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[エピソード5]てめーは俺を怒らせた!からの1人反省会


 少し話がさかのぼりますが、私に人生で初めての「彼氏」ができたという話。




 そう、「彼氏」です。私の恋愛対象は生まれてからずっと「男」です。

私の恋愛(性愛)対象に「女」はあり得ません。


 「男になりたいなら、好きになるのは女?」と質問されたときは、「うーん、普通に考えたらそうなるけど、でも私は女は無理、男が好き……」と答えざるを得ませんでした。

相手は「じゃあ君、男じゃないじゃんw」と笑っていましたが、「性自認(自認する性)」と「性的指向(好きになる性)」は必ずしも異性同士というわけではありません。


 よく知られる性的指向として、レズ、ゲイ、バイと呼ばれる人たちがいますよね。

私が本当に「心が男」なのだとしたら、性自認は男・身体特性は女・性的指向は男なので、つまり「女の姿をしたゲイ」ということになります。


 何を言っているかわからないと思うが……私もわからない…………




 「彼氏」と私は、あるとき出会い、意気投合し、何度かデートをして結ばれた普通の男女カップルでした。


 彼に「私は男になりたい」などという旨は伝えていませんでした。

なにせ伝えるメリットがなんもねえです。


 交際している当時、私はても幸せでした。

自分が好きだと思った人に好きだと言われることは、こんなにもすばらしいことなのか!と。

生きようという力が!湧いてくる!!愛し愛されるとは!!正義!!!


 「こいつのためなら女として生きてやるぜ!!!!」そう思いました。

「こいつがロングヘアのワンピースが良いって言うならそうするぜ!!彼のためならそれも悪くないよなうひゃひゃ!!」みたいな。


 そしてその気概は、数年にわたって彼に2度復縁を申し込まれ、彼に3度フラれるまでの間ずっと続きました。

なんなの、何が起きていたの?


 てめーは俺を怒らせた!(ドン!)

別れ話を切り出されるとき、彼氏が毎回“被害者ヅラ”していたことだけは許さねえ。人生の汚点。






 ……この失恋話がトランスジェンダーと何が関係あるのって感じですが、まあ聞いてください。



 とにかく、そんなこんなで初めての大恋愛が大失恋へと落ち着いたあと、私はしばらく「…………。」でした。



半年くらいずっと「…………。」でした。

まあそうなるわな。



 変わらぬ日常生活を送り、信頼のおける友人に元カレの愚痴を言いながら生きていました。

元カレのSNSを見て「うわー出た出た新しい彼女との幸せアピール写真をすぐLINEアイコンにする奴~~~」とかやっていました。惨めです。


 それから月日がたち、私は、大失恋における自分の反省点を見つけました。




 「本当の自分として生きていなかったのが悪かった」という反省点を。




 本当の自分として生きていなかったから、本当の自分を愛してくれる人間と巡りあえなかった。

私が彼に対して抱いていた愛情は本物だったけど、彼が見ていた「私」は本当の私ではない、私が社会に向けて演じていた「ニセモノの私」だったのだ。

そりゃうまくいかないよね。という結論に落ち着きました。


 私がきちんと本来の自分として生きていれば、彼のような人間は近づいてこなかったはずです。



 いや、バカでしたね。

彼と交際しているとき、自分はすっかり「本当の自分」として生きている、と思っていましたが間違いでした。


 そうえいば私、恋愛対象は男だし、女として生きていく方が楽だから忘れていたけど、あれだけ昔から「男になりたかった」のだった。

でも、彼に見せていたのは「無理して女として生きる私」だった。



 彼氏と交際していたときの性事情を思い出して、(全年齢向けの文章なのであえて詳細は控えますが)ああそういえばあんな違和感あったな、と振り返ってみたり。

 彼に貧乳であることを嘆かれ、ポジティブに「女」を目指すために「脱☆貧乳!」を掲げていたけど、実は一番欲しかったのは女らしいなんちゃらカップじゃなくて、ジョジョのJ・P・ポルナレフばりの胸筋だったな、と冷静になってみたり。

 レディース雑誌でコーディネートを勉強して、女らしいスカートやニットを買い漁って「ちゃんと女にならなきゃ、今度こそ女にならなきゃ」といつも焦っている自分がアホらしくなったり。

 そしてそんな行動を男から褒められるたびに、虚しくなったり。



 自分は女の体なので女らしく見られなきゃ価値がない、といつも緊張していたけど、それっておかしいんじゃないか。そんなことしなくてよくない?

もうハブかれるのは仕方ないから、「男になりたいな」かつ「男が好きだな」って思うなら、そんな自分に素直でよくない?

失恋を経て、そう思えるようになりました。


 他人を「性別」「外見」「損得」「世間体」ではなく「性格」「中身」で判断しているような友人って、いわゆる「ジェンダーのカミングアウト」をしても離れていきにくいんですよ。

私はそう思います。

そして、そういう友人たちは人生における宝だと思っています。



 文章にすると簡単だけど「自分に正直になる」ってめちゃくちゃ大変なことです。

でも、そのような人たちがいるおかげで、本当の自分でいるのも悪くないなと思えます。



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