二千四百九十八夜、じいじの高校生生活 1178 三年生 133 二学期から 115
今日は、じいじの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「…………。」
そうだねえ、じゃあ、じいじが子供の頃のお話をしようかねえ。
まだ、高校生の頃のことだけれど……。
──ついつい……自覚がないままに、じいじはため息を漏らしてしまっていたのかもしれない……。
その時、黙ってイーゼルに向かっていた彼は、ちらっとじいじの方へ、一瞬だけ視線を向けたかもしれない……。
じいじは、まだまだいつまでもそこに立って、彼のデッサンを見ていたかった……。
でも……じいじが、ただ突っ立ってそこにいるだけで、彼には迷惑になるのだろうかな……ということが、じいじにはわかるような気がした……。
「……ありがとうございました……。
……お邪魔をしてしまいました……。すみませんでした……。」
じいじは、彼がどこの大学で学ぶのだろうかと、気にはなったけれど……。
じいじには、とてもそれを聞く勇気がなかった。
その後じいじは校内をうろうろしていたのだけれど、とうとう時間を持て余してしまった……。
そんなときに避難するのは、いつもの図書室だった。
「……こんにちは……。
また来てしまいました……。
……一応、卒業文集の表紙絵が決まりましたよ……。
文集の制作委員さんたちが話し合った結果、どうやら意見がまとまったみたいでね……。
事務員さんが気に入っていたものに決まったようですよ……。
これで、アルバイトで忙しくなる前には彫りを終わらせてしまえそうでほっとしましたよ……。」
事務員さんは、満足そうに、にこにこと笑んでいた……。
「……ところで、あなた……アルバイトってどこに行くことにしているの……。」
この学校は、生活不安などの、特に差し迫った理由がなければアルバイトは禁止になっている。
ただし、三年生の就職コースだけは、たぶん大目に見てもらえているのかもしれないが……。申請すればたいていは許可されるようだった。
「……三学期になったら、早々に自動車学校へ行きたいのですが……。
でも、家族にこれ以上の経済的な負担を掛けたくないので、入学金と授業料をできるだけ何とかしようと思っているんです……。
これは、友達たちの発案だということもあるのですが……。友達たちと一緒に、もうまとめて申請を済ませているんですよ……。
十一月の半ば過ぎあたりから、お正月と冬休みの間は、海の側で駐車場の誘導係をすることになっているんですがねえ……。」
「……まあ……あなたも友達たちも、なかなかにいい考え方をしているじゃないの……。
毎年、そうしたアルバイトをしたいという人が、少数だけれどいるわねえ……。
学校としても、そういう努力までは認めないというわけではないみたいなんだけれどね……。
でも……それを大々的に宣伝したり、勧めたりはしていないからね……。
これは、あなたの友達たちの情報収集力の成果だわね……。
でも……聞くところによれば、そこには北風が直接吹き付けるらしいから……。寒さ対策を万全にしておかないと、長くは続けられないということらしいわよ……。
まあ……あなたたちも……体調に気を付けて……頑張りなさい……。」
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
良い夢に恵まれますように、おやすみなさい。また次の夜に……。




