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5-2『勇者パーティー集結』

「おーい、王都が見えてきたぞ」

「ほんとぉ? ついに帰ってきたのね……」


 王都の輪郭が見えてきたため、俺は客車で眠りこけているルリハへと声をかけた。

 なんだかまだ眠たそうなフニャフニャした声を出しながらゴソゴソと物音を立てて起き上がるルリハ。

 その手にはしっかりと大事そうに新品の杖が握られていた。


 馬車に揺られること数時間、ようやく長きにわたるオルターンでの療養生活から王都へ戻ってきた。

 一応、オルターンにいる間、ユイたちとは手紙でやり取りをしていたため、ユイとメルバードが元気だということは知っていたが、勝手に滞在日数を増やしたため、怒っていないかが心配だ。


 手紙によると、二人は俺たちが帰ってくる数日前に退院をし、俺たちの帰りを待っているのだという。その間、二人は冒険に出ることはせずに、律儀に俺とルリハを待ってくれているのだとか。

 別に俺とルリハは二人だけで冒険に出かけたとしてもなんとも思わないんだけどな。


 空は快晴、雲一つ無く、俺たち勇者パーティーの再出発を応援してくれているような気さえしてくる。


「にしても、魔人が来てよかったのか悪かったのか……帰り道には魔物が全然居なくなってて、帰ってきやすかったな……」


「あの森は魔物が多いはずなんだけどね……多分魔人のせいで隠れちゃったんでしょ。楽だったから良いけど」


 ただ、魔物が居ないということは冒険者の仕事も無くなってしまうということだ。一ヶ月ほど経過してもこの状態なんだから、魔物が再び姿を見せるまで暫くかかりそうだな。


 そうして馬車を走らせ、ついに門にまでたどり着いた。

 そこに見えるのは最早懐かしいとすら感じてしまう顔ぶれ、ユイ・フィートベルとメルバード・ユーシェンの二人の姿が見えた。

 二人はこっちに向かって手を振ってきている。


「あの二人の姿を見ると帰ってきたっていう実感が湧くわね……本当はこんなに離れるつもりではなかったんだけど」


「俺も軽い気持ちでルリハの杖購入に付き合っただけだったしな」


 当初の目的はオルターンに行ってルリハの杖を買うだけという話だった。そのため、馬車を運転できる俺に白羽の矢が立ったわけだが、魔人襲来により、当初の目的が何だったか忘れそうになってしまう程のインパクトのある旅となってしまった。

 三体もの魔人が襲来したというのに、よくこの程度の被害で済んだものだ。


 ユイたちの近くにまでやってくると俺は一旦馬車を止める。


「ハルト君、ルリハちゃん、おかえりなさい」


「ハルト、ボクに会えなくて寂しかったんじゃないですか〜〜?」


 ペコリとお辞儀をするユイと煽り文句を言ってくるメルバード。

 メルバードは通常運転だな。なんだか、安心するまである言葉だ……。


「別に、逆にお前が居なくて清々したな」


「な、なにをぉぉぉっ!? 強がりを言っている暇があったらボクに寂しかったの一言でも言ったらどうなんですか!」


「いや、別に寂しくなかったし」


「じゃあ、ボクだって寂しくありませんでしたからね! 揶揄う相手が居なくてつまらなかったとか、そんな事は微塵もありませんでしたから!」


「強がり言うなって」


「強がりじゃありません!」


 わかりやすいやつだな。

 メルバードは意外と俺に懐いてくれている。


 何をしたとか、そういうのは特に無いのだが、パーティーの創始者であり、勇者という凄い立場のユイやその親友であるルリハよりも同じ立場で後から加入した身としては俺との方が絡みやすいのかもしれない。

 じゃないと、いくらメルバードと言えども揶揄ったりすることはない……はずだ。


 ――多分。


 ユイとルリハには揶揄っているところを見たことがない。特に、ルリハに対しては時々怯えているような様子すら見せるほどだ。

 ま、信頼出来る人の位置に俺を置いてくれているのなら嬉しい限りだ。


「そんじゃ、ルリハはここで降りてくれ。俺はこの馬車を返しに行ってくる」


「分かったわ。気をつけてちょうだいね」


「大丈夫だ」


 ルリハを下ろし、ユイたちと合流させた後、俺は一人貸し馬車屋へと向かった。

 一応、この馬車は俺の所有物ではなく、借り物だ。だが、こんな長期間狩りてしまうことになったため、ちょっと延滞金が怖い。

 金の余裕はあるから大丈夫だと思うが、すこしビクビクと怯えながら貸し馬車屋へ一人向かった。


☆☆☆☆☆


 貸し馬車屋からの帰り、突如手紙が届いた。差出人はユイたち。

 用事が済んだらギルドへ来いとの知らせだった。


「そういや、みんな揃ったらランクアップをするっていう話だったか」


 前回の王都での魔人事件、あれの解決報酬としてユイ、ルリハ、メルバードの三人はAランクに、俺はBランクに昇格してくれると言う話があったが、色々あったせいで先延ばしになっていた。

 俺とルリハはオルターンでも魔人討伐に貢献したし、正直ルリハはS、俺はAに上げてもらってもいいくらいだと思うが、オルターンでの功績は公表されないことになっているし、仕方がないだろう。


 三体もの魔人が同時に攻めてきたなんて世界が混乱どころの騒ぎじゃないからな。


 ただ、まぁ。とりあえず、これで俺はBランクとなり、低ランクだからといって虐げられるという面倒なイベントに巻き込まれずに済むようになるわけだ。

 ユイたちとパーティーを組む中で、俺一人だけ圧倒的にランクが低いから浮いていたと言う問題も解消される。


「ユイたちには恥をかかせられないからな」


 俺一人が恥をかくのなら別にいい。気にしていない。

 だけど、周りの人が俺のせいで恥をかくというのは我慢ならない。

 高ランクになると指名依頼とかが来て面倒だからそこまで上げる気はないが、せめて恥ずかしくないくらいにはランクを上げておきたい。


「さて、勇者パーティーの初仕事はランクアップだな」

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