二千五百二十五夜、ばあばの社会人生活 122 ばあば就職する 122 印刷会社 95
今日は、ばあばの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「…………。」
そうだねえ、じゃあ、ばあばがまだ若かった頃のお話をしようかねえ。
ばあばが就職をした頃のことだけれど……。
──お母さんは、小さなため息を吐きながら、ばあばの部屋の中へと入っていった……。
そして、すぐに出てきたお母さんは、お父さんに伝えた……。
「……あーちゃんは……寝てしまっていましたよ……。
体を冷やさないように、ちゃんとお布団を掛けてきましたから……心配いらないですよ……。
なんだか、お仕事のことでお勉強でもしていたみたいですね……。
でも、その途中で眠くなってしまったみたいで、お勉強の道具を枕元に置きっぱなしにしていましたけれど……。
きょうは、よほど疲れてしまっていたみたいですねえ……。
……まあ……初めての転職をしたということもあってか、いまはいろいろなことすべてが心配の種なのだろうということはわかりますけれど……。
しかし……転職後初めての会社だからとはいえ、初顔合わせの第一日目から焦ってもみても、仕方がないのでしょうにねえ……。」
お母さんは、訳知り顔を浮かべながら、最後の方は独り言のように何かを呟いていた。
けれど……テーブルの上にまだ残されていた分の食器などを、流しへと運んで行った。
「……しかしまあ……だれかさんのように、転職することに慣れてしまって、少々のことでは動じなくなってしまうようなことよりもは、まだまだかわいいところがあっていいのだろうけれどなあ……。」
お父さんは、流しに立ちながらぶつぶつと何かを呟いているお母さんの後姿を眺めていながら、自分も呟くようにして独り言を漏らしていた……。
……そして翌朝からは……ばあばも含めて……新しい生活のペースがいつものことのように繰り返されるようになった……。
ばあばにとっての新しい会社は、朝の八時が始業のベルになる。
だからばあばは、それに間に合うようにバスに乗るわけなのだけれど……。
しかし、これから使い続けるバスについては、三十分以上前に会社の近くのバス停に着いてしまうようなバスなのか……。それとも始業のベルが鳴り始めるのにぎりぎり間に合うような時刻に着くバスしかないのが少しだけ不満だった……。
……それから従業員全員でのラジオ体操が始まる……。
そして、社長不在の時を除いては、原則として社長からの訓示というのか……ちょっとした小話というのか……が話される朝礼がはじまるということになる……。
もちろん、月の始めの朝礼では、ばあばが昨日聞いたように、会社の売り上げ目標などの、もう少し踏み込んだ内容が話されるということだった……。
社長が出張などで不在の際には、専務がその代わりを務める……ということらしいのだけれど……。それはほとんどないらしかった……。
事実、ばあばが初めて専務の朝礼での話を聞いたのは、この会社に入ってからかなり後になってからだった……。
ただ、それについてのばあばの印象は、ちっとも面白くなくて、早く終わってほしいかなあ……という印象が残っただけだった……。
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
良い夢に恵まれますように、おやすみなさい。また次の夜に……。




