第28話「あなたは無力でただの釣りの餌」
時速100kmでやって来た者は、怪物を暇つぶしに倒しに来たはずの花織だった。
「え?花咲…さん?」
真姫はいきなり現れたのに驚いたのもあるが、同時にいつも隣にいる霧ヶ峰がいないのにも驚いた。
でも、一番驚いたのはその右手に持った魔法のステッキ。それも真姫の持つステッキと似た形をしている。
黒くボロボロの翼が丸い透明な球体に付いていて球体の中には三人仲良く手を繋ぐ家族のオブジェが入っている。その中は雪が降っている。
言うなればスノードームだ。
それはともかく、「魔法少女?」
真姫が言う前にそれを口にしたのは、なんと江崎友美だった。
「え?…え!?なんでそれを…?」なんで魔法少女ってわかるの?まきちゃん
それに関係していないと思っていた人物がそのことに一番最初に察知していた江崎に真姫は困惑した。
だが、そんな真姫をおいて江崎は「なぜ、この地区に他の…真姫ちゃん以外の魔法少女がいるの?」
「違うし、そっちのが後に来たんだよ?丁度いいから対戦相手減らすためにも消してやろうと思ってたんだー」花織は江崎に言った。
江崎は困った顔をした。
「そ、そうなの?でも、彼女には今手を出せないんじゃない?」
「はぁ?何言ってんの?まだそいつの契約者は死んでないはずよ?」
「あれ?あーあなた1回真姫ちゃんに手、出してたんだぁー、だけど真姫ちゃんが逃げたかなんかして逃がしたから一人でノコノコと倒しに来たってわけ?」
目を逸らし眉間にしわを寄せ「そう、そうではないけど邪魔者はさっさと退散してもらわないと困るからね」
江崎は2人の状況をだいたい把握した。
「あーはいはい、たまたまなのねじゃなかったら貴方の契約者があなた1人で行かせるわけないわね」
貧乏ゆすりをしながら「どういう意味よ!」
ふふっと笑い「分からない?あなたが弱いからよ、ひとりじゃ何も出来ないからでしょ?でもなんで一緒にいるか…それは」
江崎は続けた「扱い易い馬鹿なガキだから」
ステッキを強く握りしめ殺気立ってこちらに近づいて来て、ステッキを掲げ「暗翼絶縁」簡略詠唱を唱え、変身を済ましこちらに向けたステッキに怒りを込め細々としたビームを放つ、だがスピードも無い例えるなら帰宅部の中学生がキャッチボールをして投げた球が飛んでくるようなもの。
簡単に避けられる。
「やっぱり、雑魚ねこんなのいつまで経っても当たらない…」
江崎はそれでも撃ち続ける花織の攻撃を少し体を逸らし簡単に避ける。
避けるうちにだんだん呆れて、契約者が何故こんなのと契約者したのか疑問に思えた。
魔法少女との契約は契約者1人につき1人までだ。例外はない。
それなのに生意気でしかも魔力がほぼ無い雑魚を魔法少女として契約する。こんなの自殺行為としか言いようがない、教会の人間にも何がしたいんだと馬鹿にされる。
「怪物がいる場所がここだって言うから来たのに…なに、これ」
馬鹿にされてしかも自分の無力差に気付き落ち込んだのかそんなことを花織は呟いた。
「あなたの契約者は怪物を探す時、十字架のネックレスを使っていた?」
すると、花織はピクッとして頷く。
「それ、別の契約者、教会の者しか探知出来ないのよ?」
「え? なに、それ…聞いてない!」
「教会?」私も聞いてない…。
何が何だかわからない。
「あなたは釣りの道具にされたの、可愛い小さな魔法少女ちゃん」
花織はもう一発攻撃をする。今度のは1回り大きなサイズで少し早い速度のビームが江崎目掛けて飛んでくる。
だが江崎は避けれずにビームは江崎の肩をかする。
「同情かよ…くそ」
わざと避けなかった江崎に舌打ちをし、花織は霧ヶ峰の策略に乗り江崎と真姫を霧ヶ峰の待つ廃ビルへ向かう。
「意外、あなたみたいなタイプは反抗して絶対連れてかないと思ったのに…」
花織は江崎の言葉を無視し廃ビルへ向かう。
だが、そんな2人よりも疑問に思うのは教会という存在。これは恐らく世にいう教会、ではないだろう…
真姫は、江崎に「教会、ってなに?」
そう言うと、当たり前のように「教会は教会だよ?お祈りをしたり、ミサを行ったりするところだよ?宗教によって色々違うからこれとは言えないけどね」
それは知ってる、けど、そうじゃなくて…とそれとなく聞いても答えは同じだった。
だったら、私の契約者、漆原君に聞こう。
そう思い、スマホを取り出し漆原に連絡を試みるも圏外。
何度も掛けても繋がらない。
「どうしたんだろう…」
真姫は不穏な感覚に苛まれた。




