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第二十一話

今回は皆様のお待ちかねであるルーデルの出番です。






 八月、ドイツ空軍はイギリス攻略作戦のために北部フランスに航空艦隊を配備していた。

 そしてアミアンの町にも飛行場を建設して飛行隊が進出していた。


「ふっふっふっふっふっ……」


 格納庫で一人の男が体操をしていた。そこへ別の男がやってきた。


「此処にいたんですかルーデル小隊長」

「む? どうしたガーデルマン?」

「いえ、朝食の時間ですから呼びに来たんです」


 体操をしていた男の名はハンス・ウルリッヒ・ルーデル中尉であった。そしてルーデルを呼びに来た男は後にルーデルの相棒であるエルンスト・ガーデルマンだ。


「そうか、なら食堂へ行こう」


 二人が食堂へ行くと既に大半のドイツ人パイロット達が朝食を食べていた。


「中尉、此方が空いてますよ」


 そうルーデルを呼んだのは今がルーデルの相棒であるエルヴィン・ヘンシェルである。


「助かったヘンシェル」

「いえいえ、そう言えば中尉。今日は新しい兵器が届くみたいですよ」

「兵器? イワンを叩く兵器か?」

「……何でもイワンにしないで下さいよ。今はライミーと戦っているんですから」


 ガーデルマンが横から呟いた。


「何でもロケット弾らしいです」

「ロケット弾?」

「ヤー。小型ですけど戦車や対空砲を潰すのは簡単らしいです」

「ふむ……爆弾と組み合わせれば良いかもな……」

「食事中なんですから……」


 その時、警報が鳴った。


『ワイト島沖に敵輸送船団を発見。第二急降下爆撃航空団は直ちに出撃して敵輸送船団を殲滅せよ。繰り返す……』

「行くぞヘンシェルッ!! 食っている場合ではないッ!!」

「ヤーッ!!」

「お気をつけて」


 格納庫へ向かった二人にガーデルマンはそう言った。格納庫では整備兵達が大慌てでシュトゥーカに爆弾を搭載させていた。


「新型兵器は両翼に付けろッ!!」


 胴体下には一トン爆弾が搭載されていた。一トン爆弾で速度は三九〇くらいまで低下しているが仕方ない事だ。


「出撃ッ!!」


 ルーデルは準備が出来たシュトゥーカに乗り込んで発進した。同航空基地にはシュトゥーカは八十機が配備されていた。

 また、フォッケウルフから改名されたトール雷撃機六十機も配備されており、トール雷撃機も航空魚雷を搭載して発進していた。

 アミアンや他の飛行場では護衛のBf109戦闘機が発進していた。


「イギリス攻略作戦の前哨戦だな」


 あるシュトゥーカのパイロットはそう呟いたのであった。



 一方、ドイツ海軍の本拠地であるキール軍港では祝典が行われていた。


『……本空母をグラーフ・ツェッペリンと命名しますッ!!』


 マイクを持ったレーダーは嬉しそうにしていた。

「……感激だな」

「喜び過ぎだなレーダー」

「それは仕方ありませんよ総統。何せドイツ海軍初の空母なんですから」


 レーダーはライカでグラーフ・ツェッペリンを撮りながら俺に言ってくる。


「はしゃぎすぎないようにしておくのだぞ。ところで、二番艦の状況はどうかね?」

「全力を尽くしていますが43年以降の就役予定です」

「ふむ……Uボートは?」

「アシカ作戦のために四十隻は確保しています。他は大西洋等で通商破壊を敢行しています」

「レーダー、通商破壊はUボートだけでいいと思うか?」

「普通に考えればヤーです。無いものねだりなら水上艦も投入ですが……」

「水上艦はライミーにぶつけろと?」

「流石にユトランド半島沖海戦にはしたくありませんがね」

「……分かった、出来る事はしよう。ところでレーダー。君に頼みがあるのだ」

「何でしょうか?」

「実はな……」


 俺の言葉にレーダーは最初は驚愕したが次第に喜びの舞いを踊っていたのであった。




「いたぞヘンシェルッ!! ライミーの輸送船団だッ!!」

「……輸送船は約二十はいますね」

「私として戦艦を叩きたいが粗末な護衛艦しかいないようだな」


 イギリスの船団は石炭を搭載した輸送船団であった。


「行くぞォッ!!」


 ルーデルは操縦桿を倒して急降下爆撃を敢行した。敵輸送船団は必死に対空砲火を放つがルーデル機に当たる気配はなかった。

 ルーデルは一トン爆弾を投下した。投下された一トン爆弾は敵輸送船に命中。

 一トン爆弾の威力は大きく、敵輸送船は瞬く間に大破した。


「敵輸送船が燃えていますッ!!」


 後部座席にいるヘンシェルがルーデルにそう伝える。続いて二番機も命中させて敵輸送船は傾斜が酷くなり、攻撃が終わる頃には波間に消えていたのだ。

 シュトゥーカの急降下爆撃隊で炎上している敵輸送船団であるがまだ攻撃は終わっていない。


「ジェリーの雷撃機だッ!?」


 必殺の航空魚雷を搭載したトール雷撃機六十機が五メートルという低空飛行で敵輸送船団に迫ってきた。

 護衛艦艇は対空砲火を放つが、又してもサイレンが聞こえてきた。


「また来たぞォッ!!」


 その機体はルーデル機であった。ルーデルはロケット弾の発射を忘れており、上昇して再び急降下してきたのだ。


「食らえライミーッ!!」


 ルーデル機は両翼に搭載していた二発のロケット弾を発射した。狙われた駆逐艦は前部一番砲と救命艇に命中して一番砲と救命艇は破壊された。

 その隙を突いてトールが駆逐艦をくぐり抜けた。


「用意……」


 トール雷撃機のパイロットはまだ無傷の輸送船に狙いを定めた。


「投下ァッ!!」


 一個小隊三機(トール雷撃機は特別に三機編成)が航空魚雷を投下して離脱していく。

 敵輸送船は避けきれる事が出来ず、三本の水柱が吹き上がった。

 輸送船は瞬く間に傾斜が酷くなりあっという間に撃沈されたのであった。

 また、敵輸送船団の上空では救援に駆けつけたイギリス空軍のハリケーン戦闘機二八機とBf109戦闘機四十機が激しい空戦を転回していた。

 ハリケーンは旋回性能を生かしていたが数で勝るBf109戦闘機にやがては劣勢となり最後は散り散りになった。

 結局、敵輸送船団は二十隻いた輸送船を全て沈められた。また、駆逐艦二隻も沈められた。

 これ以降、イギリスは英仏海峡で通過するのは諦めるのであった。


「……流石に敵輸送船を全滅させるのは凄いな。そこまで予想していなかったな」

「恐らくシュトゥーカだけでは全滅出来なかったでしょう。トール雷撃機と合わさっての戦果です」


 ふむ、確かにな。


「ところで……このルーデルにはまた勲章をやらねばならんな」

「ですな」


 しかし、やはりルーデルは魔王なのかこの後もドンドンと勲章を貰う事になるのであった。









御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m

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