二千五百十九夜、ばあばの社会人生活 119 ばあば就職する 119 印刷会社 92
今日は、ばあばの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「…………。」
そうだねえ、じゃあ、ばあばがまだ若かった頃のお話をしようかねえ。
ばあばが就職をした頃のことだけれど……。
「──こんどの職場では、今までとは全く違うことを新しく始めるのだから、半端な考え方でいい加減にしていると、何か大きな間違いをしてしまうことになってしまうのかもしれないからね……。
私は、できるだけそんなことにはならないようにしたいから……。
それに、職場の先輩が言っていたのだけれど、毎日の仕事をしていく中で、ちゃんと覚えていくことができるから、焦らなくてもいいと言われているしね……。
でも、せっかく教えてもらったことについては、その日のうちに忘れてしまわないようにしておいたほうが、後々になってからおかしなことにならないでも済むかもしれないからね……。」
お母さんには、そんなことを伝えておいた……。
そうしてばあばは、自分の部屋へと入っていった……。
……どれくらい時間がたったのだろうか……。
ばあばは、集中して今日あったことを思い出しながら、中学校に通っていた頃に買ったまま使ってなかったノートに、今日あったことなどをまとめていた……。
「……あーちゃん、ごはんよ~~~。」
ふと気が付くとお母さんの声が聞こえてきていた……。
──ああ……お父さんが帰ってきたのかな……。
「……はい……今行きます……。」
ばあばは、大急ぎで区切りがつくところまで整理をして、自分の部屋から台所へと出ていった。
「……おかえりなさい……お父さん……。」
お父さんは、すでにお風呂を済ませていたのか、湯上りで上気をした様子だった……。
テーブルに就いていて、いつものように好きなビールの瓶を手にしていた。そしてそれを、テーブルに置いたコップに今から注ごうとしていたようだった……。
「……おう、あーちゃんも立派な社会人になっているのだから遠慮なんかせずに、仕事から帰ってきたらお風呂でさっぱりとしていたらよかったのにねえ……。
……そのほうが気分もすっきりとするんじゃないかな……。」
お父さんは、手酌でビールをコップへと注ぎながら、ばあばにむかって話しかけてきた……。
ばあばにとっては初めての、今までの学校などの経験からは完全に離れてしまっている、新しい職場のことを聞きたそうにしているようだった……。
ばあばもお父さんに対して、今度の会社でのことを特に隠したいような気持もなかった……。
なので、おとうさんにとって面白かったかどうかはわからなかったけれど、ばあばは今日一日に会社で起こったことを話して聞かせた……。
お父さんは、その内容などのことについては、口を挿むようなことがなかった。
ただにこにこしながら、黙ってばあばの話を聞いてくれていた……。
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
良い夢に恵まれますように、おやすみなさい。また次の夜に……。




