二千四百八十二夜、じいじの高校生生活 1170 三年生 125 二学期から 107
今日は、じいじの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「…………。」
そうだねえ、じゃあ、じいじが子供の頃のお話をしようかねえ。
まだ、高校生の頃のことだけれど……。
「──……これって、一年生の時の夏休みに行われた、野外研修の時の大正池から眺めた焼岳なんでしょう……。
それに、このスケッチの裏側には、その時に同行した美術の先生のコメントも書き込まれているし……。
これは、あなたにとっても、大切な思い出なんじゃないの……。」
じいじは、思っていたこととは全く違っていた事務員さんの反応と意見に、正直、驚いてしまっていた……。
それとともに、自分自身の学校生活に対する考えの浅さに愕然としてしまっていた……。
でも……と、じいじはまだ自分が考えていた表紙絵についてのこだわりから離れることができないでいた……。
「……まあ、でも……あなたのこだわりを尊重するとすれば……私の好みに近いのは……この最初に描かれている表紙絵なのかなあ……。
はっきりとはわからないのだけれど、なんとなく……家政科女子の友情?みたいなものは感じられるのかもねえ……。」
じいじは、その答えに満足してしまっていた……。
何とかこの場で全否定がされずに済んだじいじは、そのまま家政科の教室まで押しかけていった。
この頃は、個人情報が云々といったことについてうるさく言われるようなことがなかった。
なので、中学校の卒業の際にもらった思い出の写真集なんかで調べれば、Bさんへの連絡方法を探し出すことができたのかもしれなかった。
しかし、じいじはそれが面倒だと思った……。
もともとこの表紙絵の制作を受けた時に、細かい打ち合わせをしておかなかったのだから、これはじいじのミスなのだろう……。
それに、どこかへとしまい込んでしまっているそれを探し出すことも面倒だったからね。
家政科の教室で、引き戸を開けた時に一斉に注目されることは、覚悟の上だったし……。
だいたい、文化祭なのだから、じいじが家政科の教室へと顔を出したからといっても、それほど違和感はないだろうしね……。
「……すいません……。
こちらのクラスのBさんから頼まれた、卒業文集の表紙絵の下絵を描いてきたのですが……。
その確認をしてもらいたいので……Bさんを呼んでもらえませんか……。
僕は、ケーと言います……。」
教室内は、忙しかったのか、じいじはそれほど注目はされなかった……。
じいじがほっとした気持ちで、廊下でしばらく待っている。すると、家政科の隣のクラスからパタパタとスリッパの音を立てながら、Bさんがやってきた……。
「……びっくりしたわよ……。
表紙を頼んでから……昨日の今日のことだったから……。
……それで、もう下絵ができたって聞いたんだけれど……。」
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
良い夢に恵まれますように、おやすみなさい。また次の夜に……。




