二千五百三十五夜、ばあばの社会人生活 127 ばあば就職する 127 印刷会社 100
今日は、ばあばの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「…………。」
そうだねえ、じゃあ、ばあばがまだ若かった頃のお話をしようかねえ。
ばあばが就職をした頃のことだけれど……。
「──……おはよう……。今日も爽やかな一日になるといいのだけれど……。
……私はまた、チラシの版下のお手伝いがしばらくの時間あるので、二階へと行ってきます……。
その間、Iさんは、昨日からの続きをしてください……。……それで、あーさんは、採字の訓練を続けていてください……。
じゃあ、当面はそういうことでお願いしますね……。」
そう言ってKさんは、そそくさと二階へと上がっていってしまった。
……もちろん、チラシやカタログなどのように、写植の万能機に適しているような仕事については、デザイン部門のレイアウトや書体指定などが必要になる。実質それがなければ、写植は仕事が何もできない……ということになるのだろうとは思う……。
だから、写植が手間を掛けないでも工賃が稼げるような、割の良い仕事がどんなにあったとしても、デザインがレイアウトや書体指定をしてくれなければ、手を付けることさえもできない……ということになるだろう……。
もちろん、チラシ印刷というお仕事がもうからないと、ばあばは言っているのではない……。
それは……ない……のだけれど……。
ばあばの住んでいる地域では、毎週土曜日になると何らかのチラシが新聞に折り込まれてくる……。なので、手間がかかる割にはあまりもうからない……などと、馬鹿にできるような仕事では決してないのだろうとは思う……。
そんなことから考えると、版下部門……デザインと写植を含めて、版下を制作する部門のこと……だけではなくて、製版や印刷部門以下すべての部門が、部門別に集計したとしても、確かに売り上げが上がるだろうとは思うのだ。
でも……多少は余力があるからといっても、写植部門の責任者がこう毎日毎日お手伝いとして当てにされるのは、なんだかどこか違うような気がばあばはするのだけれどなあ……。
でも、会社の方針がこのままでいい……ということであれば、昨日この会社に入ったばかりのド素人のばあばが、あれこれいうのは間違っているとは思う……。
っていうのか……ばあばは一刻も早く、写植の機械の前に座って、自分に割り当てられたちゃんとしたお仕事がやりたいと思っているのだけれどなあ……。
でも、ばあばは昨日も含めてのことなのだけれど……なんだか放っておかれているような気がして……こんなことでいいのかなあって思ってしまうのだけれど……。
「……今は、焦らなくてもいいわよ……。
あなたが写植の仕事に慣れてきた頃には、山盛りのお仕事が押し付けられるようになるかもしれないのだから……。
だからね……今はまだのんびりと、言われたとおりの勉強をしておきなさいな……。」
なんだかIさんに、ばあばの心の中を覗かれてしまったようだった……。
ばあばはきっと、盛大に苦笑いを浮かべていたのかもしれない……。
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
良い夢に恵まれますように、おやすみなさい。また次の夜に……。




