二千五百三十二夜、じいじの高校生生活 1195 三年生 150 二学期から 132
今日は、じいじの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「…………。」
そうだねえ、じゃあ、じいじが子供の頃のお話をしようかねえ。
まだ、高校生の頃のことだけれど……。
──じいじは、彼女たちと交流があるわけではないので、それ以上深入りする考えもなかった……。
それに、どこそこを直してほしい……などと、後から言われたとしても、版画の場合には対処が難しい……。
だから……結局は、その要請には断ることになるだろうと、じいじは思う……。
表紙絵が、白地の紙に黒などのインクでの印刷だけでは寂しすぎる……。
そういうことであれば、水彩絵の具でも油絵具でも使って、さっと彩色すれば済むことだから……。
それは彼女たちが判断して手間をかければどうにでもなるだろう……。
──ああ……済んだ、済んだ……。早く終わってよかったよ……。
じいじはもうすでに、H君たちと一緒にするアルバイトのことを考えていた……。
……そして、アルバイトがある日曜日になった……。
「……おい……ちゃんと体を冷やさないような服を着てきたかあ……。」
じいじと顔を合わせてすぐに、H君から言われた言葉だ……。
それもそのはずで、昨夜から強い北風が吹き始めていて、これからますます寒くなるだろう……という予報が出ていたからだ。
「……おはよう……。
一応……これ以上はないだろうっていうくらいには厚着をしてきたから……。
あとは……○ッキンカイ○でも持ってくる……くらいのことしかできることはないのだけれどさ……。
うちにも、おばあちゃんが昔使っていたものがあったんだけれどね……。
でも、これは長いこと使ってなかったので、燃料に使うベンジンを買ってこなければ使えなかったんだよねえ……。
それに……僕が中学生の頃だったかなあ……伯父さんが海釣りに連れて行ってやる……ってことになったんだよね……。その時に、海岸は寒いだろうから、これを持っていって使ってみろっておばあちゃんから言われて、一度だけ使ったことがあるんだよ……。……けれどさあ……。
最初のうちは良かったのだけれどね……。その後になってから……もう、やけどをしそうになるくらいに熱くなってきてさあ……。
だからと言っても……どうやって火加減を調節していいのかわからなかったしね……。それに、火の消し方さえもよく分からなくて……。
結局……持って行っていたナップサックに入れたままで、家まで持って帰ってきたんだよね……。
【ご注意】
○ッキンカイ○の構造は、燃料/ベンジン、を直接燃やすのではなく、気化したベンジンがプラチナ触媒と接触して、酸化反応を起こす際に発生する熱を利用しているということだそうです。
マッチやライターの火を近づけるのは、この触媒反応を開始させるために必要な温度(活性化エネルギー)を与えるためであり、芯に火を点けているわけではないということだそうです。お間違えの無いようにしてくださいね……かしこ。
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
良い夢に恵まれますように、おやすみなさい。また次の夜に……。




