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二千四百八十夜、じいじの高校生生活 1169 三年生 124 二学期から 106

今日は、じいじの番です。

 眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?

「…………。」

 そうだねえ、じゃあ、じいじが子供の頃のお話をしようかねえ。


 まだ、高校生の頃のことだけれど……。

「──……こんにちは~~~……。

 昨日きのう今日きょうのことだけれど、一応いちおう下絵したえいてきましたよ……。

 まあ……言いたいことはいろいろとあるのでしょうとは思うのですけれど……。

 僕自身のやる気がなくなってしまったり、たとえうすっぺらな自信じしんであっても……すっかりそれをうしなってしまわない程度ていどに、批評ひひょうをしてもらえたらありがたいのですけれど……。」

 じいじは、おしりの方へかくしていたスケッチブックを、事務員じむいんさんの前に差し出した……。

「……なんともはやかったわねえ……。

 ……どれどれ……早速さっそく、私が見てあげましょうかねえ……。」

 そう言いながら、じいじからスケッチブックを受け取った事務員じむいんさんは、風景画ふうけいがのスケッチなんかがきこまれてあった、最初さいしょの方から、ながはじめていた……。

 ──ああ……そこからかよ……。

 なんだか……よほどひまなんだなあ……。

 じいじは、くちには出さなかったけれど、心の中で考えていた……。

 たいしてうまくもない風景スケッチなどを眺めていた事務員さんは、やっとのことで、卒業そつぎょう文集ぶんしゅう表紙絵ひょうしえのところまでたどりいた……。

「……なんかさあ……高校生こうこうせい生活せいかつ三年間の思い出にかかわるような表紙絵の方が良かったのかもしれないわよ……。

 それに……棟方むなかた志功しこう風景画ふうけいがをまったくってはいないわけではないだろうし……。

 あなたがそんなに棟方むなかた志功しこうにこだわるのかが、なぜなのかはわからないけれど……。

 ……たとえば、この上○地(かみこうち)でのスケッチなんかを、あなたの独自どくじ感覚かんかく版画はんがにしてもよかったのかもしれないわよ……。

 ……たぶん、かなりの人たちにとっても共通きょうつうした思い出になっているのかもしれないしねえ……。

 ある意味では、この文集を手に取る際に、なつかしさを感じてもらえるのかもしれないわねえ……。

 ……これって、一年生の時の夏休みに行われた、野外研修やがいけんしゅうの時の大正池たいしょういけから眺めた焼岳やけだけなんでしょう……。

 それに、このスケッチの裏側うらがわには、その時に同行どうこうした美術びじゅつの先生のコメントも書き込まれているし……。

 これは、あなたにとっても、大切な思い出なんじゃないの……。」

 じいじは、思っていたこととは全く違っていた、事務員さんの反応と意見におどろいてしまった……。

 それとともに、自分自身のかんがえのあささに愕然がくぜんとしてしまっていた……。

 でも……と、じいじはまだ自分が考えていた表紙絵についてのこだわりからはなれることができないでいた……。

「……まあ、でも……あなたのこだわりを尊重そんちょうするとすれば……私のこのみに近いのは……この最初さいしょに描かれている表紙絵なのかなあ……。

 はっきりとはわからないのだけれど、なんとなく……家政科かせいか女子じょし友情ゆうじょう?みたいなものは感じられるのかもねえ……。」

 じいじは、その答えに満足まんぞくしてしまっていた……。


 おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。

良い夢に恵まれますように、おやすみなさい。また次の夜に……。

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