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ポロンの冒険

今回は、ポロンが主人公です。

200話も近いので、ちょっとしたサプライズです。

ボクの名前はポロン。由緒正しい白狼種のオスだ。ボクの名前は、大好きなご主人に付けてもらったんだ……へへっ、良い名前でしょ?ボクとご主人の出会いは、聞くも涙語るも涙の物語。あ、思い出しただけでも涙が出てきちゃう……我慢我慢、ボクは強い子。ハンナちゃんも、そう言ってたし。実は、ボクとご主人が出会ったのは、そう昔の話でもない。それ以来、ボクとご主人はずっと一緒にいるんだ。


コツ……コツ……


『クンクン……あ、この匂いは!』


ギィィー……


「おっす、ポロン!おはようさん」


「わんわん!」


やっぱりご主人だ!ご主人は、僕に近づいて身体中を撫で回してくれる。あぁ、尻尾が勝手に動いちゃう……ダメ、我慢だ。ボクはこれくらい、もう慣れて……。


「よ~し、よし!ほら、わしゃわしゃ~!」


「クッ、クゥ~ン……」


ご主人!ご主人!もっと、もっと……。


「はは、ポロンは相変わらず可愛いな。ほら、これはどうだ?」


あぁ……ご主人。ボクの大好きなご主人……ずっと一緒に居たい。


「ホクトくん、そろそろ朝ご飯にしよう」


「お、もうそんな時間か。じゃあな、ポロン」


そう言って、ご主人は仲間のメスと一緒に建物の中に入っていった。クゥ~ン……もっと一緒に居たかった。でも我慢、ボクは強い子。ジッと待つ事くらい、訳ないんだもん。


今ボクがいるのは、ご主人が新しい巣にした建物の裏庭。そこを自由に使って良い事になってる。でも、ボクは前の巣の方が好きだったな。


『だって、あそこにはハンナちゃんがいたから……』


ハンナちゃん、ご主人の次にボクが好きな人間。ボクの大事な友達。ボクのご主人は、ぼうけんしゃって言う仕事をしているから、あんまり一緒にいられない。それでも、前は結構一緒にいられたのに最近はお留守番することが多くなった。その理由が、ハンナちゃんの護衛だ。ハンナちゃんは、前の巣に住んでた女の子。ご飯をくれたり、毛繕いをしてくれたり、一緒に遊んでくれたり……ボクの事をとても可愛がってくれた人間だ。だから、ご主人からハンナちゃんの護衛を頼まれたときは、凄く嬉しかった。だから、ボクは胸を張って吠えたんだ。任せってって。


『……でも、今の巣にハンナちゃんはいない。ハンナちゃんは、お父さんとお母さんと別の巣に移っちゃったんだ。また、前みたいに一緒に遊びたいな』


ハンナちゃんに思いを馳せていると、素の中からご主人が出てきた。仲間のメス2人も一緒だ。さっきご主人を呼びに来たのがアサギ、ボクがご主人に出会う前からの知り合いみたい。よく遊んでくれるから好き。もう1人はカメリア、こっちはご主人と旅をしたときに知り合ったメスだ。カメリアは良く揶揄ってイタズラしてくるけど、遊んでくれるから好き。


「おはようポロン、今日も良い子にしててね」


アサギが頭を撫でてくれる。気持ちいい……。


「ハッハッ……」


「ははは、相変わらず元気だなポロン。アタイたち、ちょっと出かけてくるからな。お前の大好きなご主人様も一緒だぞ」


「わん!」


ご主人たちは、どこかに出かけるみたいだ。付いて行きたいけど、2人の口ぶりからボクはお留守番みたいだ。ちょっと残念だけど、ボクは強いオスだから、ご主人が帰ってくるまで我慢できる!


「ゴメンな、ポロン。お前も一緒に連れてってやりたいんだけど、今日は大人しくしててくれ。あっ、でもハンナちゃんと遊びたいなら、行ってきていいぞ」


え、ハンナちゃん!?遊んでいいの?……いいの?ボクの意思とは関係なく尻尾が動く。ハンナちゃんに会えると思うと、嬉しいが溢れてくる。ボクを撫でて満足したのか、ご主人たちがボクから離れながら手を振る。


「良い子にしてろよ、代わりにお土産持ってきてやるからな」


「わんわん!」


ご主人の背中が見えなくなるまで、ボクはご主人を見つめていた。さて、ご主人の許しも出たし、久々にハンナちゃんに会いに行こう。そう思ったボクは、ハンナちゃんに会いに素を飛び出した。





『うわぁ~、良い匂いだぁ……』


巣を出て、美味しいがいっぱいあるところまで来た。ご主人と一緒に歩いていると、いつもご主人が美味しいをくれる。だから、ボクはここを通るのが好きだ。ここは、人間が食べるための食べ物がいっぱい置いてある。いつも沢山の人間がいて、とっても賑やかな場所だ。そしてここは、ボクの縄張りでもある。こんな良い所だ、他の犬たちとの熾烈な奪い合いがいっつも起こってる。


『うわぁ~……ここは、いつ来ても楽しいがいっぱい』


ああ、早くハンナちゃんに会いたいのに……。ここにいると、ボクの精神力を試される。ゆっくりと縄張りを見回っていると、いつもご主人と一緒だから、ご主人がいないのは少し残念。そうして眺めていると、人間が声をかけてきた。


「おお、お前はホクトと一緒に居る……確か、ポロンだったか?珍しいな、お前が1人でいるなんて」


「わん!」


この人間は、たまにお肉をくれる良い人間だ。ここのお肉はすごく美味しい!その肉の味を思い出すだけで……ジュルリ。


「おっ?ははは、食いしん坊な奴だな。ちょっと待ってろ……」


そう言って人間は、後ろの箱をゴソゴソしだした。少し待ってると……。


「ほら、これだろ?」


そう言って、人間がお肉を見せてくる。はぅっ、お肉……お肉……。ああ、尻尾が勝手に動いちゃう……くれる?そのお肉くれるの?


「ハッ……ハッ……」


「ははは。ほら、落とすなよ!」


そう言って人間が、お肉をボクに向かって投げてくれた。ボクはそれを空中でキャッチ!あぁ……甘いお肉……美味しい。


「どうだ、美味いだろ?今日の切り落としは、普段食べられないような良い部位だからな。ちゃんと味わって食べろよ?」


「わん!」


やっぱり、この人間は良い人間。だって、こんな甘いお肉をくれるんだもの。ボクが甘いお肉にメロメロになっていると……。


「あっ、ポロンだ!」


遠くの方から声が聞こえた。この声は……聞き間違る訳がない。ボクの大事な友達の声だ。そちらを向けば、やっぱりハンナちゃんだ。ハンナちゃんは、ボクに向かって全力で駆けてくるところだった。


『ハンナちゃん!ハンナちゃん!』


思わず声を限りに叫ぶ。そんなボクにハンナちゃんは飛び込んできた。


「ポロン~♪おはよう、今日も元気みたいだね」


「わんわん!」


ボクにギュって抱きついてきたハンナちゃんの顔を、ボクはペロペロ舐める。これは人間の言葉が喋れないボクからの、最大限の意思表示だ。ボクは好きな人間以外、ペロペロなんか絶対しないもん。


「わぁっ、ポロンくすぐったいよ~……」


ハンナちゃんも、負けじとボクをナデナデしてくれる。これは、お互い言葉が通じないボクとハンナちゃんの意思疎通手段だ。ああ、ハンナちゃんはやっぱり優しい。ボクが気持ちいい所をピンポイントで撫でてくれる。ご主人の次に大好き。


「ポロンは、なんでこんな所にいるの?もしかして、私に会いに来てくれた?」


「わんわん!」


「うわぁ、ちょっ……ポロンくすぐったい!」


首周りにギュっと抱きついてくるハンナちゃん。ハンナちゃんの体温を感じる。好きな人に、こうやってギュってされるのは、とっても幸せだ。


「ああ、お嬢ちゃんは確か……羊の夢枕亭の」


「こんにちは、おじさん!」


「お嬢ちゃんも、ポロンのファンか?」


「違うよ。私とポロンは、ぱーとなー……なの!」


ご主人が、よくアサギやカメリアの事をパートナーって言ってる。そして、ボクとハンナちゃんはパートナーだねって……。それを聞いてたハンナちゃんは、ご主人に意味を聞いてた。パートナーは相棒のこと。どんな事も、何をするのも一緒に分かち合う仲間の事だってご主人は言ってた。ボクとハンナちゃんは、いつも一緒に遊ぶ。だから、ボクたちはパートナーだ。


「へぇ、そいつは羨ましいな」


「えへへ、でしょー……」


にへらと笑うハンナちゃん。


「……あっ、そうだ。ポロン、これからみんなで遊ぶんだけど、ポロンも来る?」


遊ぶ!?遊ぶの?ボクはハンナちゃんの言葉を聞いて、嬉しくなった。尻尾も、ボクの意思とは無関係にブンブン動いている。だって、仕方ない。ハンナちゃんたちと遊ぶのは、凄く楽しいんだ。


「嬉しいんだね、ポロン。じゃあ行こ!」


そう言うと、ハンナちゃんはボクの背中によじ登った。乗り易いように、ちょっと屈むとハンナちゃんは無事登り切った。そして……。


「よし、じゃあ出発ー!」


ハンナちゃんの合図を聞いて、ボクはハンナちゃんが指さす方に走り出した。風のように市場を抜けて、目的地を目指す。


「わん!」





「今日も楽しかったね、ポロン」


「わんわん!」


凄く楽しかった。ハンナちゃんと同じくらいの人間の子供と一緒に遊んだ。かくれんぼに、鬼ごっこ……ほんとに楽しかった。いつの間にか、空は赤くなってて、お腹もすいてきた。みんなも家に帰ってご飯を食べるって言ってたから、今日は解散になった。ああ、ボクもお腹空いた……。


今は、遊び場からハンナちゃんの新しい巣に向かって歩いている。背中にはハンナちゃん。ボクはハンナちゃんのパートナーでナイトだから、ちゃんと巣までハンナちゃんを送り届ける。ハンナちゃんママとハンナちゃんパパに会うのも久しぶりだ、それをかんがえただけで尻尾が揺れる。


そんな事を考えていると、鼻にとっても幸せな匂いが届いた。


「クンクン……わん!」


「え、どうしたのポロン?」


この匂いは間違いない!当たりをキョロキョロと見回して、臭いの主を探す。すると、ちょっと離れた路地からご主人が顔を出した。


「お、ポロン……それにハンナちゃんも」


「あ、お兄ちゃん!」


ハンナちゃんは、ボクも好きだけど……ご主人の事も大好きなんだ。でも、それはボクも同じだ。ハンナちゃんとご主人、一緒に居ると幸せな2人がいっぺんに来た。ああ……幸せ。


「これから帰るのか?こんな時間だと、何があるか解らないし……俺も一緒に送っていくよ」


「良いの!?わーい、お兄ちゃんと一緒~♪」


やっぱりハンナちゃんも嬉しいみたいだ。ハンナちゃんを乗せたボク、その横にご主人で一緒にハンナちゃんの新しい巣を目指す。きっとハンナちゃんは、ハンナちゃんママに今日あった事を話すんだろう。ボクも、今日あった事をご主人に話すんだ。言葉は伝わらないけど、きっとご主人はちゃんと聞いてくれる。そう思うと、嬉しくて尻尾がブンブン揺れる。


その後、ハンナちゃんの新しい巣について別れた。いつまでもボクたちに手を振り続けるハンナちゃん、ボクも一生懸命尻尾を振った。大丈夫、明日もまた会える。そう思って、ボクはご主人と巣に向かって歩き出した。


『明日も、きっと幸せな日になりそうだな……』


ハンナちゃんにご主人、アサギにカメリア。ボクの周りには、いつの間にか沢山の幸せができた。ママが死んじゃったときは悲しかったけど、今の生活はボクに沢山の幸せをくれる。それを齎してくれるご主人は、やっぱりカッコイイ。これからも、ご主人に愛想を尽かされないようにボクは頑張ると心に誓った。

ずっと書きたかった、ポロン視点のお話でした。

これまで、あまり出番の多くなかったポロンですが

探索者になったホクトにとっては、得難い存在になっていきます。


明日からは新章、ついに願いの塔に挑戦します。

これからも頑張りますので、引き続きよろしくお願いいたします。

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