表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゴリラ刑に処された令嬢の 可憐な仕返し  作者: 藍銅 紅@『お姉様はずるい』コミカライズ連載中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/22

第12話 月明かりの下で

 月明かりの下で、一晩中。アンブローシアとクリューセースはたくさんの話を重ねた。

 これまでのこと、これからのこと。

 心の中の想い。


「……国王陛下が帰国されないうちは、わたくしはまだあの王太子殿下の婚約者なのだけれど」

「はい」

「さっさと破棄でも解消でもしてしまいたいわ!」


両手を拳の形に握って、ふんっ! と、気合いを入れるアンブローシア。

そのアンブローシアを見て、クリューセースが微笑み。

が、その笑みがすっと薄くなった。


「クリューセース?」

「ああ、申し訳ございません。婚約が破棄なり解消なりできた後でも、侯爵家のご令嬢と孤児院上がりの使用人では……結ばれるのはなかなかに厳しいと」

「そんなことはないわよ! わたくしが獣人刑に処された時点で、お父様ならわたくしを除籍なりなんなりしているハズよ! 最終的な手続きには国王陛下の許可が必要でしょうけど、それ以前にきっともう、わたくしは平民扱いよ!」

「……多分、そうであろうという希望的なご意見で、事実そうなるかは……わかりません」

「クリューセース……」


希望と、現実。

獣人刑を受けたから、侯爵家から除籍されるだろう、婚約もなくなるだろう。

それは確かに希望であって、本当に現実になるかどうかは……わからない。


だけど、クリューセースはそんな現状を嘆いているのではなかった。


「前にユークリッド様がおっしゃっていた話を、おぼえていますか?」

「え?」

「立憲君主。文官たちが政治を行い、王族は国の顔としてだけ働いてもらい、権威を削ぐ……」

「王太子の権も第二王女の権もなくしてしまえればっていうアレね」

「……そういう世の中になれば。侯爵令嬢と使用人が手と手を取り合い、未来を掴めるのかと……」


身分差のない世界……とまでは行かなくても。

少なくとも、身分差があっても、愛し合う者同士が沿いあえる未来がつかめれば。


「そうなったら、素敵ね」

「そうなるように、前向きに努力をしてみようかと思います。私では何をどうするのか考えつかずとも、ユークリッド様やゼファー、セルジオスたちと共に、国を変えていければ……」

「いつかわたくしたちも……きっと……」


薔薇色の未来……とまではいわなくても。

今よりも良い未来を掴むために。


そうして、アンブローシアはクリューセースの胸に持たれながらこっそりと思う。


……望む未来を掴む過程で、こっそりちょっとだけ、フィランダー王太子に対して獣人刑に処された仕返しをしよう。


ただし、獣人領にやってきたことで、結果的にクリューセースとの素敵な未来を掴めそうなので……。


「その分は、差し引いて、可憐な程度の仕返しに留めてあげるわね」


くすりと笑ったアンブローシアだった。




   ***



明け方になって、ようやくアンブローシアもクリューセースも自室に戻って、少しだけ眠り……、起きた時には、昼も過ぎ、夕刻に近い時間となってしまっていた。


「おはようございます、アンブローシアお嬢様。さすがに今日はお嬢様もお寝坊さんでございましたわね」

「んー……、メリッサ、おはよう」

「はい、『おそよう』ございます。お嬢様が起きられるのをこのメリッサ、首を長くしてお待ち申し上げておりました」

「もうっ! メリッサ! 寝坊したのは悪かった……わ……って、えええええええ!」


明るいメリッサの声。それはいつもと変わらない。

青みを帯びた銀の髪を後ろで一つに結んでいるのも。

クリューと同じ青い瞳も。


変わらない。


だけど。

メリッサの顔も腕も。

犬のような獣人の姿ではなく、元の人間の顔と体に、戻っていたのだった……。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


腱鞘炎療養中のため、短くてごめんなさい!


「お姉様はずるい」と奪うのなら、対価は払ってもらいます~不遇令嬢は二度目の人生を復讐と人外からの愛に生きる~

マンガボックス様にてコミカライズ開始しております。

こちらもよろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ