二千五百四十四夜、じいじの高校生生活 1201 三年生 156 二学期から 138
今日は、じいじの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「…………。」
そうだねえ、じゃあ、じいじが子供の頃のお話をしようかねえ。
まだ、高校生の頃のことだけれど……。
──まあ……これは確かに……交通安全用品セットなのだろうけれどなあ……。
じいじには、なんだか……非常に微妙な気がしてきたのだった……。
それに、それらはまだ真新しい様子で、新品のビニール樹脂から立ち上るあの独特な臭いが、あたり一面にプンプンとまき散らされていたからねえ……。
「…………。」
じいじもふくめて、ここにいるH君の友達全員が絶句してしまっていた……。
そりゃあ……使い古されていて、よれよれになっているような汚れ放題の用品セットが割り当てられるのよりもは、たしかに……かなり嬉しいのだろうとは思うのだ……。
でも、ほぼ新品のセットをあてがわれるのはちょっと引くというのか……。
──どんだけ儲かっているんだよ~~~。まあ、そのぶん近い将来に、俺たちに降りかかってくる税金が少しでも安くなるのなら何とか納得ができるかもしれないのだけれどなあ……。
隣に座っていたH君の小さな声での呟きが、じいじの耳に聞こえてきた……。
じいじは反射的に、皆の前で続きの注意事項を話そうとしているのだろう担当者のおじさんの顔を、注意を引かないように盗み見てしまったよ……。
H君の場合には、たしかに、家のご商売を引き継いでいくということがあるのだろう……。だから、そういう意味では有利なこともあれば、逆に不利になるようなこともあるのだろうかなとは思う……。
H君にとってみれば、大問題になることは確実なのだろう……。
じいじにしても、この町に住む以上は問題にならないはずがないのだからね……。
……それからじいじたちは、西入場門に近い駐車場から順番に車を埋めていくようにするために、説明があったようにそれぞれの担当場所に向かって散っていくことになった……。
その日、この駐車場を含めてこの辺りはことのほか冷え込んでしまったようだった。もちろん、陽が当たっているし、多少の温もりはあるのだろうとは思うのだ……。
しかし、この場所は、割と高さがある防波堤があるとは言うものの、吹き付ける風が制限されるようなことなど一切なかった。
その左右に長く続く堤防の向こう側からは、波の打ち寄せる音が大きく聞こえてきている……。それからわかってしまうのは、堤防の向こう側ではきっと、白く泡立った高い波が、盛んに打ち寄せているのだろうということだった……。
……じいじはふと気が付く……。
周囲の風の冷たさで気が付かなかったのだけれど、よくよく見てみれば強い風に乗って、陽の光の中にキラキラとしたものが混じっているのが見えるような気がした……。
周囲には電線がないために風を切る音は聞こえてはこないけれど……。
しかし、普通にあるような風の息継ぎなどが感じられないのだ……。
冷たい風は、のべつまくなしに強く吹き付けている……。
そのために、体感温度はその分余計にでも低く感じるようなことになっているようだ……。
じいじは、ほんのしばらくの間でさえもじっとしてはいられなかった。
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
良い夢に恵まれますように、おやすみなさい。また次の夜に……。




