二千六百八夜、じいじの高校生生活 1233 三年生 188 三学期から 7
今日は、じいじの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「…………。」
そうだねえ、じゃあ、じいじが子供の頃のお話をしようかねえ。
まだ、高校生の頃のことだけれど……。
──……そして、ゆるゆると日にちが過ぎていくある日の数学の授業中のことだった……。
以前より、教科書をそのまま読み上げたり、教科書をそのまま黒板に写しているような印象を与えてしまうような授業を繰り広げている教諭だったのだけれど……。
その彼が、ついぽろっと漏らしてしまった言葉が、じいじたちのクラスで問題になった……。
「……あなたたち……そんなにやる気の見えないような態度では、このままだと卒業ができなくなってしまいますよ……。」
一瞬で、クラス内に静寂が訪れた……。
しかし……それも長くは続かなかった……。
ぱっと立ち上がった女子が、悔しそうな表情を浮かべながら言い放った……。
「……こんどは、ちゃんとした先生に、丁寧に数学を教えてもらうからいいんです!!……。」
その女子は、じいじとは同じ中学校の出身者で……はっきりとはしないのだけれど、最低でもじいじとは三年生の時、同じクラスだったと思う……。
そして、いつの事だったのかはよく憶えてはいない……。けれど、じいじが海へ遊びに行ったときに、夕方に近い時間だった……。小さな子どもたちと一緒に、連れ立って遊んでいるところに顔を合わせたことがあったと思うのだ……。
そこは、さまざまな事情があって家族と別れ別れになってしまったような子供たちが暮らしている施設の近くだったと思う……。
その時じいじは、一言二言だったのだろうけれど……何か言葉を彼女とは交わしたことがあったと思うのだ……。しかし、今では忘れてしまっているのか、じいじはよく思い出すことができないでいる……。
……よくよく考えてみれば、じいじと彼女は、小学校の頃から同じ学校にいたのだと思う……。
そして……後になってから知ったことなのだけれど……。彼女は、その施設の施設長……または、経営者?理事長?の娘さんだったということだった……。
……いまでは、あれから何十年も経ってしまったのだけれど……。
でも……その後のあの施設や彼女はどうしているのだろうか……と思う……。
「…………」
彼女から言葉をぶつけられた数学教諭は、しばらくの間沈黙していた……。
しかし、その後は心を落ち着けることができたのか、いつものペースの授業を続けることになった……。
そして授業時間が終わって、彼は何事もなかったようにしてじいじたちのクラスから職員室へと引き上げていった……。
……これは余談なのだけれど……。
じいじははっきりとは覚えてはいないので、ただの繰り言だと思ってほしいのだけれど……。
彼女の厳しい発言の後、じいじたちのクラスの中では、拍手や、そうだそうだ……という掛け声が沸き起こった……のかなあ……と思うのだが……。
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
良い夢に恵まれますように、おやすみなさい。また次の夜に……。




