私の夢は、銀河を照らすミューズになる事なの。
私はスマホを手に取り、下着姿のままでソファーに腰掛けた。
スマホの画面を指でピンピンと跳ねて、メッセージアプリを開く。それとSNSも。
「あー、こりゃ大変だ……」
一種の現実逃避として、朝に施設を脱走してから、今の今までスマホを敢えて見ないようにしていたのだけれど、そうすることによって問題が流れて消えてくれる訳でも無く、既に膨大な通知が溜まっていた。
「取り敢えず……古王家のグループチャットから見ましょうか……」
私は家族+執事ーズの共有チャットを開いた。
パパ:やっほー、レシカちゃん!新しいお家はどうだい?気に入ったのなら、パパ、レシカちゃんの笑顔の写真がほしーなぁ!
ママ:レシカちゃん、お小遣い送っておいたからね?自分でお野菜、ちゃんと食べなさいよ?……やっぱり、ママが行こうかしら?
アルハグ:レシカ様、何かございましたらすぐにご連絡ください。五分で参ります。
サビク:レシカちゃん、超大胆っすわー、面白れぇ!おもおもだぜ!
プリオル&テリオル:レシカお嬢様、心配ですわ私。私の方が心配してるわよプリオル。
ケバルライ:心配させんな。
みんな……
溺愛し過ぎじゃあ、あーりませんか。
心臓がホームシックダンス踊り出してしんどいんだけど。
とりあえず……
私は私の事を心の底から愛してくれるみんなに本音をぶつける事にしましょ。
レシカ:みんなやっほー!!!元気!?一旦、都会ぶらぶらして遊んでから、不老不死になる方法を探そうと思ってるから全然心配しないでね!♡将来の事、凄く悩んで考えた結果、私、銀河を照らすようなミューズ(女神)になりたいって思ったの!
送信っと。
ケバルライ:……ずるいよ、レシレシ。私も不老不死なりたい。
ママ:あらやだ、私もよ。
ケバルライとママ、返信早っ!!!そういや、ケバルライも不老不死になりたいって、昔言ってたわね。
最近会えてないなー。彼氏とか出来たのかしら?ニ十歳ぐらいだからいてもおかしくないけど……ないわね。変人だもの。
後、私大好き人間だし。
パパ:パパは応援するぞ!!レシカちゃんファイト―!!!
おぉ、心強い。パパの応援は国家が動くからね。
と、まぁーでも、返信はしないでおこう。キリが無いし。
それより、一旦、クラスの子達のSNSでも見ようかしら。
私はみんなのアカウントをリズムよく見ていく。
ふんふん……
あちゃー。
クラスメイトのみんな、大分私に影響受けてるわね。
クラスの子達の写真を見ると、何人かが大きなリュック背負って笑顔でダブルピースしてる。
(時代は脱走!レシカ様みてるーーー?)
ふふふ。見てるわよ。ホントかわいい子達。
でも、脱走ムーブ起こったら、私が先生に怒られちゃうじゃない。
あっ、噂をすれば先生の写真だ。
綺麗な艶のある黒髪、毛先だけがグリーン。瞳もエメラルドグリーンで、優しい目を虚ろにして頭を抱えている。世間一般視点なら有り得ないくらいの美人。
その写真と共に、(先生ガックシしてるのおもろい!あと、胸に注目)と年下組の元気なマセガキの子達が投稿してる。
この子達も、下ネタ言う年齢になったのか……時が流れるのは早いねほんと。
あ、そうだ。火蘭君はどうしてるのかしら?
あー、呟いてるじゃないか、あの引きこもりショタボーイめ。
(なんで脱走なんかするんだよー……みんなもテンションおかしいし……行く準備しなきゃ……)
これは、もしかして……面白い展開かもっ!
私と火蘭君が仲良いから、施設の人が迎えに行ってって言った可能性があるわね。
仲良いって言っても実際は、火蘭君の女の子より超女の子な見た目が可愛いから、暇を持て余す限り、いじりまくっていただけなんだけれど。(私が女装とかさせたせいで男子に告白されてたし。ぷぷっ)
でも、まぁ、火蘭君の特異な能力なら私の事探せない事も無いって先生が思ったからかもだけど。
私はなんとなく満足してSNSを閉じようとしたが、ちょっと予感がして、最後にDMをざっと見てみる事にした。
そしてやはり一つだけ、気になるメッセージを発見。
見るのはなんとなく怖いが、見ないと後々もっと大変な事になると思い、恐る恐る開く私。
……
亜久流 世世:いまどこなの?
はぁ……
やっぱりこうなったかー。そんな気がしてたんだよねー。
ヨゼとは、例の脱走したクラスメイトの問題児だ。
一応友達。私はそう思っている。
でも、あの子は私の事を変な感情で見ている気がする。
それは、言葉では言い表せない様な感じで、ライバル視しているような、しかし、 私の事をとても愛している様な……凄く変な感じ。
というのも、色々訳があるからなのだ。
まず、大事な所から説明すると、私自身、私が一番可愛くて一番大好き。それは変えようのない事実。
次に男は好きでは無い。これも変えようのない事実。
そしてその次に、物凄く可愛い女の子とかはまずまず好き。これはなんとなくの事実。
で、そんな私が結構多感な年頃に閉鎖的な施設に入れられたものだから、湧き上がる色的欲求の処理がわからなかった。
だから初めは、鏡にキスしていたわ。(今もだけど)
そしてある日に、ふと、考えたの。
私が鏡の自分にキスされてこんなメロメロにされるなら、他人であればどうなるんだろう?と、それが何故か無償に気になって、その証明の重要な相棒になったのが、ヨゼと火蘭君。
事前に実験内容を知られたら、結果が変わる可能性があるから、実験は唐突に行ったわ。
ヨゼに初めてトイレでキスした時、彼女は(あなた正気?)と静かに激怒し、私はかなーり強く頬をぶたれた。
火蘭君に初めてキスした時はそのまま気絶しちゃって、起きて先生の所に飛んで行って、そのまま告げ口しちゃって、私は先生に凄く責められたけど、逆に「良い夢でも見たんじゃ無いですか?年頃の男の子ですし」と言ったら、「それもそうね……」と先生はあっさり納得した。
火蘭君は、それから、私の事を避けたり、ちょっと酷い言葉を吐いてきたりするようになったけど、不意に私の事を背後から見ていたりもする。
私って罪な乙女よね。あはは。
という事で……
レシカ:探してみなヨ♪
私はヨゼにメッセージを返した。
言い忘れたけど、ヨゼとはトイレ以降も時々キスをする仲になった。
ヨゼはあの時、激怒したけど、二回目は彼女からいきなりキスしてきた。
よく考えれば、私達の間柄は話をする回数よりキスの方が多いかもしれない……
そんな二人が来ると思うと、なんだか面白くなりそうね、どっちが先に来るかな?私を狙う色んな異形もかなり骨が折れるだろうね。
取り敢えず疲れたからパジャマ着て、女神の先輩に不老不死の話を少し聞いて寝ーよおっと。
「ヴァルゴ。起きてる?」
私の声そのものが魔術の呪文のように空間に反応し、目の前に私の左眼みたく真っ暗闇の円形の空間が現れた。
そこからローズピンクの眩い光が湧きだす。
その光と共に、私と同じぐらいの背丈の女性が神々しい格好で登場する。
女性と言っても、全身が包帯ぐるぐる巻きで、瞳と髪しか見えないのだけれど。
その瞳は私か私以上に美しい。髪はローズピンクの長髪で、地面を擦れる程に長い。
私のゾディアックの召喚の内一体、『ヴァルゴ』は美し過ぎる余り、この包帯をほどいてはいけない存在なのだ。
彼女は甘く無垢な声で囁いた。
「起きてるわよレシカ?どしたの?」




