ミッドナイト・ジュブナイラーズ。
街が完全に眠ってしまったミッドナイトに私達は、暗い部屋で青白い光を様々な画面から立ち上げていた。
巨大テレビ、幾つもの携帯ゲーム機、スマホ。
みんなで画面に釘付けになりながら、ゆるい会話を続ける……
「おい、自己中に突っ込むなフレア、凛凛」
来螺がフローリングで寝ころびながらボタンをカチカチと神経質に押す。
大人数協力型のダークファンタジー風モンスター討伐ゲームをみんなでしているのだ。
「だって、ランク入りしないと、丘の大蛇の鱗が貰えないから防具作れないんだもーん」
フレアが窓際でコロコロと転びながら言う。そのさまは赤く開いた薔薇のよう。
「……」
凛凛は巨大テレビに釘付けになって反応が無い。
「うふーん!巨大蟻族の王冠ゲットだわ!うれちうれちっ」
テリオルが来螺の足を枕にしながら嬉しそうな声を上げた。被る毛布を引き上げ、散らばる碧色の長髪も全てスポッと覆い、また現れるを繰り返す。テリオルはたまに脈略の無い奇行に走る子だ。
「私もゲットしましたわ!!ふぅー中々大変でしたわね……火蘭さんのもお手伝いしましょうか?」
プリオルがソファー左端に座りながら隣の火蘭君に尋ねる。距離が絶妙に近い。
プリオルは控えめで優しい子だけれど、意外と積極的な所もあるんだとここ何日かで知った。
「うん、ありがとプリオル」
ゲーム中でも、相手の顔を見てお礼を言う火蘭君。プリオルはポンッと音をたてるように顔が真っ赤になり恥ずかしそうに返事した。
「はい……」
「ちょっとやばいんじゃないですか?お姉さん」
ケバルライが悪戯気な顔でフレアの背中をツンツンとして言った。私は耳が言いからあの音量の声でも十分聞こえる。
「な……なにがよ。ケバ姉」
フレアは頬を赤らめて火蘭君達をチラッと見た。フレアの凄い所は、プリオルが恋のライバルと知ってながら、プリオルが人見知りでも勇気を出してアタックしてると理解して応援してあげている所だ。自分もずっと片思いしてるのに、普通はそんな事出来ない。
「誰が、ケバ姉じゃー。スッピンでも滅茶かわいいわこらー、チューするぞこらー」
ケバルライはフレアの全身をこしょばす。ケバルライはフレアの事を相当気にいっているみたいだ。
「あひゃひゃひゃっ、やめて、そこ弱いの!」
フレアが大声で言う。
「よ、よわいのか……一体どこが……」
災人はその光景に見惚れて、携帯ゲーム機の操作が止まる。
「おいっ!!!相棒何やってんだ!!!俺、死んじまったじゃねーかっ!!!おまけに魔剣ミレニアムバターが壊れちまった!!!こんなのひどすぎる……」
錬徒はちくしょうとフローリングを叩く。そして横で寝ころぶ災人も叩く。
「どんな名前よ」
ヨゼが表情を一切変えず、ソファー右端でスマホをみながらツッコんだ。
「下の階に迷惑になるからやめなさい、錬徒」
私はソファーでヨゼにもたれかかりながら、指を人一倍激しく動かして言う。
片手で私を撫でるヨゼの手は、どことなくいつもよりいやらしい感じがした。あの出来事のせいかしら……私の中でヨゼの乳白肌で美しい水着姿と動物の鳴き声集が再生された。
「よし!ログログ族の魔窟到着!」
青花がテーブルチェアに座りながら、達成感のある声を出す。
「早っ!!!」
何人かが声を揃えて言った。
青花は頭が良く、最短で目的を達成する事が非常に得意だ。
「ちょっと手伝え、青花」
ぶっきらぼうに言う来螺。
「はいはい」
青花は仕方ないわねと、少し嬉しそうに返事。
「でましたわ、奥さんを呼び出す魔術」
テリオルは枕にしている来螺の足に頭をポンポンと跳ねさせる。
テリオルは幽美ちゃんと年齢が変わらないんだけれど、そう考えれば、この状況って大丈夫なのかしら?
「うるせぇー、てか重いぞお前」
来螺が反時計回り少し回転。テリオルは磁石のようにくっついて回る。
まぁいいか。来螺の謎キャラがテリオルのツボにはまったんだろうね。
「ふふっ、奥さんだって」
ずっと黙って巨大テレビに集中していた凛凛がボソッと言い、ニヤッと笑った。
「ねぇ、災人。申し訳ないけれど、私欲しいアイテムがあるから、一旦、霧深き祭壇で犠牲になってくれないかしら?」
幽美ちゃんが私の隣に座りながら淡々と酷い事を言う。
「はぁ??なんで俺なんだよ。折角溜めた経験値がパーになるじゃねぇか!」
災人がプンスカと反発する。
「だって、あなたが一番近いもの……それに……気兼ねしないでいいし」
「なんて発想だお前、サイコバスなんじゃねーか?」
何人かは、今頃?と心でツッコんだような顔をした。
「ボクが犠牲になるよ。もう眠いからやめるしね。魔剣ピロピロヒモスもゲットできたし満足さ。それに、明日は近くの山にハイキングに行こうと思ってるしね」
火蘭君が眠そうに瞼をとろんとさせて笑う。
「流石に、どんな名前だよ」
錬徒が冷静に突っ込む。
「えっ、ハイキング行くの?私も行きたいわ」
最近、体が自然を欲してたのよね。
「お供したいです……」
プリオルはデートしたいですという風に言った。
「俺っちも行こっかな。体動かしてーし、象もみたいし」
錬徒が言った。みんなはボケに完全スルー。
「あたしっちも行こっかな、新鮮な自然の空気ちょっと吸いたかったのよ」
フレアがやたらと触ろうとしてくるケバルライの両手を押さえつけて言った。
「私も行くーーー。バス乗りたい」
凛凛がフレアに続く。
そんな感じで、みんなはどんどん参加し、結局は全員で行く事になった。




