二千五百三十三夜、ばあばの社会人生活 126 ばあば就職する 126 印刷会社 99
今日は、ばあばの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「…………。」
そうだねえ、じゃあ、ばあばがまだ若かった頃のお話をしようかねえ。
ばあばが就職をした頃のことだけれど……。
──写植の機械は大きなカメラと同じなのだろうと思う……。
レンズをたくさんの種類使っているのだから、埃を嫌うのが当然のことなのだろうと思う……。
ばあばは、部屋の隅に置かれてある掃除機で、床に敷かれてあるカーペットの上の埃を吸い取っておくことにした……。
写植の部屋は、人の出入りもいろいろとあるようなので、当然、外から持ち込まれる埃も多くなるかもしれないし……。
毎日のお掃除は、きちんとしておいたほうがいいだろう……。
ただ、この頃の掃除機は本体の大きさが大きくて、埃を吸い込むためのモーターも今と比べればとても大きかったのではないかと思う……。
それに、今頃の家庭用の掃除機みたいな、格好が良くできているはずがなかった……。
写植の部屋に置かれてあった掃除機は、家庭用の掃除機のイメージなどではなかった。
業務用の仕様なのだろうか……小さなドラム缶のような形をしていた……。
砂埃や土埃のような、家庭用の掃除機では吸い取り難そうなものまでを、強力に、たくさんの量にわたって吸い取るような……姿をしていた……。
それに、とても大きな音が会社中に響き渡るような……とんでもない代物だった……。
加えて……多少のこぼれた水なども問題なく吸い込めると、掃除機本体に張り付けてあったシールには印刷がしてあった……。
ばあばが掃除後に吸い取ったごみを捨てに行くときに見たのは、家庭用の掃除機とは全く異なっている構造をしているということだった……。
小さなドラム缶のようなところは、ごみを溜める場所で、モーターなどはその上の部分に蓋のように乗っかっているのだということのようだった……。
これはばあばの個人的な感想なのだけれど……その掃除機からの排気には、かなり埃っぽい臭いが混じっているように感じられたのだけれどなあ……。
それは、家庭用の掃除機からも多少は臭ってくる、あのモーターからの臭いなのか……焼けたような……ゴム臭いような……油っぽいようなものと、少し焦げ臭い……というような独特の掃除機臭ともいうべき臭いだ……。
それは臭くて嫌な臭いではないのだけれど、ばあばにとっては、あまりうれしくはないような臭いだった……。
……けれど、これはしょうがないことだよねえ……会社の備品なのだろうからね……。
そして、そんなことをしているうちに、Kさんが顔を出した。
会社の各部門の部門長や責任者たちが会議室に集まって開いている、仕事の予定や作業の段取りの打ち合わせ会議……が終わったのだろう……。
「……おはよう……。今日も爽やかな一日になるといいのだけれど……。
……私はまた、チラシの版下のお手伝いがしばらくの時間あるので、二階へと行ってきます……。
その間、Iさんは、昨日からの続きをしてください……。……それで、あーさんは、採字の訓練を続けていてください……。
じゃあ、当面はそういうことでお願いしますね……。」
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
良い夢に恵まれますように、おやすみなさい。また次の夜に……。




