第31話「つまりは最強」
魔力の弾丸は、黒狐に当たるもステッキの水晶にヒビが入っていたせいなのか魔力は通常の三分の一となり火傷程度の攻撃力しか持っておらず黒狐はほぼ無傷、だが真姫は無我夢中で撃ち続ける。
「真姫ちゃん!やめて!あなたは休んでて、そんな体で無理したらあなたは…っ!」
江崎の言葉に聞く耳を持たない。
今の真姫の頭の中は漆原を助けたいという感情もあるがなによりも漆原と共にいるであろう豚崎達のことで頭がいっぱいになっていた。
助けなくちゃ、助けなくちゃ…
(助けないと、皆が………っ!!)
必死に撃ち続ける。
無闇矢鱈に放たれる魔力の弾丸、黒狐はものともせず真姫の元に余裕の表情に笑みを零しながら向かってくる。
それを阻止すべく江崎はパンドラの箱で四方八方から応戦する。
黒狐はそれをスパイ映画のセキュリティレーザーを避けるがごとく悠々とそれを避ける。だが、セキュリティレーザーとは違いこちらは人間が直接支持をして攻撃をしている。つまり、隙をつき攻撃が出来るというわけだ。
そして、黒狐が上からの攻撃を右によけ、右横腹への攻撃を避け、足への薙ぐようなレーザーを縄跳びのように飛んだその瞬間に江崎は腰にマウントしていた投げナイフを黒狐の脇腹に投げ刺した。
すると黒狐は倒れのたうち回る。
「き、……っ様ぁ!!」
何が起きたか真姫には分からなかった。
ただの投げナイフに見えたそのナイフだが、黒狐の脇腹に刺さり黒狐は血を流す。すると血から何か別の液が流れていた。
「聖水…なぜ……貴様……」
江崎は切羽詰まっていた表情を抑え無理やり笑顔を作りこう言った。
「当たり前でしょ?教会の人間なんだから、聖水ぐらい持ってて当然でしょ?」
その引きつった笑いに安堵は無く、ただ焦っていた。
そう、これは偶然であり苦し紛れの攻撃、ここで逆上して暴れ回られたら勝ち目は本格的にない、魔力を全解放した黒狐相手になにか出来るわけもない。
魔獣の部類では下級の部類ではあるものの黒狐の場合はずる賢く知恵は人異常で、キレると下級のはずがランクをかっ飛ばして超級になると言われており、業界の人間からは近寄りたくない魔獣として有名。
「なんで、そんな奴を霧ヶ峰は手下に出来たのか本当に疑問なんですけど…」
そこでは江崎はこの状況の打開策を考えた。
撤退。
主戦力の真姫は全身崩壊寸前、次なにかしようもんなら恐らく両手は持ってかれる。
そして、江崎自身は魔力は皆無、筋力もない、あるのはパンドラの箱。だが、出来て足止め。
つまり黒狐を足止めしつつ真姫を連れて逃げるが吉。
一方、黒狐は動かない、ピクリともしない。
それを江崎は動揺し見つめる。
真姫は止めの一撃を刺そうとステッキを構える。腰の抜けそのばに内股で座り込み構えていた。
それを江崎はステッキを下げさせ止める。
黒狐はあやつり人形のように立ち上がる。
と言うかぶら下げられるように宙に浮いた。
やったのは霧ヶ峰。
「用済み」
そう言いって霧ヶ峰は黒狐を空中で魔力による圧迫で握り潰した。
その流れる血を飲む。
顔を赤らめ、目はとろけるよう…。
その血を貪る。その後、香織にもそれを飲ませる。
「魔力供給か…まさか、あれで力を補給できるの!?聞いたことない……」
江崎はさらに動揺する。
通常ではありえないことだ。そもそもあれは魔獣や闇の魔術師がやることだ。
私や霧ヶ峰は死んでも聖職者。魔術師ではない。……のはずだ。
「かえ……してよ…っ!」
そんな江崎の動揺をよそに真姫は霧ヶ峰に要求する。
「たお…したでしょ? ……だから……はやく、皆……を…」
さもないと殺す。とでも言わんばかりにステッキを霧ヶ峰に向ける。
それをみて霧ヶ峰は吹き笑う。
「ぷっ…あははは!そんなに好きなの?あのゴミ共、何がいいのかしら?ホントに意味不明…」
その言葉に「ゴミ……なんかじゃない……」
と言いステッキに魔力をこめる。
「じゃあ何かしら?家畜?」と言い霧ヶ峰は真姫を嘲笑う。
ステッキを力強く握りしめ「そんなのじゃない……っ!!!」
強力な一撃が霧ヶ峰目掛け放たれる。
「真姫ちゃん!!!ダメ!!」その言葉はまたも届かなかった。
真姫の腕は魔力砲の衝撃で完全に折れた。
バキバキという音を立てながら魔力を込め放ったと同時に腕の骨は完全に粉砕し折れた。粉砕骨折。
だが、その砲撃は今までで最高のスピードを誇った。
そしてそれは霧ヶ峰に向けて直進する。
花織は霧ヶ峰を守るべく魔力障壁を展開するも呆気なく破壊され花織に直撃しかける。
だが、光の速さで霧ヶ峰が強力な魔力障壁を5重に展開しそれを阻止。
が、簡単にそれを突き抜ける。
花織を魔力砲撃の被害範囲外に投げ霧ヶ峰は舜時に砲撃の対応した。
「燕返…………」
言い切る前に魔力砲撃は霧ヶ峰の目の前。
寸でで避けるも、無傷とは行かなかった。




