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第六話






 そして1939年五月十一日、日本とソ連の紛争――ノモンハン事件が勃発した。


「それで戦闘の経過はどうか?」

「日本大使館と日本にある駐日大使館からの報告によれば初戦は日本が圧倒してノモンハンに侵攻したソ連軍を撃退したそうです」


 フリッチュがそう報告をしてくる。後の報告で、史実で東支隊と山県支隊は負けるが、五月十五日に小松原師団長は戦車第三連隊から九七式中戦車二両と八九式中戦車乙五両を支援要請をして支援に加わっていたらしい。

 そして侵攻してきたソ連軍のBA-6装甲車十六両を残らず全て撃破したのである。

 しかし小松原師団長はソ連軍の増援を警戒して撤退を決断して日本側を撤退した。これによりハルハ川東岸は再びソ連・モンゴル領となったのである。

 一旦は戦闘は終了したが、部隊の壊滅に驚いたソ連軍はジューコフをノモンハン方面の司令官にして大規模な増援を送らせた。


「日本は八九式に代わる新型の中戦車を投入しているみたいです」

「(チハの生まれ変わりだな……)日本に観戦武官を派遣してその新型中戦車の性能を見よう。それとゲーリングにフリッチュ、此方も義勇軍を送ってみてはどうだ?」

「それは名案です総統。スペイン内戦で鍛えたドイツ空軍の実力を日本にも見せる良い機会です」


 こうして日本にも義勇軍を派遣する事が決定した。陸軍は戦車一個中隊を、空軍は戦闘機三六機、シュトゥーカ二七機の派遣した。しかし、このシュトゥーカ二七機の中にある男が含まれていた。

 なお、フリッチュに対する罷免事件は一切していない。


「ところで総統。新しい女性秘書は採用されないのですか?」

「……もういるだろう」


 女性秘書はヨハンナ・ヴォルフとクリスタ・シュレーダー、ゲルダ・クリスティアンの三人がいた。

 ゲルダは某シリーズで泣いている人な。


「正直に言えば彼女らは見飽きましたので」

「正直過ぎるなおいッ!!」


 俺はゲーリングの指摘に思わず机を叩いた。そして総統室の扉付近ではゲルダが泣いていた。


「泣かないでゲルダ。悪いのはあの馬鹿達よ」


 ヨハンナはそう言ってゲルダを慰めている。


「漫画も発行しているだろ。それで我慢しろ」

「漫画は漫画。女性は女性です」

「意味が分からんわッ!!」


 怒る俺は決して悪くないと思う。


「……分かった。それほど言うならもう一人雇おう」

「分かってくれましたか」

「あぁ、それとゲーリングは後であの三人に謝れ」


 俺は指を指して扉で待機している三人を示した。

 後にゲーリングは土下座をするほど謝ったそうな……。


「それはそうとフリッチュ。携帯式対戦車兵器の開発はどうだ?」

「此方も順調です。よくて来年には試作品が出来るでしょう」


 史実よりかなり早いパンツァーファウストの開発をさせている。だってソ連の戦車硬いんだぞ?

 それに戦車は大量生産だし……。


「やってらんねぇよ……」

「何か言いましたか?」

「いや何でもない」


 何としてでも対ソ戦は阻止したいな……駄目だ、フラグにしか見えない。


「兎も角だ。早めに開発は頼むぞ」

「分かりました」



 それから二日後、ドイツ義勇軍は輸送船に乗り込んで日本に目指した。勿論、日本の補佐である。


「日本からの恩を今こそ返すべきだ」

「そうだな。日本と総統がいなければ軍の再建は進まなかっただろうな」


 輸送船の船内でパイロットや戦車兵達はそう話していた。


「……総統も粋な計らいをするものだな」


 義勇軍司令官のエーリッヒ・フォン・マンシュタイン中将はそう呟いた。


「新生ドイツ国防軍の実力をソ連と日本に見せつけるチャンスです」


 部下はそう言った。


「そうだな。日本は我々に兵器の提供をしてくれた。言わば恩返しだな」


 マンシュタインは苦笑するのであった。



――日本、大本営――



「ヒトラーも中々粋な真似をしてくれるな」


 陸海の参謀達が集まる大本営の一室で輝義が苦笑する。


「だがドイツ軍の実力を知る良い機会だろう」


 永田少将はそう呟いた。永田少将は輝義のおかげで暗殺を免れており、今は新設された兵器開発の局長をしていた。


「戦車は一個中隊程度がそれでもかなりの戦力だな」

「我々も逆にチハの威力を思い知らしめましょう」


 輝義の言葉に参謀達が頷くのであった。


「ところで足利大尉、今月の新刊は?」

「まだです」

「早くアニメとやらを観てみたいものだな……」


 色んな意味でドイツより上な日本であった。そしてドイツ義勇軍が満州に到着したのは七月であった。


「……何だこのパイロットの人選は?」


 輝義は顔をひきつらせた。何せ航空隊の隊長はコンドル軍団の戦闘機パイロットであるメルダースであり、シュトゥーカのパイロットの中に史実ではまだ偵察隊のはずであるルーデルもいた。

 しかも戦車隊の隊長はロンメルである。

 これは全てヒトラーの根回しであった。ロンメルと仲が良かったヒトラーはロンメルに戦車戦の勉強をさせ、ルーデルをわざとシュトゥーカ隊にしていた。

 それが功を成すのは直ぐに見えていた。

 ドイツ義勇軍は直ぐに戦場に送られた。


「良し、パンツァーフォーッ!!」


 ロンメルの命令で二号戦車八両、三号戦車八両が前進を始めた。その後方には日本軍の歩兵部隊が同行している。

 そしてその上空ではメルダース以下の戦闘機隊が奮戦していた。


「無茶な攻撃はするなッ!! 常にロッテ・シュヴァルムで当たれッ!!」


 メルダースは無線で指示を出してソ連戦闘機隊を翻弄していた。

 その間を潜り抜けたシュトゥーカ隊が一斉に急降下爆撃を敢行した。


「食らえイワンッ!!」


 日本軍から提供された二百五十キロ爆弾と六十キロ爆弾を地上のT-26軽戦車やBT快速戦車に叩きつけるのであった。

 ドイツ義勇軍の参戦でソ連とモンゴル軍は総崩れとなり、ノモンハン一帯は日本軍が占領するのであった。

 ノモンハン占領の報告を聞いたジューコフ中将は兵力を集中させて八月下旬に再度攻勢に転じた。

 しかし、日本軍も戦力を集中させて兵力は十万、戦車三個連隊、陸海航空機五百機で守勢に回った。

 ソ連軍は日本軍の戦線を突破しようとしたが、日本軍の襲撃機やドイツ義勇軍のシュトゥーカ隊の爆撃を受けて動けなくなり、そこへ戦車隊が蹂躙した。

 ソ連軍も戦車隊を出したが、日独の戦車隊に殆どが撃破された。

 その間に日本は世界にノモンハン事件の発端はソ連軍と宣伝して世論を味方につける事に成功した。

 このため、ソ連は日本と停戦協定を結ぶ事になったのである。









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