【第5章】おわりに とりあえず髪を切ったよ
ここまでお読みくださりありがとうございます。
自分がFtMかどうかもまだ判明していないのにいろいろと熱く語ってしまいましたが、まあ、自分にどんな分別シールを貼りつけるにしろ、大事なのはきっと自分を含めた全員が笑って生きて、そして死ぬことです。
私は、この文章をまとめながら「ウソの自分として生きるのはもう止めるぜ!」と意気ごんだはいいものの、具体的に何をしようか悩みました。
悩んだあげく、とりあえずヘアスタイルを変えました。ベタ~~
でも、それだけでも大きく変わったことがあります。
高校卒業以来続いていた「女らしい」髪型をやめ、バッサーと髪を切ってメンズっぽいショートにして外を歩いたところ、それまでやたら気になっていた人目があまり気にならなくなりました。
おそらく、「ちゃんと女っぽく見えているかな、おかしくないかな」という意識がなくなったためです。
自分はイケメンでもなんでもないんですけど(50歩譲ってブスです)、鏡やガラスに反射してうつる自分の姿が一瞬「男」に見えることによって、「ああ今、私、本来の姿をしているな」という安心感が出てきました。
近くでよくよく見られたらきっと「女」だってバレちゃうけども、駅や道ですれ違う知らない人たちはきっと私を「男?」と認識しているだろう、そんな安心感。
化粧していない、スカート履いてない、女っぽい格好していない。それでも、変な目で見られていない。
だって私は今、「男」に見えているんだから。
男の社会もいろいろと苦労が多そうだけど(急所が体の外に飛び出てるのマジで意味わかんないよねといつも思う)、もし男に生まれていたら、女になりたいとは思わなかっただろうな。
美容師さん、こんな丸顔の女に似あう男っぽいショートヘアを実現してくれてありがとう。
だってこれ、もし似合わない短髪だと悲惨なんです。なぜかって?
高校生のとき痛感したのですが、「女の顔」と、それに合わない「男の髪型」を組み合わせると、その不自然さによって「女」であることがより強調されるんですよ。南無三……
ただ、今後40代、50代になっていったとき、どういう装いをすれば「かわいいおばさん女」ではなく「カッコイイおじさん男」に見えるのか。
それが目下の悩みです。まあ無理だと思います。今ですら危ういのに。
20代なら努力次第で「ギリギリ少年っぽく見えなくもない」が可能かもしれないけど、私の骨格ですと、40代50代になってくると「どう見ても髪が短いだけのおばちゃん」になってしまう気がします。
もはやレディーガガ様のように、“性別を超越した何か”になっておくべきか。
りゅうちぇるやマツコさんみたいになれたら自分の性別なんて気にならなくなるかもしれない。
性転換のためのホルモン治療や外科手術は、外見は異性になれるのでとても魅力的ですが、どうしても「生殖機能を備えた完璧な異性」になることができないという点で、一歩引いてしまいます。
性別において一番決定的なとこが変わらねーじゃん!という。いや当たり前なんだけど。
まあ、そこまで人の力で操作できるようになっちゃったらそれはそれで手塚治虫の火の鳥や星新一のショートショートみたいな世界が幕を開けてしまいかねないので、実現してほしいやらほしくないやら複雑な気持ちですが……
自分の性的指向が「男」というのもだいぶ効いています。
「男」と交際したいと思ったとき、「男」の装いや体をしていることに何もメリットありません、お相手がゲイでない限り。
しかも、ジェンダー云々の話を全く抜きにして、私の小さい頃からの夢は「愛し愛されるパートナーと、サザエさんやちびまる子ちゃんみたいな温かい家庭生活を築きたい」であるため、養子をとらない限りは、「女」のまま生殖機能を維持していた方が都合が良いのではないか、という観点もあります。
なぜだ、なぜなんだ私よ。
何をどうこじらせたら「女の体」と「男になりたい」と「男が好き」を両立させる羽目になるんだ。
もし好き勝手に生まれ変われるなら、男に生まれて男と恋愛して男と結婚して奇跡的に父と父の遺伝子を受け継いだ子どもを授かりたいですね。わがままか。
いっそお医者さんに「あなたは中二の頃にBL本を読みすぎた影響で自分を男だと思い込む病気にかかっていますから治療していきましょうね」などと言われたい。
病気なら治りますから。治せば全てが解決します。解決してくれ誰か。
……しかし、そんな自身の運命(?)を嘆く気持ちがある一方で、私は、今の時代に生まれて良かったなあとも思います。
少なくとも一昔前よりは、LGBTという言葉が知られるようになり、そのような人たちの存在を認める動きも出てきています。
ほんの50年前なんかは、マイノリティへの差別どころか、男女の差別だって当たり前だったんですから、それを考えればとても恵まれた時代です。
(50年前、というのは私の感覚です。自分の母や祖母の話、祖父の様子などから判断しています。)
人間に“区別”は必要だけど、“差別”は要らない、私はそう主張したいです。
縦に分けるのではなくて、横に分ける感じ。
子どもで例えるなら、「お前は子どもなんだから黙って親の言うことに従えよ」じゃなくて「お前は子どもなんだからお前ができないことは親がいろいろ手伝うよ」みたいな。
タテに分ける方が格段に頭使わなくていいので簡単なんですけどね。
ジェンダーに関する相談を受け付けている病院は、検索するといろいろ出てきます。
もしかしたら時代の流行りに乗っかっているだけの質の低い機関もあるかもしれませんが、それでも、受け口の選択肢があるというだけで幸運なのかなと思います。
そのような機関にかかれば、診察を受け、今後どうしていくかを専門家と一緒に考えていけるみたいです。
すごい!とってもいい!
私も、生活の諸々が落ちついたら、一度診察を受けようかと考えています。
「続・わたしがボクでも俺たち人間」としてエピソードを投稿するかもしれません。
そのときはまた、よろしくお願いします。
もし「やっぱりBL本の読みすぎだったよ~」とかいうオチでも怒らないでください。笑
それでは、ひかるでした。
おつきあいいただきありがとうございました。
次の「おまけ」ページには、抜粋エピソード集に書ききれなかった「ん?これは??」と思った小さい出来事などをまとめてあります。
お暇があればご覧ください。




