第3話「オーク」
オークの入った檻のドアが開き、のしのし、と檻からでて来た。
それと同時に檻は天井に戻り漆原はカブトムシを戦わせようとする子供のようなワクワクした表情で、「さぁ、始めようか!」
その合図とともに、オークに付いていた首輪が赤く光った。
「グォォオオオオ!!!」
3体同時に真姫と豚崎に襲いかかる。
1体が、まきに殴りかかる…が、それから守るように豚崎がまきを庇い観客席まで吹き飛ばされた。
かなりの衝撃だったため豚崎は気を失った。
(豚崎さん…そんな…)
真姫は必死に走りオーク達の攻撃を避けスタンガンをバッグから取り出した。
すると、オークが飛びかかってきた。
それをギリギリで避けてオークの足にスタンガンを当てたが、全く効かなかった。
(…やっぱり効かないよね…じゃあ、やっぱり、)
それでも、一応と奇跡を信じ魔法のステッキを取り出し振り回した。
何も起きない。ステッキをかざし
「変身!」叫んでみても光もしない。
…やっぱり、違うのかな…
すると横からオークの大振り、咄嗟にステッキで顔を守り吹き飛ばされた。
壁に打ちつけられたもののなんとか気を失わずに済んだ。
顔に傷がつくのもそうだが、脳をやられたらまずいとなんとなく思ったのが、功を奏した。
が、だからと言って、この現状は変わらない。
「…うう…」
豚崎が、目を覚ました。
すると、即座に真姫の安否を確認し天井に吊るされた檻をみた。
(…無理…かな?)いや、そうは言ってられない。
豚崎は、靴に常時入れている薄いナイフを取り出して、漆原のいるガラス越しの部屋、操作室へ向かう、ドアを見つめた。
一方、真姫はなす術なく逃げ惑っていたが、もともと体力が無いため息が切れはじめていた。
「…はぁ、…はぁ、もう、無理…」
けど、止まったら死ぬ、そう思うと生存本能からか、走れた。
だけど、それはアドレナリンによるもの。
切れた瞬間に一気に疲れは来るもの、つまり、時間の問題。
アドレナリンが切れる前に作を考えなくてはならない。
少女VSオーク3体。
この、ただでさえ一体でもヤバイ、オークを3体相手に生き残ろうとしている。
死ぬ訳には行かない。
まだやり残していることだらけだ。
もっとコスプレしたいし、グッズも欲しい、今季のアニメは豊作なんだ、それに、豚さんたちともっと話したい。
外で遊べてないんだ。
みんなで秋葉原へ行ってメイド喫茶にいったりアニメイトへ行きたい。
あっ、そうだ帰ったら皆でそれ全部やりに行こう。1日じゃ無理かもだけど1週間、いやもっと、だ。
それだけじゃ足りない。
絶対そうしよう。
覚悟を決め走る。
すると、さらに体は動くようになりいつもならできない動きをし始めた。
オークが2体飛びかかってきたが、足をスライディングでくぐり抜け、前にいたオークにバッグを投げつけ、振り返り2体の1体が両手で潰そうとしてきたのでそれを避けジャンプでオークの手に飛び乗りオークの眼球目掛けて飛んで右手に持ったスタンガンを思いっきりオークの左目に当てた。
ビリリッ!!
「グルゥオオオ!!」
オークは左目を右手で押さえ暴れ回った。
それが、たまたま、隣にいたオークにぶつかりそのオークはそのまま後ろへ尻餅をついた。
が、真姫は落下の衝撃で動けなくなり、アドレナリンの効果も切れ倒れ込む。
…終わった。
そうだよね、こんなのまきには無理だったんだ。さっきのは、死亡フラグで、今回収されたって感じかな…
そんな真姫を他所に激情したオーク達が真姫に迫る。
ちょうど真姫を囲み全員一斉に片足をあげ真姫に踏みかかる。
「…………」
まきは、決心した。もう、これで終わりなんだ、と本当は諦めたくないし逃げられるならそうしたい。
けど、さっきのツケで全く体が動かない。
諦めるしかないじゃんか…
ドンッ!!!!!
あっ、死んだんだ…
でも、痛みがない。
あるのは、暗闇だけ。
違った。
頭上を見ると檻が落ちてきていて、それをオークが3体で押さえていた。
「くそっ、これでも死なないのか…」
声のするほうを見ると、豚崎さんが、漆原のいる場所にいた。
漆原は、豚崎に押さえつけられナイフを向けられていた。
「豚崎さん…」
本当に何とかなるもんだ。
けど、まきは助かったけど、ここからどうする?
出口は閉まってる。
観客席に逃げようとも階段はない。さっきのは吹っ飛ばされたからだ。
となると、豚崎さん頼みになるのかな…
でも、まきも何かしたい…




