二千五百十六夜、じいじの高校生生活 1187 三年生 142 二学期から 124
今日は、じいじの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「…………。」
そうだねえ、じゃあ、じいじが子供の頃のお話をしようかねえ。
まだ、高校生の頃のことだけれど……。
──……じいじは、伯父さんたちの家族が使っている居間を避けるようにして、玄関から奥の四畳半を抜けていく……。
そして本来は北側の窓を、そのまま使っているくぐり戸を乗り越えて、自分たちの部屋に入っていく……。
……現在、おばあちゃんが台所仕事をしている母屋とは違って、そこは外と同じような寒気が淀んでいた……。
この部屋では、はっきりとした隙間風を感じることはあまりないのだけれど……。
しかし、この部屋の出入り口の上り端は、縁の下との空間を塞ぐための板が取り付けられてはいない……。
そのために、大きな容器に水が溜まる際に徐々に水位を上げていくように、外の冷え切った空気が、部屋の中に溜まっていくようなのだ……。
今は、足元から腰のあたりまで、明らかに冷たい空気が滞っているのが感じられるのだ……。
じいじは、ぶるりと体が震えるのを感じながら、ストーブに火を点けた……。
丸い形の対流型のストーブなのだけれど、大きくて性能が良いものは置くことができそうもない……。
天井が低くて、部屋の容積が小さいので、あっという間に酸素不足で不完全燃焼を起こしたり……。
気が付かない間に一酸化炭素中毒になってしまうような危険性があるかもしれないのだ……。
それでも、部屋全体を温めようとするのには、対流型のストーブが便利なのだろうとは思う……。
ただ、外から帰ってきたりして、冷え切っている体を温めようとするのには、なかなかに暇が掛かるように思う……。
今日のように、冷え切っている部屋が温もるまでの時間が、待ちきれないように長く感じられるのが、残念なのだ……。
今度機会があって、部屋に置くストーブを買い替えるようなことがあったのならば、赤外線反射型のストーブを使うことを考えてみたほうがいいのかもしれないなあ……。
時期的には、今が売り出しの最盛期なのか、テレビでは盛んに新型のストーブのテレビ CM が行われているようだ……。
寒さに弱いところがあるおばあちゃんも、ストーブの前面にいればかなり温かいのだろう、赤外線反射型のストーブのほうが使いやすいのかもしれないしねえ……。
それに今のストーブは、石油を給油する際には本体を動かさなければいけないので、どうしても不便を感じてしまうようなところがあるしねえ……。
じいじは、ストーブの炎が青く安定した後になってから、そこを離れて自分の机のあるところまで移動をした。
机の上で乾燥させていた版画の原版用の版木は、糊で裏張りしてあった下絵も白くきれいに乾いているようだった……。
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
良い夢に恵まれますように、おやすみなさい。また次の夜に……。




