二千六百二十夜、じいじの高校生生活 1239 三年生 194 三学期から 13
今日は、じいじの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「…………。」
そうだねえ、じゃあ、じいじが子供の頃のお話をしようかねえ。
まだ、高校生の頃のことだけれど……。
──けれど、さすがにいい加減に押してくれるような認め印ではないようだった。
甘く見ていると痛い目に会うということもあり得たのだから……。
女子の中には、なかなか先へと進ませてもらえない人もいたようなのだけれどね……。
ただ、指導員の中には、女性には甘いという噂がある人もいたのだけれどねえ……。そしてたいていは、そんな指導員に限って、男子には対応が厳しいというおまけがついていたらしい……。
女性に対する雑談交じりの教習に比べて男性の場合には、不機嫌そうな表情を浮かべながら、「……次の曲がり角を左折……。」……という具合に、無駄口を開かずに指示を飛ばしてくるという……。
日頃は尖がっているような高校男子に対しても、情け容赦なく認定印を押さないということらしいのだ……。
だから、おとなしくできないような人が彼の先生のもとに回されると、いつの間にかおとなしくなってしまう……という信じられないような噂が、学校内では実しやかに語られているということだ……。
実際に、路上教習の途中で学校内へと戻されてしまって、おまけに今までの教習認定書を破り捨てられて、また最初からやり直させられた……という事実があったらしい……。
これは、実際に教習車の後ろの席に載せてもらって、見学をしていたどこかの学校の女子が声高に騒いでいたので間違いはないのだろうと思う……。
結局、「嫌なら辞めろ……。」の一言で、黙り込んでしまったのだということらしかった……。
でも、先生と二人の間では、どうやらその続きが実際にはあったらしくて……。曰く、「……事故死したいのか、それとも初めからやり直すのか……どちらかを選べ……。」と、その尖った彼は言われていたらしいということだった……。
まあ……そんなことまでを言われてしまえば、じいじの場合でもまじめに学び直したいかなあ……と思うよねえ……。
ハンドル操作練習後の、じいじの実技教習の進捗具合は、順調に進んでいくことになった……。
そんなある日の出来事なんだけれど……。
じいじはまじめに指示に従って教習を受けていた……。
そして、仮免許の検定試験日がもうすぐになるのかな……という頃の話なのだけれど……。
二時間連続での教習の一時間目は無事にやり過ごすことができていた……。そして二時間目に入ってからしばらくしてからのことだった……。
「……じゃあ、そこを右に入って8の字コースで一度停めて……。」
じいじがおとなしくその指示通りにして8の字コースの中で車を止めると、先生は突然ドアを開けて車の外へと出ていきながら言い放った……。
「……これから、この教習時間が終わるまでの間は、バック走行でこの8の字コースを回っていなさい……。」
そう言い残して、その先生はさっさとコースの外の方へと歩いて行ってしまった。
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
良い夢に恵まれますように、おやすみなさい。また次の夜に……。




