二千五百十一夜、ばあばの社会人生活 115 ばあば就職する 115 印刷会社 88
今日は、ばあばの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「…………。」
そうだねえ、じゃあ、ばあばがまだ若かった頃のお話をしようかねえ。
ばあばが就職をした頃のことだけれど……。
──帰宅部の生徒たちは、もうすでに帰ってしまっているのだろう……。今の時間帯は、部活動や各クラブ活動を終えて、下校時間前に帰宅をしようとしている、慌ただしい時なのかもしれない……。
甲高い声をあげながら話に夢中になっている女子たちのグループがいたり……。
なんだか……黙り込んだままで、目立たないように手をつないでいるカップルがいたりする……。
もちろん、着替える間もなくバスに乗ってきているのか、ジャージの体操服の上に、形だけセーラー服とスカートを着けているような、私は服装などを気にしていません……と、自己主張をしているような女子たちもいるようだ……。
ばあばは、運転席のすぐ後ろのシートが空いていたので、そこに座り込んだまま身じろぎもせずに、窓の外を眺めていた……のかな……。
ばあばは、じつのところ窓の外を眺めているふりをしながら、両耳は全力で周囲の声や音を拾うようにしていたような気がする……。
ばあばにもしも猫耳がくっついていたら、たぶん盛んにあちらこちらへと向きを変えて、周囲の様子見をしていたのだろうと思う……。
考えてみれば、ばあばはバスでどこかへ行ったり、もちろんバスを使って通学や通勤をしたことがあまりなかった。
お母さんは、しばらくの間仕事のための通勤で、毎日バスを利用していたことがあった。
ばあばは、お友達の家への行き帰りのときに、ちょっとだけバスを使う……というのがせいぜいだった。
だから、高校生が通学の時にどんな話をしているのか、ばあばはちょっとだけ興味があった……。
話を聞いていると、学校や勉強の話なんかよりもテレビ番組の話が弾んでいたようだ……。
なんでも、今月から始まるらしい新番組、紅白歌○ベスト○ンという歌謡番組が話題になっている様子だった……。
ばあばは知らなかったのだけれど、レコード店などの売り上げ調査などで、今現在売れている歌手や歌の序列を紹介して、彼らがスタジオで歌うのだという……。
今までは、そういった今現在の世相や話題の情報などが紹介されるような番組が、ニュース以外ではなかったような気がする……。
だから、ばあばも少しだけそのテレビ番組について興味がわいてきてしまった……。
そういえば……ばあばは直接見てはいないのだけれど、七月にはアポロ宇宙船の月着陸が世界中に放送がされたらしい……。
空に浮かんでいるあの月まで人間が行って、なおかつ、そこからの生の映像が私たちのところまで届けられる……というのは、すごいことなのだとばあばは思う……。
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
良い夢に恵まれますように、おやすみなさい。また次の夜に……。




