二千五百十夜、じいじの高校生生活 1184 三年生 139 二学期から 121
今日は、じいじの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「…………。」
そうだねえ、じゃあ、じいじが子供の頃のお話をしようかねえ。
まだ、高校生の頃のことだけれど……。
──そんな方法でしか行くことができないのでは、かなり不便だと感じないわけにはいかないだろう……。
じいじは、ほとんどの移動には自転車を使うことが多かった。
だから、正直に言って、バス路線を正確に知っているわけではない。
その不便だった郵便局本局のさらに先に、役所やら病院がある……。
でも……ひょっとするとじいじが知らないだけで、バスは、そちらへも走っていたのかもしれないのだけれど……どうなんだったのだろうか……。
……じいじは、カレールウを自転車のかごへと入れて、大急ぎで家へと走った……。
……旧道を入って、床屋さんの角を右に曲がると左手側には、大きな敷地に旧家の面持ちを発散させている大きな家がある……。そこを過ぎて曲がり角からが急な坂道になる。
ここまでも坂道ではあるのだけれど、まだ緩い坂道なので、自転車に乗りながら走ってくることはできていた。
まだ足元が見えなくなるほどには暗くなっているわけではない……。
急な坂道に差し掛かる曲がり角には、裸電球が点されている……。
その細い電柱に取り付けられている電球は、心細い光を点していた……。
それは街灯というイメージとはほど遠いのだけれど……。
ともかく、高さ四メートルくらいの細い丸太の先に皿のような形をしたアルミ製の傘の下、ぼんやりと裸電球が点っている……。
じいじは、自転車に乗ったままでこの坂道を上り切って、この急坂上りを攻略したいと、何度も挑戦をしている……。
けれど、今までにはそれが一度も成功したことがなかった。
じいじは、今回も挑戦することにする……。
しかし、この急坂の半ば辺りにある、二か所目の裸電球のところ辺りまで来ると、いつも何かに抵抗されてしまっているように、自転車は急にスピードを落として止まってしまいそうになる……。
今回もじいじは、やむを得ず足をついて、ため息を吐くことになった……。
じいじは、今回もか……と思いながら、かなり悔しかったのだけれどなあ……。
でも、しょせん帰宅部のじいじには、この急坂を攻略することはできないのだろう……と、思わざるを得なかった……。
高校生生活もあとわずかになってしまったのだけれど……。
じいじがこの挑戦を勝利で成就できるのは、いつのことになるのだろうかと、じいじは何度目かのため息を吐く……。
「……ただいま……。」
じいじは、自転車をじいじたちの部屋の入り口前に造られている倉庫内へ入れて、入り口の戸の掛け金を閉める……。
じいじは、急いで買ってきたカレールウをおばあちゃんに渡した……。
そして、水が溜まっているのだろう風呂桶を確かめてから、風呂釜の焚き付けを始めることにした……。
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
良い夢に恵まれますように、おやすみなさい。また次の夜に……。




