二千五百夜、じいじの高校生生活 1179 三年生 134 二学期から 116
今日は、じいじの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「…………。」
そうだねえ、じゃあ、じいじが子供の頃のお話をしようかねえ。
まだ、高校生の頃のことだけれど……。
「──……まあ……あなたも友達たちも、なかなかにいい考え方をしているじゃないの……。
毎年、そうしたアルバイトをしたいという人が、少数だけれどいるわねえ……。
学校としても、そういう努力までは認めないというわけではないみたいなんだけれどね……。
でも……それを大々的に宣伝したり、勧めたりはしていないからね……。
これは、あなたの友達たちの情報収集力の成果だわね……。
でも……聞くところによれば、あなたが行く予定にしているアルバイト先のそこには、北風が直接吹き付けるらしいから……。
寒さ対策を万全にしておかないと、長くは続けられないということがあるらしいわよ……。
まあ……あなたたちも……体調に気を付けて……頑張りなさい……。」
とうとうどこにも行くところがなくなってしまったじいじは、図書室の中で時間をつぶしたいと思った。
しかし、これから身を入れて本を読む気にはなれなかった……。
……じいじは、時間つぶしに書架の間をぐるぐると回って本の背表紙を眺めていた……。もちろん、読みたい本があれば手に取ってみようとは思っていたのだけれど……。
書架に収まっている本は、結構見かけたことがある本も多かった。
じいじは、あれもこれも読み終わっていると確認をしていく……。
しかし、確かにたくさんの本を読んだという自覚があったにもかかわらず、実際にはまだまだ読んでいない本が大部分のような気がする……。
この学校を卒業してしまえば、この図書室にある本は読むことができなくなってしまう……。
そんなことを思うと、もう少したくさんの時間を読書に回しておいたほうが良かったのかな……という後悔のような気持ちが浮かんでくるのを感じる……。
ただ、こうした読書などに使える自由な時間というものが、今後もたくさん取れるのかどうかについては、無理かもしれないという気持ちがある……。
就職をして、自分が独立して生きていくためには、生活費を稼ぎだす時間というものが、じいじの人生の時間のほぼすべてになってしまうような気がするからだ……。
その点から言っても、この高校生生活を有意義に過ごしてきたのかと振り返ってみると、果たしてそれができていたのかなあ……という、疑問だけが膨らんでくるような気がする……。
じいじの気持ちがなんだか感傷的になって、いろいろと弱気になっていくのを感じながら、じいじは書架の間を歩き続けていた……。
……そして、生徒会主催の文化祭の一般公開の時間が終了したことが、校内放送で知らされることになった。
じいじは、H君たちが展示をしていた教室を片付けに行った。
教室内では、じいじが書き出していたB紙はすでに、壁から取り外されていた。
それらは、くるくるときれいに巻き取られていて、他の展示物と一緒に持ち帰る準備に入っていた。
「……おう、手伝いに来てくれたのか……。
じゃあ、図書室から借りてきていた写真雑誌を、返却をしに行ってもらえるとありがたいのだがなあ……。
それで、ちゃんとお礼を伝えておいてくれよ……。
ほんとうに役に立って感謝をしているってなあ……。」
じいじは、今日になってから三回目の図書室へ、写真雑誌を抱えて歩くことになった……。
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
良い夢に恵まれますように、おやすみなさい。また次の夜に……。




