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5-33『魔王城特定』

「意外と招集早かったですね。確か、今朝集合して魔王討伐をするっていう話になったばかりでしたよね」


「だが、まだ魔王の居場所がはっきりしていないから探そうという話だったはずだったが、思ったよりも早く判明した……そうだなエル爺」


「ふむ……その通りだ。わしの切り札(カード)で魔族に吐かせたのだから間違いはないだろう」


「まだ時間がかかるだろうなということを見越して僕は寝ようとしていたんだけどさぁ……展開早くないかなぁ?」


 魔王領近くの森にて賢者が再集合をしていた。

 全員戦闘態勢が整っており、いつでも魔王軍へ攻め込むことが出来る状態。ただ一人、ケルドに関しては眠そうに目をこすっていた。

 流石に眠気防止薬の効果も切れてきたようで、長期間遺跡を探索していたという反動が来ているらしい。


 だが、誰もそんな状態のケルドを気遣うということはない。なぜならこの状態がデフォルトでいつも通りだからだ。

 そんな状態でまともに賢者が務まるのかという言葉が聞こえてきそうなのだが、今も尚賢者の名前にケルドの名が入っているということはそういうことだ。


「その魔族の話によるとこの森の奥に魔王領があるそうだ。魔王はそこに居る」


「へぇ……で、勇者ちゃんたちは呼んでないんっすか? 魔王討伐はあの子たちの仕事じゃん?」


「勇者たちはまだ実力が足りない! 居ないほうがマシだ!」


「でも、先日勇者ちゃんたちはAランクに上がったそうですよ? 一人Bランクの人も居るそうですが、それなりに実力付いてきたように思いますよ?」


「ふむ、それはわしも認めよう。彼女らは強くなってきている。恐らくまだ全盛期の力を取り戻せていないであろう今の魔王ならば彼女らだけでも討伐できる可能性は大いにある。問題は魔王軍の幹部らだ。彼らは確実にSランク以上の力を持っているはずだ。今の彼女らにはまだ荷が重い」


「だからって僕らだけでやるって? 僕がサボること出来ないじゃーん」


「まずサボるんじゃないっ!」


 未だに魔王軍の幹部と戦ったという情報は人類には入ってきていない。そのため、賢者であろうとも魔王軍幹部の実力に関しては測りかねているのだ。

 だが、それでも賢者が四人集まっているのだ。本来は賢者一人でも魔人と渡り合えるほどとされているのだが、それが四人集まっているため、そうそう負けるということはないだろう。


「ケルド、お主確か罠探知や結界探知なんかも出来たじゃろう? やってみてくれんか? もし結界があったらその中に魔王城がある可能性が高い」


「おーけぇ。魔族と戦うのと比べたら楽な仕事だよ」


「いや、お前も戦えよ」


 あいも変わらずケルドのふわふわした言動に苛立たせているサックド。

 こんな調子で魔王軍と戦えるのかとツッコミが入りそうだが、そもそも普段は賢者というのはソロで戦っている人物たちの集まりだ。

 圧倒的個人技を持っている人たちの集まりなのだ。つまり、協力なんて無くてもいい。


 確かにここに集まった賢者たちは協力して魔王を封印する事を目的としているが、誰一人として共闘することなんて考えていない。

 連携の『れ』の字も誰の頭にも浮かんでいない。

 だからパーティーではなくただの賢者の集まりという感じだ。


「さぁて……行くよ。切り札(カード)『惰性庵奔探(だせいあんぽんたん)』」


 ケルドが手を伸ばすと、その手の中にキラリと光るカードが出現。

 そのカードを徐に地面へと押し付けた。ぐりぐりと地面へとねじ込むように手を動かし、そして魔力を込める。

 カードを押し付ける手が淡く光り始めた。それと同時に真紅のケルドの瞳が紺碧へと変化し、黒い紙が静電気で浮き上がったかのように逆立って淡く黄土色の光を放ち始める。


 ケルドの切り札(カード)は『惰性庵奔探』。その本質は彼の惰性から生まれたもので、基本的にだらけきっており、ダンジョン探索などをするのが面倒だと豪語する彼にさらにだらけさせる口実を与えるきっかけとなってしまった力。

 効果は使用すると一定範囲内に探し物があった場合、見つけ出すことが出来るというもの。迷宮の様なダンジョンでも出口や階段を探すために『惰性庵奔探』を使用すれば一発で場所と順路を当てることが出来るという探索において最強の能力だ。


 さらには手に触れたモノの本質も調べることが出来る。故に『封魔石』がアーティファクトであるということを知ることが出来たのだ。


「…………見つけた」


 静かにそう呟いたケルドは立ち上がって手についた土を軽く払うととある方角を指さす。


「あっちに結界を発見したっすよ。つまり、あの場所に魔王ちゃんは居るんじゃないっすか?」


「ふむ、助かったケルド。わしらの目的地は決まったようだな」


「んじゃ、僕はこれで寝てもいいよねぇ」


「寝るなバカ者! いい加減お前も賢者であるという自覚を持ったらどうなんだ!」


「だってぇ、眠いし、それに君たち三人も居れば充分じゃない? 僕要らなくない?」


「念には念をという言葉があります。戦力が足りないよりも過剰な方が良いじゃないですか」


「そういうことだ。ほら、さっさと行くぞ。普段、俺たちの招集をすっ飛ばしてんだから、こういう時くらい働け」


「ちょ、引っ張らないで、引っ張らなくてもあるけるからぁ〜〜〜っ!!」


 魔王の居場所を特定した賢者たち。

 ついに魔王城へと攻め込んでいく。人類最高戦力が攻め込んできた魔王たちの運命や如何に!?

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