二千四百九十九夜、ばあばの社会人生活 109 ばあば就職する 109 印刷会社 82
今日は、ばあばの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「…………。」
そうだねえ、じゃあ、ばあばがまだ若かった頃のお話をしようかねえ。
ばあばが就職をした頃のことだけれど……。
──その話のおかげなのか、ばあばはこの会社の内部事情にはかなり詳しくなってしまったように感じるのだけれど……。
でも、これで本当によかったのだろうかなあ……って、ばあばは密かに思うのだけれどなあ……。
その後は、写植に次のお仕事が回されてきたこともあって、KさんもIさんも忙しくなってしまった。
そうなると、ばあばの勉強のことなどで大切な仕事の時間が取られてしまうのは、筋が違ってくるのだろうと思う……。
なので……ばあばは、ばあばの担当する機械用の文字盤の配列表を、Kさんから与えられた……。
ばあばは、Kさんの仕事の切りが付くまでは、それを使って自主トレーニングをしている……ということになった……。
……写植機の文字盤というのは、特殊な配列がされているということだった。
それは、文字自体が読めなくても、目的の文字が文字盤のどこの場所に収納されているのかを、瞬時に探し出せるように……ということが配慮されているということらしい……。
漢字を構成している部分でよく目立つところを探し出す目当てにしているということらしい……。
それは、字形全体であったり、偏や旁、冠や構え、垂れや足、さらには旁の足に至るまでの特徴を見出しに使っているということになる……。
それが、” イッスンノハバ、ナベブタシンニュウハハコガマエ…… ” という呪文のような言葉を、毎日、毎日……繰り返し、繰り返し……覚え込むまで頑張らなければならない……ということになるわけなのだ……。
ちなみに、その呪文の内容について書き出せば次のようになるようです……。
「一寸の巾、鍋蓋 進入は匣 がまえ、刀抜く人、雁は山里、大小の女子、口言い心に手、弓と片戈、四つ目糸草、虫の羽 竹の里、辛車臼門、犬の足 馬の骨、日月火水木金土」
……ただしこれは、憶えやすいように語呂合わせ的に作られている部分があるので、注意が必要です……。
ばあばも、具体的に見出しを書き出したいのはやまやまなのですけれど……。
いざ挑戦してみると、五番目の鍋蓋のところで、すでに変換ができなくなってしまいました……。
他にも、何か所も文字変換ができなくて、断念も止む無し……ということになってしまいました……。
詳しくお知りになりたい方は、専門のサイトへと検索の上、移動をお願いいたします……かしこ……。
……ばあばは、これからしばらくは、ぶつぶつ、ぶつぶつ……と、この呪文をつぶやき続けなくてはならなくなったわけなのです……。
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
良い夢に恵まれますように、おやすみなさい。また次の夜に……。




