二千五百十七夜、ばあばの社会人生活 118 ばあば就職する 118 印刷会社 91
今日は、ばあばの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「…………。」
そうだねえ、じゃあ、ばあばがまだ若かった頃のお話をしようかねえ。
ばあばが就職をした頃のことだけれど……。
──あとから教えてもらうことになったこの職場の責任者のKさんは、そんな雰囲気ではなかったように、ばあばには感じられたからだ。
もちろん、立場上のこともあるのだろうとは思うのだけれど……。
しかし、ばあばには、Kさんがばあばのことを見る目の中には、ばあばに対する無関心さと、なにか冷たい感情が垣間見えるような気がしていた……。
それがKさんの抱いているどんな感情からくるものなのかについては、ばあばにははっきりとわからなかった。
例えば、ばあばが不細工だったということが、がっかりだった……だとか……。
それとも……この頃、中学生や高校生男子の間で密かに囁かれていた……デッチリ・ハトムネ・チビ・デブ・ブス……という、女子に対する信じられないような悪口が、Kさんの頭の中で渦巻いていた……とか……。
それとも、まだまだたくさんあるのだろう、ばあばが知らない気持ちが悪くなるような悪口が、Kさんの口から出かかっていたのかもしれないのだとしても……。
それに、ばあばについても、仕事上で大きな期待がされていない……ということについては、まあ今のところはいいとしても……だよね……。
でも、これから先も、ずっと同じような考えをKさんから持たれ続けるのは、さすがにばあばでも嫌だった……。
だからといってもばあばには、それに対する対処の仕方についての良い考えには、心当たりがまったくなかった……。
だから、無い知恵をいくら絞ったところで、うまく対処ができるはずがない……ということは、ばあばにもわかっていた。
だからこそ、ばあばにできることを一つ一つ試していくしか方法などないのだろうと思う……。
当面は、Iさんと一緒に予習をしたことについて、きちんと整理をしておかなくてはいけないのだろうと、ばあばは考えた……というわけなのだ……。
「……お母さん……。
今日、職場の先輩方からいろいろと教えてもらったことについては、今日中に整理をしておいたほうがいいだろうと思っているから……。
こんどの職場では、今までとは全く違うことを新しく始めるのだから、半端な考え方でいい加減にしていると、何か大きな間違いをしてしまうことになってしまうのかもしれないからね……。
私は、できるだけそんなことにはならないようにしたいから……。
それに、職場の先輩が言っていたのだけれど、毎日の仕事をしていく中で、ちゃんと覚えていくことができるから、焦らなくてもいいと言われているしね……。
でも、せっかく教えてもらったことについては、その日のうちに忘れてしまわないようにしておいたほうが、後々になってからおかしなことにならないでも済むかもしれないからね……。」
そうしてばあばは、自分の部屋へと入っていった……。
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
良い夢に恵まれますように、おやすみなさい。また次の夜に……。




