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ケツァルコアトル〜太陽になる男〜  作者: AU


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第十一話 初陣

 



「む、なんか出てきたなぁ。ひーふー…て二人?しかも若い男女だぜ?」




「舐められてんのか、それともなんか策があんのか。いや、どっちでもいい。俺たちは命令通り帝国の兵士を見つけたら殺すだけだ」




「待てお前ら、車の中にも匂いがあるぞ。車内に隠れた御者じゃ無い、別の男の匂いだ。そっちが何かしてくるかもしれねぇから警戒しとけっ」




 人狼の屍人は口々に考えを述べる。



 今し方、人狼達は帝国の軍用車を砲撃で撃ち抜き、やや外れたものの車輪部分が大破したことで車としての機能を失わせることには成功した。その上そこから出てきた二つの人影は若い男女。余裕綽々である。



 が、小馬鹿にした若い男女はどちらも神格者。ポチよりも少し前に出たハルトは周囲の状況を改めて確認し、今一度気合を入れ直す。




(周囲は両側を崖に挟まれた峡道。崖の上から二十三人の屍人が一斉にこっちを狙ってるな。狼の機動力があれば崖の高さも気にならないし、高さの分あっちにアドバンテージがある。それと注意すべきは砲撃手か。砲撃をまた撃たれる前にまず真っ先にアイツを倒さなきゃ)




「ポチ。まず砲撃手をやりたい。俺が引き寄せるから、その間にポチはそっち頼めるか?」




「ふふん。もちろんです。合図をくださいね」




 砲撃手以外をハルトが囮となって引き寄せ、その間にポチが崖を駆け上がり砲撃手を狩ると言う作戦をハルトは提案する。



 一見するとどうやって意思疎通を取ったのかわからないが、ポチは二つ返事でそれを了承しグッと膝を屈め、



 ーーー同時に両目を閉じた。




「何だ?何かやる気だぞアイツら」




「先手取られるわけにはいかねぇ!行くぞ!」




「まて、罠かもしれん!砲弾で弾幕張って、その間に攻めるぞ!」




 臨戦体制に入るハルトとポチを見て、鼻を鳴らしながら警戒を高める人狼の群れ。



 しかしながらこの群れは長を持たない先遣隊の群れ。言わば敵が領内に入ったことを街にいる長が知るための実質的な捨て駒だ。統率が不十分なため、高さの利がある分全方位から一斉に攻め立てるか、それとも砲撃で一旦威嚇しつつ様子を見るかで意見が割れていた。



 そんな具合で、膠着状態とも言える数秒が経つ。が、次の瞬間。逡巡していた人狼の群れは、一つの結論に行き着くのだった。




「ーーーそうだよな。お前ら狼で、しかも人を喰うと来た。だったら当然、鼻は効くよなぁ」




 膠着状態を崩したのはハルトだ。



 ハルトは懐から取り出した剃刀サイズの短刀を使い、自分の左掌に横一文字の傷をつける。そして敢えて治癒に力を回さずにポタポタと流れ出る血をそのままに見せつけた。



 人狼は一瞬その行動を見て目を丸くする。何をしているのか、何を狙っているのかがわからない。中には、白髪の青年は俺たちを誘き寄せようとしているな、と的確な考えを持つ者もいた。




 だが、所詮は獣。理性には抗えない。




 刹那、人狼の群れは砲撃手ともう数人を除き、一斉に崖から駆け降り猛スピードでハルトの元へと向かっていく。




「肉だ!!しかもっ!上質な血の匂いがする!!今まで喰ったことのない最高の肉の匂い!こんなの!こんなのもう止まらねぇよぉっっ!!!!!」




「俺がっ!俺が先に喰う!!一番美味い頭は俺が頂くぞ!!」




「おっ、おぉ…マジか。ここまでとは思わなかったぜ。だが上手くいったな!ポチ、やるぜ!!」




「はいっ!」




 弾丸の如き速度で風を裂いて距離を詰める人狼の群れ。二十を越えるその影は今にもハルトに噛みつこうとしていた。



 頭部を、胸部を、腕を、脚を、内臓を。美味いと言われる部位を我先にと狙い人狼は空を駆ける。



 しかし、その目論見は当然達せられない。この動きはハルトの予測通りの動きなのだから。



 四方八方から襲いかかる人狼たちがハルトの目前まで迫った時、ハルトの全身から突如として眩い光が放出されたのだ。



 光の力はシンプルに体内エネルギーを光に変換する能力で、変換された光は主に身体から放出することで攻撃に転用できる。

 また今回のように光を微弱な粒子状にして広範囲に放出すれば煙幕の如く目眩しをすることも可能だ。



 要するに使用者の発想力次第で様々な使い方が出来る極めて汎用性の高い能力であると言えよう。



 それを実践で使えるレベルまで一月で持っていったハルトはかなりのセンスの持ち主であったと評価しても過言では無い。

 現に人狼の死人たちは突如としてホワイトアウトした視界に全く対応出来ていなかった。



 ポチとの修行で基礎的な技術を身につけ、ジャックなど先代の光の神子をよく知る者から戦法を教わり、それぞれを自分のものにするために寝食を削ってでも修行を続けた成果だ。



 元来持つ“血統”による闘争本能やセンスによるものだろうか。或いは覚悟の産物だろうか。

 何にせよ喧嘩すらしたことの無かったハルトは今や前線で問題なく戦えるだけの力を持っている。




(可変的な対応力と戦術の組み立て。光の力の応用。そして何よりもこの落ち着き。とても初陣とは思えません。流石の血統と言うべきでしょうか。いや、それ以上にハルトの努力による部分も大きいですね。私も負けていられません!)




 初陣にてまるで動じず泰然と戦闘を繰り広げるハルトを見て、ポチは目を見張る。



 この一ヶ月、常に真近でハルトの成長を見ていたからこそわかるその成長速度。自分よりも圧倒的に戦闘経験及び実践経験に欠ける人物がここまでやれるとは、ハルトに甘いポチですら思ってもいなかった展開だ。



 良い意味で想定を遥かに上回る戦闘技術の向上は、ポチだけで無くアンデルセンにとっても嬉しい誤算であった。




「お、いいなぁハルト。予想よりもずっとやるじゃねぇか!」




 崩れかけた軍用車の上、刃幅の広い刀をクルクル回しながらアンデルセンは呟く。



 いつでも援護に行けるような体制はとりつつもその必要が無さそうなことを安堵していた。




「…まぁだが、あれだ。調子に乗っちゃいけねぇってやつよ。なんてったって狼は夜行性の獣だぜ?目眩しなんかは慣れてる。鼻と目が抜群に良い生き物なんだからなぁ」




 アンデルセンの期待通り次々に屍人を狩り続けるハルト。しかし十数人を撃滅した頃、自身の右脚のあたりに鋭い痛みを覚える。




「痛っ!爪が掠ったか!もう目が慣れてきやがったってことね!ちょっと早すぎる気がするけど、…っ!」




 見るとふくらはぎのあたりに横一線の裂傷ができている。



 人狼の爪による傷はそこまで深くなく、数十秒もすれば血は止まるだろう。動くのには問題が無い。

 が、その傷の発生によって、敵が既に光の煙幕から抜け出したのだとハルトは理解した。



 まだ敵は九人いる。機動力に優れる人狼に囲まれているこの状況はややまずいと言えるだろうか。




「ようやく目が慣れてきたぜ!コイツ奇怪な術を使いやがって!」




「俺たちの同胞を良くもバサバサと殺してくれたな!タダじゃあおかねぇぞ!!」




「クソっ、流石に勢いが増してきやがったな…だけど…」




(砲弾がこねぇってことは、ポチがうまくやってくれたってことだ。情けねぇがポチが戻ってきてくれんのを待てば勝ち!それまで凌げば良いってことよ!)




 九人の人狼が一斉にハルトに飛び掛かる。一人一人であれば難なくいなせる程度の敵だが、流石に多勢に無勢。攻撃を避けつつカウンターを狙うも、次の攻撃が間伐入れずにハルトへと襲いかかるためいまいち有効打は当てられない。



 しかもハルトは先ほどの光の目眩しとホワイトアウト下での戦闘で光の力をかなり消費してしまっている。光の力は体内エネルギーを光に変換する力。それは当然無尽蔵では無く、使用した技や、その日の体調によっても戦闘での有用性は上下するだろう。



 それで言うとハルトはまだまだ経験不足。もう一度光の目眩しをすることが可能なほどの体力は回復していない。全方向広範囲に光の粒子を放出するあの技はやや効率が悪いのである。



 頬スレスレを掠る強靭な爪の刃。肉体を抉り喰らおうとするトラバサミのような口。それぞれが下手をすれば致命傷になるレベルの危険性を孕んでいる。

 ハルトは基礎治癒能力が高いため多少であれば肉を抉られても命に別条無いが、当然継戦能力は落ちるだろう。



 つまり、無闇に危険は犯さずポチが加勢に戻るまで敵をいなせば良いだけ。

 避け続けていれば数秒後にはポチが戻ってくる。そうすればこの程度の敵はまるで問題無い。



 いなせばいい。いなせば、いい。

 ハルトは必死に攻撃を避けながら呪文のようにそればかりを心中で反芻していた。




(そうさ…いなし切れば俺たちの勝ちだ…。…勝ちなんだ……けど!そんなんじゃダメだろ!?


 痛いのはこぇーけど、腹括れ!平穏に生きるために戦うって決めただろ!もう楽な選択肢を選ばないって!そうさ、何かあった時に後悔しない生き方をするって決めたじゃあねぇか!だったら…っ!)




「おぉぉぉ、らッッ!!!!」




「ガッ!、バぁーーー」




 決意新たに力強く握られたハルトの拳が人狼一人の顔面を打ち砕く。



 光の力は屍人に対して最大の特攻材料だ。光の力に触れられた屍人の頭部はジリジリと焦げたような音を立てながら無数の塵になって宙を舞った。



 その後背後を狙っていた人狼の攻撃を身を低くして避けつつ左拳で腹部を貫く。即座に脚を払って周囲二人の屍人を押し倒し、その内片方の狼の腕を掴んだと同時に万力で振り回しながら光の力を込めて投げ飛ばした。

 投げ飛ばされなかった狼が目を丸くするがその隙も見逃さず再びその頭部を左ストレートが穿つ。



 たったの一瞬の内に起きた攻防戦。人の行動のほとんどは気の持ちようによって良くも悪くも変化すると言うが、それを体現したかのような一方的な鏖殺。

 それは残る五人の屍人に恐怖を植え付けるに足る行動であった。



 一気に四人の人狼屍人を破壊したハルトが攻撃の手を緩めず残る五人の人狼へと向かっていくと、狼たちは戦うことを放棄し攻撃の手を止めた。




「こ、コイツ…何だくそっ!急にやる気になりやがって!!」




「おい!しかもよく考えたらまずいぞ、何で屍人の俺らを殺せるんだよ!まさか…コイツ!」




「お前ら!一旦ここは退くぞ!」




 敵の急な攻勢に臆し、人狼は撤退と言う選択肢を取る。



 しかしながらやはり群れは群れ。五人が散り散りに逃げれば良いものを、全員揃って同じ方向へと、ハルトとは逆の方向へと駆けようとした。




 そしてその行動を、ハルトは既に読んでいる。




「まとめて逃げてくれるんだよな。そうすると思ったぜ。そんでそっちの方がありがてぇ。何たっていっぺんに吹き飛ばせるからな!」




 ハルトの掌に光が収束する。ジワジワと規模を増し、音を立て、そして拡散の時を今か今かと待ち侘びる光の渦。



 収束、そして放出。光の力の極意をハルトが今見せる。




「ーーー大神の槍(グングニル)!!!」




 ハルトの拳を打ち出す動作に伴って()()出された太い光線は、瞬時に前方にて逃走する人狼五人の背中を捉えその中央を正確に貫いた。



 頭部を貫かれた二人の人狼は声を上げる間も無く塵に変わり、残る三人は腹や腕を穿たれたことで生きながらえたがそれも一時的。ジワジワと蝕むように光は屍人の身体を登り、光の特効作用によって消えゆく自身の身体を彼らは認知しながら苦しみに悶えて消滅した。



 この光線は敵を穿ち、削り、消滅させる、正しく祓魔の槍。

 無造作に拡散しがちな光を一点に収束させ、それをそのまま光線の如く自身の拳と共に前へと打ち出す攻撃だ。



 今はまだハルトの力量不足でホグスヘッド樽程度の太さの光線だが、理論上は体内エネルギー量と溜め次第でどこまでも規模を増すことの出来る大業。



 ジャックから「ライトニングさんは殴る動作で光線を撃ってた」と教えられ、ハルトなりの解釈で編み出した継承技とも言える。




「名前も…何だかしっくり来るな。アンデルセン命名ってのはちょっと癪だけどっ」




 人狼の消滅を確認し、勝利に口元を緩めるハルト。



「必殺技ならカッケー名前が欲しいだろ!」とアンデルセンに言われされるがままに彼の故郷の神の名前を付けられてしまったが、その技で勝利できたハルトの気分は悪く無かった。




「流石ですハルト。私が出る幕はありませんでしたね」




「お、戻ってたのかポチ。でもポチのお陰もあっての勝利だと思うぜ、俺は。ポチが真っ先に狙撃手を狩ってくれたから俺は安心して戦えたんだ。さんきゅーな」




「ッ、キュンっ。そんなこと…ん、嬉しいです」




「そうだぞ二人とも!これはあれだ!二人で勝ち取った勝利ってやつだな!しかし見事だったなハルト!グングニルで締めってのも気持ちがいいぜ!」




 勝利を賞賛し頬を赤らめるポチと相変わらず快活なアンデルセン。

 そのいつも通りの様子に呆れつつもホッとし、ハルトは初陣の勝利を噛み締めた。



 一月の修行で戦闘経験の無い自分がどこまでやれるようになっていたのか不安だったハルト。故にこの勝利は確かな自信に繋がってその不安を払拭するに相応しかった。



 光の力の操作技術も状況判断能力も、ある程度は実践でも通用したのだ。この一月が無駄では無かったことにハルトは安堵する。



 とは言え、今回の敵は雑兵も雑兵。確かに数はそれなりであったものの、神格者と比べたら力量は天と地程の差がある。



 こんなところで満足していてはいけない、もっと上を目指す必要がある。どうあれ慢心してはいけないと肝に免じると同時に、ハルトの背筋は自然と伸びるのであった。




「?そう言えばだけど、車ぶっ壊れちまったわけじゃん。どうやって第三支部まで行くんだ?夕方なのに屍人が活動できるぐらいには雪がやばいけど」




「ん?そりゃお前、あれだ。とーぜん徒歩だろ。それ以外の選択肢って無いぞ。まぁけど安心しろハルト!言っても多分一時間ちょいだから!だからうん。問題ねぇよ!」




「うぇ…何でそのテンションで言えるんだそのセリフ。このクソ寒い中歩くのかよ。ま、一時間ならいい、のか…?」




 帝国での亜熱帯の暮らしで慣れてしまったハルトは寒さに身を縮ませる。



 何とかポチとアンデルセンに先導されて渋々歩き出したものの、支部までの道程がアンデルセンの予想の倍かかってしまうことをこの時のハルトはまだ知らなかった。




 ============




「一斉に気配が消えたから何が起きたかと思って来てみたら、これはまた随分な状況じゃあないか」




 ハルトたちの初陣から数時間。狼屍人の残骸、主に来ていた衣服のみが残された峡道。



 今そこには再び複数の狼屍人が集っている。その中の一際大きな人影。否、狼の影はハルトたちの第一討伐対象、美食家シュウだ。



 狼の神格者であるシュウは配下にした者に人狼化の力を分け与えることが可能で、肉体の変貌に伴う人間離れした身体能力と並外れた嗅覚を与えることが出来る。

 加えて群れの長であるシュウは配下に対して絶対的な命令権を持ち、どこで何をしているかも漠然とだが読み取ることも出来てしまう。



 それにより、今回シュウは配下二十三人の生命反応が一斉に消えたことを不審に思い、側近を連れて峡道へ赴いたという具合だ。




「帝国の兵士たちは太陽光を溜めて放つ兵器を生み出したらしいね…。確か名前は…」




「以前戦った連中が蓄光照射装置とか言ってました」




「そうそれだ。けれど報告では動きは鈍かったと聞いていてね…。二十三人もの人狼がものの数分で一人も逃さず狩られるなんてやや不自然じゃ無いか?狼の機動力だ。一人ぐらい逃げ帰って来てもいいとは思わないかい?」




「仰る通りです、シュウ様」




「うん。そうだよね?」




 美食家シュウはその体躯からは想像も出来ないほど静かな足音で雪の上を逍遥する。



 身なりもどこかの貴族のような見た目で、ビシッと着こなした真紅のスーツは紳士的な印象を周囲に抱かせるだろう。




「だけど、僕が気になっているのはそこでは無いんだよ。君たちにわかるかね?この魅力的な香り(パルファム)が…」




「香り、ですか」




「まぁわからないのも無理は無い…。たった数滴の血だ。ここらの雪の下にそれがある。けれど、数滴の血でもわかるこの芳醇且つ濃厚な香り…!こんなに食欲をそそられる香りは幾年振りだろう。僕にはわかる!きっとこの血の持ち主は美味いぞ〜!僕はこの血の持ち主が誰だか知りたいなぁ!」




 そこまで言うと貧乏ゆすりを始め、詰めをガリガリと噛み始めるシュウ。




「………堪らない…あぁ辛抱ならない!あぁ……早く、早く喰らいたい!口一杯に頬張りたい!

 そうだとも。出会ったならば、この上なく綺麗に丁寧に捌こう!普段から手を抜くことなどあり得ないが、今回はより一層本気だ!脳髄も、骨も、血も、一片たりとも無駄にはしない!大切に、慎重に、肉を至上の状態に仕上げなければ!!そうでなければ食材に対する冒涜になる。最上級の食材を頂くのに、こちらに不手際があっては、失礼があってはならんだろう!!!そうだろう!?!?なぁ違うかい!?!?!?」




 先程までの紳士的な風貌と立ち振る舞いはどこへやら。口端から涎を垂らし、目に凶光を宿し、呼吸を荒くしながら美食を渇望するシュウ。



 禍々しく光る牙は今にも周りの配下たちに噛み付かんとする不穏さを放っており、配下の人狼はゴクリと喉を鳴らして固唾を飲んだ。




「おっと失礼。つい興奮してしまったよ…。さて、では()()帰るとしようか」




「…追わないのですか?この血の持ち主を」




「そうだな。僕の鼻は特別優秀だからね。追おうと思えば追跡は出来るが…。それ以前に僕は紳士だ。出来る限りマナー良く、この獲物を捕らえなければね。


 準備が整ってようやく“食事の時間”だ」





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