第4話「暗闇の世界で君と僕と」
まきたんを助けなくちゃ
豚崎は、必死に漆原のいる司令室へ走る。
日頃の運動不足のせいでスピードはないが、それでも距離は近づく。
観客席の奥の扉を開け、左てにある階段を急いで登り司令室のドアを開ける。
「お、お前ぇ!ど、どくのだ!」
豚崎は、コミュ障ながらも漆原にそう言って漆原の持っている檻のリモコンを奪おうとするが、すぐ避けられ、漆原が豚崎の顔面に正拳突きをかます。
豚崎は歯を食いしばり、ポケットに入れ直していた小さなナイフで正拳突きを出した右手にナイフを刺し怯ませリモコンを奪おうとするが、漆原は左手から右手へ、右手から左手へを繰り返すので、豚崎は漆原を獲らへ、漆原の首元にナイフを突きつけ
「檻を落とせ…は、早くしろ……っ!!」
早くしなければ、まきたんが…殺される。
焦る。 焦る。
早く助けなくちゃ、早く助けなくちゃと焦り、苛立ちを隠せなくなる。
「知らねーよ、助けたきゃ勝手にやってろ」
こんな不利な状況なのに漆原は笑顔で言い
「お前みたいな家畜が、助けられるわけないだろ?(笑)」
「そ、そんなのどうでもいい…ん、だよ…ぼ、僕が、…助……けたいから…っ!!」
「ハッ!コミュ障の癖にここまで来ることが出来たのは、褒めて上げる。凄いね!」
「…は、初めて喋った女の子で、…多分、僕の人生で女の子と喋るのもこれで最後だろうから、僕は、彼女を助けるんだ!そうすれば、卒業まで、僕の最初で最後の女の子の友達と同士たちといられる。」
豚崎は、漆原を鋭い眼光で訴え、さらにナイフを突きつけ首元のギリギリでやり、ちょこっと刺さった瞬間「わ、わかった、押すよ!押すから…ころさないで!」
漆原は突然怖じ気づいたのか、豚崎にビビり始め檻のスイッチを押した。
すると、勢いよく中心に集まっていたオークたちの頭上に檻は落下した。
だが、それを今まで手を組んでなかったオークが、一斉に落下してくる檻を抑えた。
そのお陰でオークの動きを止めることが出来た。
だが、真姫はその下にいる。
(あれ?まきたん、なんで逃げないんだ?)
オークに囲まれている真姫をみて、真姫の身体が理由は分からないが動けないのが分かり急いで真姫の元へ行くため、漆原を離し部屋を後にしようとした。
「逃がす理由ねぇーだろ」
言ってから漆原は棚に入っていた注射器を取り出し、瞬時に豚崎の間合いを詰め首元に注射器を刺した。
「…くそ、や、やめろ!」
「やめねぇーよ、バァカ」
刺し終わると、豚崎は1度気を失った。
(……くそ、まきたんが危ないのに…)
「下心丸出しだね、本当に君は見た目通りの奴だよ。気持ち悪い。」
耳元から聞こえるその声は、聞き覚えのない声だった。
「誰だ、お前…?」
「誰だっていいだろ、それとも…」
「まきの方が良かった?」
「…っ!?まき、たん?」
いやいやいや、これは、漫画とかである偽物の奴だ。騙されるな。何年オタクやってんだ。
何作アニメ見てると思ってんだ。
「豚崎さん、なんで、まきのこと睨むの?ひどいよ、…悲しい、嫌だ。そんな目で見ないで…」
真姫の声はだんだん立体的になり、やがて豚崎の目の前に現れた。
「やめろ…幻覚の癖にまきたんに化けるな、…ってか正体はさっきのショタっぽい声の奴なんだろ?」
「違うけど?」
豚崎の隣にスッと現れたさっきの声の主の少年が現れた。
「えっ?嘘、じゃあもう一人いるのか、」と言うかここは夢…だよな、多分、ってことは目覚めればいいんだよな……って、夢から目覚める方法知らないんだけど…
そりゃそうだ。夢の中じゃググれないし叫んでも起きれないだろう、時間の問題ではあるだろう。
けど、だとしてもこんな所で寝ているわけには行かない。
「ねぇ、豚崎さんって、いつも大人しいしあんま喋んないけど、まきのことずっと観ててくれるよね?まき、それが嬉しくてちゃんと観ててくれて心配もしてくれる。他の豚さんたちも心配してくれてるけど、豚崎さんみたいに細かい所までは見てくれてないから…だからそんな豚崎さんがまき凄くね。豚崎さんのことが…」真姫はつづけて
「凄く気持ち悪い」
「………………あっ、…あぁ」
あまりに衝撃的でたとえ夢でも耐えられなかった。
だって、それは真姫が、豚崎らをそういう風に見てると豚崎は心の奥底で思っていた。が、それは普段は無かったことにして逃避していたことを真姫にその豚崎のイメージしていたようなセリフを本人に言われ豚崎は発狂した。
夢の中の暗闇の世界が割れ始め、少年は消え豚崎は無意識に真姫の首を絞めていた。
「く、苦しいです…よ豚崎…さん、まきのこと好きだったんでしょ?……だから離して、離してくれたらヤラセてあげるよ?…ずっと…まき…おかずに…してたんでしょ…?…だから…して…あげる……よ………………」バタ…
真姫は動かなくなった。
豚崎が正気に戻った頃にはもう真姫は動かなかった。
闘技場のど真ん中オークたちは、一人のオークを通していた。
そして、そのオークは真姫の首を絞めていた。
そう、豚崎は夢の中の真姫を絞めていたつもりだったが、実際は現実の動けなくなって苦しんでいる真姫の首を絞めていた。
豚崎は、真姫を殺した。




