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ゼロから始めるダンジョン攻略  作者: 世界一生
6章 町を守ろう
122/240

26話 エピローグ

「なあ、その籠手どうなってんだ?」


「さあ?俺にもよく分からん。ウドベラのダンジョンの隠し部屋で見つけたんだけど、今までは何てことない普通の籠手だったんだけどな……」


「でも、なんかカッコいいな!その右手の甲にある紋様はなんだ?何かの魔法でも埋め込まれてんのか?」


「ああ……お前には、これが魔法陣の紋様に見えるのか?」


「違うのか?」


違う、と言いきれたらいいんだけど……。そうすると、俺が別の世界から来たことをソウルに説明しないと納得してくれそうにないしな。ここは流れに乗っておくか。


「魔法陣だったら、確かにカッコいいな。右手に封印された何かが、封印の解除と共に解き放たれるのか」


「おお!いいね、そう言うの好きなんだよ!」


「……全く、どうして男の子っていつまでも子供みたいなことを言うのかしら」


戦闘も終わったことで、ソウルのチームメイトのサラとエリスも合流してきた。エリスは相も変わらずツンデレさんだな。


「2人は大丈夫だったのか?」


「ああ、こちらはユニークが多かったと言っても、周りも熟練者ばかりだ。我々だけでも何とかなったよ。それよりも、ソウルもホクトも大活躍だったみたいだな。最後は2人で倒したんだろ?」


「何とかな、ソウルがお膳立てしてくれたから倒せたんだ。俺1人じゃ勝てなかったよ」


「良いんだよ、俺たちはチームだ。お前ら一人一人が頑張ったから、あんな化け物みたいな奴にも勝てた。胸を張れホクト、あいつに止めを刺したのはお前だ」


いつの間にか、ダッジさんまで寄ってきて会話に参加してきた。まあ、今回は俺も勝利に貢献できた自負があるから、素直に褒められておこう。


「それよりもダッジさん、シッカが……」


「ああ、それに右翼だけじゃない。我々の方でも死傷者がかなりの数出た。結果としては第三陣を凌いだが、これ以上の継続戦闘は無理だな」


「そんなにですか?」


「ああ……丁度いい、みんなも聞いてくれ!みんなの働きで、なんとか第三陣を退ける事に成功した。だが、我々も無事では済まなかった。今回の戦闘で当初集まってもらった半分以上の戦死者が出てしまった。これ以上、ここで戦闘をしても無闇に被害を拡大するだけだ。悔しいが、我々の仕事はここまでだ。休憩した後、我々はリーザスに戻る」


そうか、ここまでか……。スタンピードは、第四陣がまだ残っている。第三陣がこれほどの脅威だったんだ。第四陣は、どれほどの脅威になるかは解らないけど、俺たちにできる事はここまでって事か。後は町に戻って、残留組と協力して乗り越えるしかないな。


「さっき偵察を出した。戻ってくれば、第四陣がどの程度なのかもわかるだろう。まずは、ひとまずご苦労だった。短い時間だが、ゆっくり休養を取ってくれ」


ダッジさんはそう言うと、本部のテントの方へと歩いて行ってしまった。さて、俺はどうしようかな……。


「ホクトくん、大丈夫だった?」


「あ、アサギ。俺は大丈夫だ、お前の方はどうなんだ?」


「私も大丈夫。水の魔法でバリアを張っていたから、大した怪我も無かったよ」


アサギが鬼の攻撃に巻き込まれたときは冷や汗が出たぞ。まあ、無事だったなら良かった。俺たちはソウルたちと一緒に、邪魔にならない所に腰を下ろして休養を取る事にした。全ては偵察が戻ってきてから……そう思っていた俺たちに冷や水を浴びせるような情報が舞い込んできたのは、それから2時間が経過した頃だった。





「おいみんな、第四陣のいる方から馬車が来るぞ!」


そんな声が聞こえたのは、休養も十分に取れて暇を持て余した頃だった。物見櫓で哨戒していた冒険者が声を張り上げた。


「おいおい、何の冗談だ?魔物が沢山いる方から馬車なんて来るかよ」


「本当なんだって!良いから、総司令に伝えてくれ。この後どうするかは、総司令が決めるだろうから」


それを聞いた冒険者の1人が、ダッジさん達を呼びに言った。少ししてダッジさん達が現れた。相変わらずグルドさんも一緒だ。だけど、そこにアマンダさんの姿は無かった。彼女は、右翼の指揮を執っていて人間爆弾で壊滅した際に大怪我を負って、救護班に運ばれていった。未だ意識が戻らないので、何があったのかは俺たちが見たことから推察するしかないのが現状だ。


「馬車が来るって、どういう事だ?」


「俺だって分かりませんよ。だけど、あれは間違いなく馬車です。何なら上で見てみればいい」


余りにも誰からも信じてもらえないので、哨戒していた冒険者は不貞腐れてしまった。それを聞いたダッジさんが櫓を見上げる。


「信じてない訳じゃないんだが……そうだな、ホクトお前眼が良かったな。悪いが、一緒に櫓に上がってくれ。グルドも悪いが、一緒に来てくれ」


そう言ってダッジさんが櫓を上がっていく。グルドさんも1つ頷いてから櫓を登っていく。ご使命とあっては仕方ない。俺もグルドさんに続いて櫓を上る。


「へえ、初めて櫓に登ったけど結構遠くまで見えるもんですね」


「そうじゃなきゃ意味ないだろ。で、どうだ?何か見えるか?」


ダッジさんに言われて、遠くの方を見てみる。恐らく第三陣までと同じようなルートで移動しているだろうから、いるとしたらあっちだな。


偵察の時の記憶を頼りに、第四陣が来るであろう方向に当てを付けて目を凝らして見る。すると、確かに馬車っぽい何かが土煙を上げて、こっちに向かってきている。


「あ、あれじゃないですか?」


そう言って、俺は馬車の方を指さす。ダッジさんもグルドさんも、俺が指さした方を見て眉を潜める。


「……確かに馬車だ。しかも、あれは乗合馬車だぞ。いったいどこのどいつだ、こんなところを通るなんて」


「……馬車の向う、別の土煙が見える」


グルドさんが、そう補足を入れて。俺とダッジさんを見る。さすがAランクパーティのリーダーをするだけの事はある。改めて馬車の奥に目を凝らすと、馬車を追いかけるかのように大きな土煙が見えた。あれは、いったいなんだ?


「……どうしますダッジさん。見てるだけでいいですか?それとも、馬車にここが戦闘区域だって教えますか?」


「無論教えるつもりだ。後は、問題なくあの馬車と合流できればいいんだがな」


それっきりダッジさんは黙り込んでしまった。今後、どう動くかをシミュレーションでもしてるみたいだ。俺が口を挟んでも碌な事にはならなそうなので、ここは黙っておこう。


「……む?あれは、まずいな。あの馬車は、魔物の群れに襲われてるようだぞ」


グルドさんが、土煙の正体に当りを付けた。あんな魔物に襲われているだなんて、あの馬車に乗ってる人達は不憫だな。


「よし、馬車を保護しよう。グルドには悪いんだが、後ろからくる魔物を倒してくれ。ホクトは、何が起こるか分からないんだ、いつでも戦闘ができるようにして待機だ」


ダッジさん、グルドさんと一緒に櫓を下りる。陽はそろそろ中天に差し掛かろうとしてた。





「こっちだ!後は我々に任せて、中に入っていてくれ」


馬車を操縦する御者に、こっちの意図を伝えて中に入ってもらう。その間に、グルドさんを主軸とした討伐メンバーが組織され、こちらに向かってくる魔物たちを撃退しに行った。


「グルドさんたち、大丈夫ですか?第四陣の情報は、まだ何も入っていないんですよ?どんな魔物がいるのか解らない以上、危険じゃないですか?」


「まあ、そうなんだが……今の少ない情報では、グルドに頼らざる得んな。さて、あっちはグルドに任せるとして、俺は御者に話を聞きに行く」


そう言ってダッジさんは、気の抜けたように方針した御者の所まで歩いて行ってしまった。気になったんで、馬車の様子を覗いてみたら小さな女の子が乗っているのが目に入った。


「ホクトくん、どうしたの?」


「え、ああ。ほら馬車に小さな子が乗ってるだろ?怖い思いでもしたんじゃないかって心配になったんだよ」


アサギが来たので、馬車の中の様子を話す。


「そうね、あれだけの魔物に襲われたんだもの、怖くないはずないわ」


アサギとそんなやり取りをしていると、ダッジさんと御者の人との話し合いが終わったみたいだ。俺たちの方にダッジさんが歩いて来た。


「ちょっと様子がおかしいんだ。今すぐにでも町に戻りたいところだが、偵察が戻ってくるまでこの人たちにも休養を取らせようと思う。窮屈な馬車よりはましってレベルだがな。よし、みんな疲れたろ。食事の準備もあるから、下りて休養を取ってくれ」


ダッジさんの言葉に、ポツポツと馬車を下り始める乗客たち。最後に小さな女の子が下りて、俺たちの前を通り過ぎようとした。


「大丈夫か?」


「え?……うん、大丈夫」


全然大丈夫そうに見えない表情で答える少女。ちょっと心配だな。


「こんにちは、私はアサギ。こっちのお兄ちゃんはホクトくん。あなたのお名前は?」


男の俺が声をかけるよりも、アサギの方が女の子も安心だろう。


「エスカ……」


「エスカちゃんか。エスカちゃんは1人で馬車に乗ってたの?家族の人はいないのかな?」


途端にエスカちゃんの表情が何とも言えないものに変わる。泣いている?笑っている?憎んでいる?そのどれもが当たりで、どれもが間違っているような……なんとも言えない顔をしたあと……。


「私独り。町が魔物の群れに襲われたときに、馬車に乗せられて逃げてきたの」


「そうだったの、怖い思いをしたんだね。でもここまで来れば大丈夫よ。私たち冒険者がついてるからね。ね、ホクトくん」


「え、ああそうだぜ。俺たち、こう見えても結構強いんだ」


「……そうなんだ」


それだけを言って、エスカちゃんは他の乗客たちが集まっている場所へ行ってしまった。


「よほど怖い思いをしたんだね。私たちで力になって上げられればいいんだけど……」


「そうだな……」


それからは特に何事もなく時間が過ぎ去った。乗客たちは、無理に冒険者と関わろうとはせず、客たちだけで集まっている。冒険者たちも、特に理由もないので客たちとは距離を置いている。そんな何とも言えない空気の中、偵察に出ていた冒険者が戻ってきた。


「ホクト、お前も会議に参加しろ」


「え、俺も?」


「聞いてるだけでいい、行くぞ」


そう言って、ダッジさんに伴われ本部の天幕に入る。そこには、いつものメンバーに加えて馬車の御者さんも参加していた。御者さんたちが見てきたことも情報としてほしいとダッジさんに言われたようだ。


そして、偵察をした冒険者から話を聞いたんだけど、それは俺たちが思ってもみなかった、とんでもない情報だった。


「第四陣はいなかった。間違いなくスタンピードは続いているはずなのに、その影も形も見つけることができなかった」


「どういう事だ?忽然と姿を消したって言うのか?」


「あの……」


そのとき、御者さんが手を上げる。


「発言してもいいですか?」


「もちろんだ、そのために来てもらったのだから」


天幕の中にいる冒険者たちも、御者さんが何を言うのか気になっているのか静かにしている。


「恐らく、僕たちを襲って来た魔物たちが、その第四陣の魔物たちだと思います」


「……なぜ、そう思う?」


「東の方に、南下する魔物たちを見ました。見たことも無いような魔物たちで、数は……正確ではないかもしれませんが、1000近くはいたんじゃないかと思います。僕たちを襲って来た魔物たちは、そこから別れて襲い掛かってきました」


「そうか、俺が行った時には動いた後だったのか……」


「おい、南下したって……」


御者の話に嫌な予感が止まらない。俺たちはリーザスの北側でスタンピードの魔物たちを討伐するためにここにいる。そこから見て南下したって事は……。


「まさか、俺たちを迂回してリーザスに向かったのか?」


スタンピード中の魔物にそこまでの知恵が回るとは思えない。思えないんだけど、今回の第三陣は今までとは攻め方が明らかに違っていた。そもそも、複数の種族で構成される軍勢なんてダンジョンの中でしか発生しない事だ。それが起こった……今回のスタンピードは、明らかに今までとは違うもの。何が起こっても不思議じゃない。


「ダッジさん……」


「ああ、急いでリーザスに戻るぞ」


ダッジさん号令のもと、俺たちは急いでリーザスに戻る事になった。リーザスは無事なのか?第四陣の魔物たちは、本当にリーザスに向かったのか?第三陣を退けたけど、スタンピードはまだ終わっていない。



名前:ホクト・ミシマ

性別:男

年齢:17

レベル:33↑

職業:拳闘士(Lv7)↑

----------------------------------------

体力 :320(+14) +17↑

精神力:201     +12↑

攻撃力:208(+14) +8↑

防御力:203(+28) +10↑

敏捷 :403(+3)  +14↑

知能 :2

魔力 :183     +22↑

運  :42

----------------------------------------

スキル:

ダーレン大陸共通言語(Lv3)

鷹の目(MAX)、集中(MAX)

気配感知(Lv4)、魔力制御(Lv5)↑

跳躍(Lv2)↑拳術(Lv2)

隠密(Lv2)↑、集音(Lv3)↑

ディスタンスゼロ(ユニークスキル)


・ディスタンスゼロ(ユニークスキル)

1分間、敵との距離が近ければ

近いほど攻撃力にボーナスがつく


----------------------------------------

称号 :

初心者冒険者(体力に小補正)

----------------------------------------

装備 :

銀の籠手(攻撃力+14、防御力+8)

ショートソード(攻撃力+5)

群青の鱗鎧(防御力+20)

グリーブ(敏捷+3)



名前:アサギ・ムラクモ

性別:女

年齢:24

レベル:35↑

職業:魔法使い(Lv8)

----------------------------------------

体力 :127     +6

精神力:243     +10

攻撃力:105

防御力:158(+23) +3

敏捷 :166(+3)  +6

知能 :281(+5)

魔力 :351(+99) +16

運  :94

----------------------------------------

スキル:

ダーレン大陸共通言語(Lv5)

水魔法(Lv8)、精霊魔法(Lv3)↑


----------------------------------------

称号 :

炎の精霊使い(魔力に中補正)

----------------------------------------

装備 :

エルダートレントの杖(魔力+10、知能+5)

手甲(防御力+8)

魔道士のローブ(防御力+15)

天狐のピアス(魔力+50)

グリーブ(敏捷+3)



名前:カメリア・フレイム

性別:女

年齢:23

レベル:33↑

職業:槍士(Lv7)

----------------------------------------

体力 :362(+34) +16↑

精神力:188(+15) +2↑

攻撃力:316(+30) +10↑

防御力:231(+11) +13↑

敏捷 :124(+3)  +6↑

知能 :8

魔力 :88

運  :25

----------------------------------------

スキル:

ダーレン大陸共通言語(Lv3)

槍術(Lv9)、剛力(Lv6)↑


----------------------------------------

称号 :

中級冒険者(体力に中補正)

----------------------------------------

装備 :

鬼神の朱槍(攻撃力+30、精神力+15)

手甲(防御力+8)

皮の胸当て(防御力+3)

グリーブ(敏捷+3)

これにて6章は終了です。

スタンピードは、まだ終わっていません。

次の章では、町を舞台にホクト達ががんばります!


評価や感想は飢えていますので、どしどしお願いします。

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