二千五百五十四夜、じいじの高校生生活 1206 三年生 161 二学期から 143
今日は、じいじの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「…………。」
そうだねえ、じゃあ、じいじが子供の頃のお話をしようかねえ。
まだ、高校生の頃のことだけれど……。
──たぶんだけれど……一日働いていても八百円から八百五十円くらいの間じゃなかったのかなあ……と思っている……。
もちろん、この施設でのアルバイトは、比較的実入りが良かったのではないのかなあ……とも思う。
高校生のアルバイトの実入りは、この頃では、一日五百円くらいからが多かったのではなかったかなあ……と、じいじは思っている……。
──ああ、そうだねえ……いつまでもぐずぐずと考えていてもしょうがないか……。
……雪が積もってしまわないうちに、家へと帰り着かなくちゃあいけないよねえ……。
じいじは、うっすらと白くなっているもののまだ積もるまではいってはいないような雪道を自転車で走っていく……。
同じ寒さの中でも、寒風が吹きつけてくるようなところで突っ立っているのとでは、自転車で走っているのとでは大変な違いなのをじいじは感じていた。
そして、今から考えてみれば、風の中でキラキラ光りながら飛んでいたのはきっと、海の波しぶきが風に飛ばされていたのかも……ということに、じいじは気が付いた……。
それに気が付いてからじいじは自分の着ているジャンバーをよく見てみると、なんだかいつの間にか細かい白い粉を吹いているように見えた……。
──ああ……これって塩を吹いているんじゃないのかなあ……。これじゃあ、家へ帰ってからさっそく洗濯をしておかないとまずいよなあ……。
じいじが身に着けていたのは、当時、高校生の仲間内では、カ○トロコートやらドカジャンと呼ばれていたものだ……。
もともとはキ○ーバのカ○トロ議長が身に着けていた衣服から派生してきたらしいのだけれど……よくわからない……。
大きなカバー付きのポケットが両側と両胸についていて、襟には毛皮風な付け外しの利く付け襟が付いている……。そして、裏ボアが付いていて、手入れがしやすくてお手ごろ感があり、それでもちゃんと暖かかったのだ……。
表地の素材はナイ○ン製だったのかな……。それで、多少の防水が効いていて使いやすかったのだ……。
「……ただいま~~~。
アルバイトで海岸の側に一日中いたから、なんだかジャンバーが塩を吹いてしまったみたいだから、洗濯をしておかなければいけなさそうだよ……。」
「……ああ、そうかい……大変だったねえ……。
ちょうど、洗濯のついでがあるから、洗濯機の中へ入れておきなよ……。」
じいじが、自分のジャンバーを脱いで洗濯機の中へ入れておくときに、洗濯機の中を覗いてみると、ひろくんの体操用のジャージが入れられていた……。
──ああ……もう、ひろくんが帰ってきていたんだなあ……。
……って……そりゃそうだよな、もう夕方の六時にはなるんだからなあ……。
きっと、伯母さんももうじきに帰ってくるだろう……。
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
良い夢に恵まれますように、おやすみなさい。また次の夜に……。




