二千六百夜、じいじの高校生生活 1229 三年生 184 三学期から 3
今日は、じいじの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「…………。」
そうだねえ、じゃあ、じいじが子供の頃のお話をしようかねえ。
まだ、高校生の頃のことだけれど……。
「──……そう……よかった……。
……断られたらどうしようかと思ったわよ……。
……ありがとう……このまま作業を進めさせてもらうわね……。」
……それでもう話が済んだのか、Bさんはにこっと笑んで、そのままそそくさと自分たちの教室へと小走りで帰っていった……。
──ああ……でもやっぱり……きっと、表紙絵の内容に対しての疑問意見が、編集委員の中からは出ていたのだろうな~~~っと、じいじは察していたんだけれどねえ~~~。
「……なんだ……どうしたんだ……。
……珍しいじゃないか……。
あの女子は家政科の娘じゃなかったか……。
で……以前にも来たことがある女子じゃないのか……。
……告白か? ん? 告白なのか?
……卒業も近いことだしなあ……。」
「……うん、まあなあ……。
悪いけれど……僕の好むタイプじゃなくてなあ……。」
「……はあ?……。
……でもなあ……なんだか嬉しそうに帰っていったように見えたんだがなあ……。
「……うん、まあなあ……。
……それがなあ……僕が去年、アルバイト前に頼まれていた卒業文集の表紙の版画が、刷り上がったらしくてな……。それを見せに来てくれたんだよ……。
……黒い紙の上に、黒のインクで刷るんだってよ……。よくわからんかったがなあ……。」
「……おい!……それって……。
……まあ、なあ……。
……ご愁傷様……だな……。」
「ああ……大きなお世話だよ……。
……放っといてくれよ……。
だいたい……世の中は、そんなに甘くはないんだからなあ~~~。
……フフフ……。」
……じいじたちは、廊下で話をしていたのだけれど……。
じいじが教室へと入っていくと、教室中の仲間たちから一斉に……。
……じいじは視線を逸らされてしまっていた……。
──ああ……すっかり聞かれてしまっていたのか~~~。
……そうだよなあ……だいたい……世の中は、そんなに甘くはないんだろうからなあ~~~。
……じいじは、仲間たちがよそを向いてくれている間に、自分の席に着席して窓の外を見ていた……。
そこからの景色は、遠く伊○湾の入り口辺りまでが見渡せるような気がした……。
もともと学校の敷地自体が丘の上なのに加えて、三階建ての新校舎の三階がじいじたち三年生の教室なのだ……。
それに、いくら周囲に小高い丘があったとしても、この地はさらに小さな峠のような場所にある学校なのだ……。
周囲のほとんどの眺めがさえぎられていたとしても、南西の方向だけは見通せる部分が残されていた……。
「……なに黄昏てるんだよ、怠け者クラス委員長……。」
H君が寄ってきた……。
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
良い夢に恵まれますように、おやすみなさい。また次の夜に……。




