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お前の敵は俺等の敵なんだ、一人で考えてんじゃねーよ。

 先程の戦いの後、ケバルライが車で自宅のタワーマンションまで送ってくれた。


 宝塚から自宅の西宮北口までは、ほぼ一本道で、海手の方へ下ればいいだけの経路だった。西宮近辺になると神戸方面へと右折し、例の複合型商業施設が見えてくるから、そこが阪急西宮北口エリア。


 見えてきた複合型商業施設を車窓から眺めていると、シャワーを浴びて少し休んでから、後で買い物でも行こっかな……という気が湧いてきた。緊張状態を強制的に落ち着かせようとする反応かもしれない。


 道中の車内、「ケバさん、さっきの何!?すげーよ、あの能力!!」と災人が言って、「その呼び方やめて、化粧が濃いみたいじゃん」とケバルライが言い返したり、


来螺が「お前等怪我はねーか……?」とボソリと呟き、私と災人が大丈夫と返事すると、無言で目を瞑っていた。


 私も「たぶん、さっきの奴、私を狙ってきたと思う。巻き込んでホントごめんね……」


と謝ると、災人は「全然、気にすんなよ。いつでも手伝うぜ、ロボ姉」と冗談交じりで言い、来螺は「お前の敵は俺等の敵なんだ、一人で考えてんじゃねーよ」と強く鋭く言い放った。




 はぁ……生き返るわ。


 私は帰宅し予備の部屋を使い、シャワーを浴びている。


 そして、鏡を見つめる。


 アクアマリンみたいな瞳は少し疲れで淀み、雪白の肌もエネルギーの使い過ぎで蒼みがかっている。左眼の瞳は相も変わらず宇宙を閉じ込めたみたいに奥底が光っていた。


 これはこれで、儚くて可愛いけれど、私の好きな可愛さはこうじゃないわ。


 おへそまでの黒髪は、濡れて胸や背中にへばりついている。


 桃色に艶めく小さな唇を動かしていつも通り鏡に独り言を呟いた。


「やっぱり不老不死にならなきゃ……」


「うん、みんなを守る為にも、美しさを維持する為にもね」


「でしょ?どうすればいいかしら?」


「……いっその事、先生に聞いたら?」


「うーん……」


「いやなの?」


「いやじゃないけれど……自分の力で考えたいわよね」


「偉いわ!レシカ(っちゅ)」


「うふふ。くすぐったいわよ(っちゅ)」


「ねぇ!?ジェミニに聞いてみましょうよ?」


「ああ……そうね。やっぱりそうよね」


「うんうん、後、ヴァルゴにもそろそろ会いたくなーい!?」


「ちょっと前に会ったじゃない……ヴァルゴは結構エネルギー使っちゃうからね、また明日以降」


 私一人の声と、シャワーの流れる音だけが浴室に響く。


「そうね。でも、好きな人に会うのに、エネルギーなんか気にしないこと!」


「その通りね。ふふっ」


 初めて恋した相手は自分、その次にヴァルゴ。他はいない。ヨゼや火蘭君は美しくて触れたくなるけれど、恋ではない。どちらかと言えば濃い友情に近い。


「あと、あなた最近、胸大きくなったんじゃない?」


「えっち。へんたい。もう上がるわ」


「あなたがね。ふふっ。ゆっくり休んで……」


 私は真顔に戻り何も無かったかのように浴室を出た。




 その後、青花が何人か引き連れて部屋へ着て、複合型商業施設へ買い物に行くからあなたも行く?と誘われたけれど、私は断った。少し寝てからジェミニと話す事にしたからだ。


 すると青花は「わかったわ、晩御飯は買ってくるからね」と私の頭を撫でてくれた。


 後ろにいた凛凛が、今日はゲームパーティするのよ!!!ソフト買いに行くんだぁ!!!と青花の腰に抱き着き満面の笑みを零していた。




 私は清潔になった体で、ベッドの上に座り座禅する。


 穢れとは汚れとは別なものだ。シャワーでは落ちない。


 私はそれが、密接に雑念や思考と関係していると思うから、たまにこうやって精神統一して、心をクリアにする。


 行動は心から生まれるので、心に穢れがなければ善なる行為ができ、善業へと結び付くと思う。これは凄く重要な事であるし、私の天秤のゾディアックサイン、リブラの能力にも影響をもたらす。


 ……


 ……


 ……


 一旦、何が正しいとかの頭の論争を捨てて、ただ静寂を感じた。


 ……


 ふぅ……


 かなり落ち着いたわ。


 私の精神統一のレベルはまだまだなのしれないけれど、そのレベルでも清浄な考えに戻れる気がする。


 その瞬間は美しさへの執着や、ごたごたとした不安も無くなる。


 眠くなっていきたわね。


 私はそのまま横になり、フワフワで清潔な香りのシーツの上で吸い込まれるように眠りに落ちた。

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