二千五百四十七夜、ばあばの社会人生活 133 ばあば就職する 133 印刷会社 106
今日は、ばあばの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「…………。」
そうだねえ、じゃあ、ばあばがまだ若かった頃のお話をしようかねえ。
ばあばが就職をした頃のことだけれど……。
──たまたま今日のところは、写植の責任者の立場にいるKさんが標的にされてしまったのだろうね……。
ただ……いつ何時、その標的がばあばにされてしまう……というようなことになってしまう……。
そんな……ばあばにとっては非常に不都合なことが起きてしまうことになってしまう……かもしれないから……ねえ……。
そんな状況には絶対にならないように、ばあばは気をつけておかないといけないのかな……とも思う。
そうしないと、また、ばあばは会社を辞めたくなってしまう……というようなことになってしまうかもしれないからねえ……。
ああ……怖い怖い……。
……午後の就業時間が始まってしばらくしたころには、Kさんが版下のお手伝いを終えて写植の部屋へ戻ってきた……。
そして、今日のお勉強が始まった……。
……イッスンノハバナベブタシンニュウワハコガマエ……ユミトカタホコヨツメイトクサ……イヌノアシウマノホネゲツカスイモクキンド……。
「 一寸の巾、鍋蓋 進入は匣 がまえ、刀抜く人、雁は山里、大小の女子、口言い心に手、弓と片戈、四つ目糸草、虫の羽 竹の里、辛車臼門、犬の足 馬の骨、日月火水木金土……。」
と、文字盤のメインプレートにある見出しの文字を、支給されているコピーされた文字盤のそれぞれの場所を押さえていく……。
そして、次には……ひらがなとカタカナの、あいうえお順の配列を……いろはにほへと ちりぬるを わかよたれそ つねならむ うゐのおくやま けふこえて あさきゆめみし ゑひもせす…ん……と、いろは歌順で指先で選択していく……。
「色は匂へど 散りぬるを わが世たれぞ 常ならむ 有為の奥山 今日越えて 浅き夢見じ 酔ひもせず」
……これは、当分の間……そう……Kさんがこれでもういいでしょうと判断してくれるまでは続いていく……ということらしいのだ……。
そしてそれに加えて今日からは、新たに印刷関係の用語についての講義とお勉強が始まるということらしい……。
ばあばには、これから始まるという印刷用語の勉強の、その必要性がよく分からなかった。
けれど、写植部門の責任者であるKさんが必要なのだというのだから、必要なのだろうかなあ……と、ばあばは考えることにした……。
それで具体的には、Kさんが勉強の時間に各項目に対して一つ一つ簡単な解説をしていく……ということになるのだということだった……。
そして、それに対してばあばは、昨日支給がされているメモ用紙に、自分なりに整理をしていくということが義務付けられているようだった……。
なんか……大変なことになってきてしまったような気がするんだけれどなあ……。
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
良い夢に恵まれますように、おやすみなさい。また次の夜に……。




