


 ティラノサウルスのブレスが収まったときそこには、清成さんが何事もなかったかのように立っていた。いや、正確には少しは焼けたのであろう、肌には焦げ跡がついていたが、見てる間に直っていった。


 「こんなぬるい炎じゃ熱さも感じないぜ」

 「……」


 絶句である。いや炎には強いのかもしれない、もともと燃えてたし。とはいえちょっと引く……


 「しかし、こいつやっぱりただの恐竜ではないようだな。ドラゴンってわけでもないだろうに迷惑な奴だ」


 そういって口の中に入るなり頭を貫通して出てきた。

 さすがのティラノサウルスも頭に穴が開いたら絶命したようである。


 「清成さん怪我はないですか?」

 「ああ、大丈夫だ。すまんな」

 「いえ」

 「とりあえず取れるだけ魔石を集めたらここを離れるぞ、またいろいろ集まってきたらかなわんからな」


 そう言うとみんなで魔石を集め始める。みんな近くの魔獣の死体から魔石を取り出していくが、俺は何処に魔石があるのかもわからないので見ている事しかできなかった。しばらくしてあらかた魔石を集めた頃。


 「そろそろ行くか、坊主お前も一人じゃ危険だ一緒にこい!」


 そういって歩き始める。

 歩きながら黒髪のお姉さんが水魔法でみんなの汚れを洗い流してくれる。

 しばらく歩くと少し開けた場所に着いた。


 「ここで休憩しようか、少年に自己紹介もまだだしな」

 「そうですね、では準備します」


 魔法使いの二人が四隅に光る石を置く。


 「これで少しは安心かな?」

 「よし、じゃぁ自己紹介だな。まず俺だが清成という。このパーティーのリーダーってことになってる。で、こっちの髪の長いのが百合だ」

 「百合です。よろしくね」


 長い髪の女性がにっこり微笑む。


 「で、こっちのこえーおねーちゃんが彩花だ」

 「彩花だ、てか怖くは無いだろうがよ? さっきはありがとうな助かったよ」

 「いえ、無事でよかったです」


 ちょっと荒っぽく肩を叩かれる。周りがみんな一流の冒険者で年上の為、誠也と言えど少し委縮してしまう。まだ高校一年生だそこは仕方ない。


 「最後にこのちちゃいのが七海だ。七つの海というくせに土魔法が得意とかいう変態だが気にするなよ?」

 「何言ってるのさ? 名前と得意魔法は関係ないだろ? 大体そんな事で変態とかいうな、て事で僕は変態じゃないからね?」


 ちょっと困ったような顔で握手を求めてくる。俺はちょっと照れながら握り返す。


 「俺は御剣って言います。なんかよくわからないうちにこんな所に飛ばされてて困ってたんです。俺の方こそ助かりました」

 「御剣? てーと小笠原でモグラを道ずれにして消えたって言うのはお前なのか?」

 「え、そんな事になってるんですか?」

 「上の方では最初は誰も犠牲者はいないって言われてたみたいだけど、複数の目撃者がいてね。話を合わせた結果、君が巨大モグラと共に消えたらしいと噂になってるみたいだよ? 自衛隊と警察が君の行方を必死に捜査したけど、全く見つからないという事で現在は行方不明扱いとなっているようなんです。」


 百合さんが説明してくれた。壁に耳あり障子に目ありかな、あの状況でも目撃者がいるもんだ。


 「ところで、御剣はこれからどうするんだ?」


 彩花さんが聞いてくる。


 「できればこのままここのボス退治まで付き合ってくれると助かるんだけどな?」

 「え?」

 「それは拙い、こいつぁ未成年だぜ? さっきのは事故としても無理やり戦闘に参加させたとなったら後で大問題になる。PTAとか人権保護団体とか問題にしそうな連中はごまんといるんだから」

 「でもよ、さっきの魔法見ただろ? このままこいつを上に送っていったとしてあたいらだけでここのボスをやるのも厳しいだろ? こいつの助けが必要だと思うんだが」

 「確かに彩花の言う事もわかります。でも、この仕事は命がけです、しかもかなり危険な……そんな仕事に彼を巻き込むのは私も賛成できかねます」

 「でもさ、このままこのダンジョンを放置するわけにもいかないし誰かがやらないともっと大変な事になるんじゃないの? いまでもこの階層まで来れるのが私達だけな上にさっきのもボスじゃないみたいだし、ボスはあれより強いんでしょ? 僕はこの際、彼と一緒にボス討伐までやっちゃう方がいいと思うな」


 俺の処遇を巡ってみんなが相談を始める。未成年である俺を保護した以上一度上に戻る派と、俺の協力を仰いでボス退治までやってしまおう派だ。


 「あのぉ、一度上に戻ってから俺も含めて入りなおすのはだめなんですか?」

 「それは無理だな、御剣は未成年だから冒険者登録も出来ないし基本的に未成年者を働かせること自体が難しいだろ?まして命の危険があるんだコンビニバイトみたいにはいかない。一度上に上がったら御剣はまず間違いなく緊急入院からの精密検査。その後各種取り調べののちに学校生活に戻れるって感じになるだろ? もう一度ダンジョンに入るには、少なくとも18歳で成人して冒険者登録するまでは無理だろうな。しかもこのダンジョンに入れるのは冒険者ランクでAランク以上が必要だ。御剣の実力でも何年かかるかはわからん」

 「それは厳しいですね……」

 「そうだな、今の状態でこのダンジョンを攻略できる可能性があるとすればこのメンツぐらいだろうが、さっきの戦闘結果から考えるに俺達だけでボス攻略は無理だろう。そうなるとギルドに報告してまたしばらく放置になるだろうが、最悪、学園都市一帯の破棄にもなりかねないな。攻略の可能性が見つからない以上どうにもならないだろう。強力な魔物が出てくるダンジョン傍に学校とか危険すぎるからな」


 困った話だ。どうしようか考える。

 学校が無くなる、もしくは授業が遅れる事で卒業が遅れると困る。また、事は学校だけでなく小笠原自体がどうなるかも分からない。あのモグラ一匹に対処できなかったくらいだしな。実力を隠すため、一人でこっそりボス退治するにしても、食料もなければ道も解らない。ボスの判別も難しいとなれば絶望的だろう。

 かといって、このまま地上に帰らせてもらうと再度入るのは困難だろう。見張りも強化されているはずだ。

 彼らは一流の冒険者だ、おそらく口は堅いはずだし余計な詮索はしてこないだろう。現にさっきの魔法やニルヴァーナについても誰も聞いてこない。ボス戦で本気を出しても黙っていてくれそうだし、彼らと一緒なら彼らが倒した事にしてくれるだろう。言い訳はきっと考えてくれるはず。

 そう思って顔をあげると、みんな静かに待ってくれていた。


 「いくつか質問してもいいですか?」

 「なんだ、言ってみろ」

 「ボスは何処にいるのか解っているのですか?」

 「解らない。ここより下の階層はなさそうなんだが、何せこのジャングルだ視界が悪い。しかもこの広さと来てる。ボスはこのフロアにいると考えてはいるが、どこにいるかは探すしかない」

 「ボスは見ればわかるんですか?」

 「おそらくな。ダンジョンボスはダンジョン最下層に一体だけ存在するそのダンジョン最強の魔物だ。このフロアにいるのは殆どが魔獣の様だから一体だけの魔物を見つけられたらそいつがボスだろう」

 「そうなんですね」


 それなら探せるかもしれない。


 「そういえば、ここに飛ばされる前にダンジョン地下五階にはドラゴンがいるとか言う噂を聞きましたがいるんですか?」

 「ドラゴン? そんなもんはいねーよ、噂だろ? どっかで尾ひれがついたんだろうよ。まぁさっきの恐竜もドラゴンっちゃドラゴンかもしれんがな」

 「じゃ、ボスは別にいると……」

 「ああ、あれは魔物ではなかったし、まだこのダンジョンは生きている。ボスを倒せばその瞬間に魔物も魔獣も消えてなくなるはずだ」

 「そうなんですか」


 みんなの視線が痛い。百合さんも清成さんも実際は討伐したいのだろう。期待の視線を痛いほど感じる。


 「もし、俺が討伐に参加したとして問題にはなりませんか?」

 「そのまま発表したら大問題だろうな? だが、今回は特別措置が取られている。上級魔法まで無条件解放されているし監視もついていない。俺達が口裏を合わせれば今回だけは何とかなる。御剣を保護して帰る途中でボスに見つかって戦闘になったとでも言えば何とかなるだろう」

 「本来なら上級魔法解放には条件があって使用後は記録映像と報告書の提出が必要になるんだけど今回は免除されているのよ。なので、貴方の魔法が記録される事も無いわ」


 百合さんが説明してくれた。

 それなら何とかなるだろうか?


 「解りました。因みに食料なんかはありますか?」

 「あるよ、そういえばお腹空いたね。ご飯にしようか」


 そう言うと七海さんが腰のポーチから携帯食料を色々出してくる。てか、小さな皮のポーチなのにありえない数がどんどん出てくる

 俺が目を点にしていると説明してくれた。


 「これは以前に遺跡で見つけたポーチなんだ。見た目はちっちゃいけどものすごくたくさん物が入るんだよ。とはいえ登山用リュックの2倍程度だけどね」


 そんなものがあるんだと初めて知った。登山用リュックってテレビで見た事あるが、かなりでかかったよな、その2倍ってかなりな量な気がする。


 「そういう意味ではなかったんですが……まぁ、俺の事秘密にしてくれるなら協力しますよ。学校が無くなっても困りますしね」

 「おっしゃー」

 「大丈夫ですよ」

 「ああ、約束は守る」

 「そうか、お前の事は俺達が命に代えても必ず守る。安心してくれ」


 こうして俺は一時的にNo1パーティーと行動を共にしてダンジョンボスに挑むことになった。

 無事勝てるのだろうか……

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