二千四百七十七夜、ばあばの社会人生活 98 ばあば就職する 98 印刷会社 71
今日は、ばあばの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「…………。」
そうだねえ、じゃあ、ばあばがまだ若かった頃のお話をしようかねえ。
ばあばが就職をした頃のことだけれど……。
──……ばあばが、定着液の中に沈んでいる端切れの印画紙に、顔を近づけたりして眺めていると、Iさんから声が掛かった……。
「……定着は、時間があまり掛からないようなものを使っているのだけれど……。それでも、割と時間が掛かってしまうからね……。
それに、定着の時間が足りないことよりも、少しばかり多すぎるかな……くらいのほうが失敗が少ないと思うから……。
現像したあなたの印画紙は、このまましばらくは定着液に浸けておいて、もう一度、小さな印画紙で試し打ちをしましょうか……。」
そういうことで、ばあばの印画紙はこのまま定着液の中に浸けておいて、次の練習作業に取り掛かることになった……。
ばあばは、定着液や停止液をいじっていた竹ピンセットを流しの流水でしっかりと水洗いをした後で、それぞれの場所に置きなおした。
現像作業に使う三種類の薬液は、それぞれに性質が異なっている。
停止液は、現像液の働きを止めるために、強いアルカリ性の現像液の性質を強制的に酸性にして、還元反応を停止をさせるためのものなのだということらしい……。
ちなみに、モノクロ写真の黒色は、還元された金属銀の黒色だということらしいのですが……。
ばあばには、なんかすっきりとしない印象があるのだけれど……。なんかさ……確かに、銀が錆びると黒くなるのだということは知ってはいるのだけれど……。
……還元されて金属銀になったらさあ……銀色になるんじゃないのかなあ……っていうかさ……。
……まあ、いいんだけれどね……。
……後は、一回目で練習したのと同じことを、きちんと繰り返すようにしながら、ばあばは、印画紙をドラムにセットをして、暗室から出ることになった……。
そして自分の機械になるのだろう写植機に、ドラムケースをセットして、電源スイッチを入れればすぐに使えるような状態にしておく……。
「……じゃあ、定着液の疲労度を測りにいきましょうか……。」
Iさんに言われたばあばは、もう一度、暗室の中へと行くことになった……。
ばあばは暗室の中で、もう一度印画紙の箱の確認をして、それから暗室内の蛍光灯を点けた……。
そして、Iさんが大きな計量カップに、バットから定着液を流し入れるのを注視していた。
そして、専用の比重計をその中にゆっくりと浮かべる……。
バットの中に入れてあった時には気が付かなかったのだけれど、定着液には薄い黄色の着色と、わずかな濁りがあるように感じた……。
「……定着液を作った時には、1.050~1.080 くらいなの……。
……今は……1.09よりもちょっとだけ多いくらいかな……。
これが、1.11 を超えてしまうようだと交換をしないとダメみたいだから……。」
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
良い夢に恵まれますように、おやすみなさい。また次の夜に……。




